NO.380  (2024.09.06)
ノートPC用ACアダプターを改造して作る
 デサルフェーター(車のバッテリー延命装置)
                                                            By Yankさん

ども、Dynaです。 
  2024年4月より信州に帰り、農業ざんまいの生活をはじめました。その結果、PCを触る時間が激減し、夜は早々に寝て、朝は6時に
起きて、畑に行く生活が続いています。健康的ですね。
 さて、生活に必要な車についてですが、当方の生活の場が山奥になるので、日々の買い物に車が無いと本当に困ります。近所の方
々は一人1台車を所有しており、車が無いと、まったく生活出来ないのが現状です。
 生活に役立つ便利な車ですが、そのメンテナンスを怠ると大変なことになります。一番は「バッテリー」の管理ですかね。怠ると、いざと
いうときに動かないことが起こるからです。当方も過去に横浜で2週間程度動かさないことがあり、見事にバッテリーをあげてしまいました。
また、一番お安いバッテリーにしているので、「比較的早めに交換するよう。」周りから言われています。でも感覚的に分かりにくいので、
デジタル電圧計を運転席に置いており、まあ参考程度にはなっていますが、現実的には2年程度で交換しているのが実態でしょうか。
 ここで、車のバッテリー関連で2回レポートを送ってくださいましたYankさんが3本目のレポートを送ってくださいました。ありがとうござ
います。内容は、1本目の中で紹介されている「デサルフェーター」の専門版です。当方も、車のバッテリーを延命できるなら作ろかを思い
ましたが、家の車を実際に使うのはほとんど家内(約7割)なので、やめました。その後、ソーラーバッテリーで運用する方法が提案され
ましたので、再度研究したいと思います。では拝見しましょう。
 

 なお、Yankさんの過去レポートによると、デサルフェーターとは、「鉛蓄電池はサルフェーションによる劣化があり、それを除去するために
デサルフェーターを使うことで、延命することが可能だったりする。」とのことです。

                                                                                                                                   By Dyna  

 
NO.373 500円PCの復活とデサルフェーター
 
NO.378 パソコン用ACアダプターを改造した車両用充電器の作製 

「重要」
※ ACアダプターの改造は、発煙・発火や感電というリスクがあります。記載事項については
  一切責任を取りませんので、改造は全て自己責任、リスクも改造者が100%負うことになります。




こんにちは Yank です。

毎回の事ですが、私のレポはド素人が妄想した事をやってみてどうだったって程度の内容で大した事は無いのですが、
役に立つ方 には良い情報なのでは?と思ったので投稿させていただきました。
いつも難易度は低い内容ですが、今回は更に低難易度かと思いますw

 

ノートPC用ACアダプターを改造して作るデサルフェーター

1,初めに
改造の重要なポイントをまず簡単に説明すると、ACアダプター2次側の赤で示す部品を取り去ることである。平滑せず、
半波整流されただけのパルスをバッテリーに送り込むというのが、味噌であるが、部品を取り去ると、クローズドループ
が機能しなくなってしまうので、別途、小規模な高速整流回路を設けて、DCを作る必要がある。

2,改造のポイント(写真0)

(写真0)
では、DCをどう作るかを含めて全体の説明を以下させてもらうことにする。

3,デサルフェーター外観(写真1)

(写真1)

ボケていて申し訳ないが、これは参考のためにお見せするもので、以前にVGP-AC19V15というVAIOノート用ACアダプター
をデサルフェーターに改造し、ワニ口クリップをつけて完成させた時のものであるが、類似のVGP-AC19V11の例で今回は
説明させてもらうことにする。やるべきこととは、

1,AC2次側の平滑コンデンサーとスナバ回路を除去し、出力をDCではなくパルスにする。
2,クローズドループを働かせるには、Error回路用に別途、整流・平滑回路を作り、DCを得る。
3,パルス周期を75usec程度になるようにする。


の3種類である。
改造にはAC2次側の低電圧回路だけでなく、1次側の約400Vに達するPFC回路(力率改善回路)を通電状態でいじる必要
があり、感電のリスクがある。パルス周期を狙い目どおりにするには、電圧が印加された状態でのカットアンドトライによる
最適値の探索をしなければならないからである。このリスクのため、みんカラ(みんなのカーライフ)というこのサイトの
https://minkara.carview.co.jp/userid/1275711/car/3028334/7852271/note.aspx
4に私が書いたように、感電のリスクが殆どない、太陽光パネルとPWMコントローラーを使って、改造する方法を私は勧める
ことにしている。最も、こちらは、性能的にちょっと劣り、ACアダプター式の方に軍配は上がる。

どうしてもACアダプターの改造をやってみたいという、みんカラのメンバー向けに改造中の写真だけは公開したが、トンチン
カンな質問が来るだけで、回路の分かり、半田ごてが友達というようなジャンカーな人でないと、改造は無理かと思い、Dyna
さんに相談して、こちらに回路図を付けて、より詳しく説明をさせてもらうことにした。

素人によるACアダプターの改造は、発煙・発火や感電というリスクがあり、詳しく写真入りで書くと、自殺幇助の罪に問われ
ないかと私は気になり、法律の専門家に聞いてみた。その返事は、
「改造は全て自己責任行い、リスクも改造者が100%負うことを明記しておけば良い。」とのことだった。

それで、私は一切の責任は負わないということで、最近、改造し、まだアリゲータークリップの到着を待っているVGP-AC19V
11の写真を並べ、説明を加えさせてもらうことにした。技術力があり、感電を回避することができる人にはこれらの写真が参
考になり、値上がり続きで高価になってしまったバッテリー代を激減させられることになるだろう。

尚、私は家族や身近な人たちの車の面倒を見させられていて、そのトータル台数は両手では数えられないくらいになってし
まったが、過去6年間、新品バッテリーを買ったことがない。電子系の故障で助っ人マンをさせてもらっているディーラーにて、
廃棄されるというものを頂いて来て、それをデサルフェートすることで、間に合ってしまっているからである。特に美味しいのは、
アイドリングストップ車のもので、6年前に頂いて来たものがデサルフェートすることで未だに使えているという実績がある。

 

4,VGP-AC19V11(写真2)

(写真2)

ACアダプターなら何でも良い訳ではなく、PFC回路内蔵のもので、整流をダイオードで行っているタイプである必要があり、
VGP-AC19Vシリーズでは、末尾が11のものと、15のものを私は改造した実績がある。他に、富士通やNECのものを改造
したが、型番を記録する前に人に差し上げてしまっており、手元に無く型名は未明である。尚、PFC回路内臓のものは、
昇圧インバーターを使った出力電力が75W以上のものである。私が知る限り、75W以上のノートPC用のACアダプターの
PFC回路は全て昇圧インバーター方式である。また、整流がFETではなく、ダイオードのものでないといけない。このどちら
かの判断の目安は、大きさである。FETのものは発熱が少なく、小型である。ここが問題で、以前、”500円PCの復活とデサ
ルフェーター”と題して、
https://akipara2.sakura.ne.jp/new_page_890.htm
に投稿させてもらった時に紹介したACアダプターは、整流がFETのもので、デサルフェーターに改造することを諦めたもの
である。

5,Waveform 1usec/div(写真3)

(写真3)

6,Waveform 10usec/div(写真4)

(写真4)

最終的に得られるようになった波形は上のとおりで、上側の波形写真は、H=1usec/div 下側は10usec/div どちらもV= 2A/div
である。サイクルの最初に、正方向と不方向にスケールアウトするくらいの振幅を持つリンギング電流が流れるが、どうも、
これも味噌のようで、スナバ回路で振幅を減らすと、CCA値の改善が伸び切らないことが分かった。

パルスは最初、約150nsec周期の高周波リンギングから始まり、約3usec後、立ち上がりにリンギングを持つ約5.5usecの鋭
い三角波がある。その後、休止期間があり、約75usecのサイクルで再びリンギングから始まる次のパルス群に移行する。
サルフェーションを除去することを英語では、Desulfate 又は Desulphate と言い、それをする装置を Desulfator/Desulphator
と呼び、日本語ではサルフェーション除去装置と言うが、カタカナでデサルフェーターと一般的に書いている。市販品もあるが、
私が試した範囲では、満足できるものが無く、結果として、自作してしまおうと、1から作り始めたが、そんな手間のかかること
をしているより、ノートPC用ACアダプターを改造するのが手っとり早いかとを私は思った。そして、あれこれ実験して、良い結
果を得るには、次の3つが重要であることが分かった。

1,最初に、立ち上がりも立ち下がりも鋭い高周波リンギング電流を流す。
2,次に立ち上がりの鋭い正方向の三角波電流を流す。
3,極板が化学反応するのに、それなりの時間が必要で、反応が終わるのを待って、次のパルスを送り込むための休止時間が必要。


当初、これらの条件を満たす回路を考えていて、昔やっていた仕事での苦労を思い出した。ある電子機器の力率改善回路
付きの直流電源を設計していて、EMI(Electromagnetic Interference)=電磁波妨害が、力率改善回路のないタイプに比べて
随分と悪く、その対処に苦慮したことと、パルス波形がデサルフェーターに類似していたからだった。EMI と言えば、iNARTE
というYoutubeのここに解説のある
https://www.youtube.com/watch?v=Po2pc7cNpn0
のエンジニア資格を私は持っているが、EMI対策は頭を捻らないといけないことが多く、その経験がデサルフェーターの作成
に役立った。デサルフェーターでは、ACアダプターのEMI対策の多くを外してしまうことで、バッテリーの改善がより進むのは、
高周波パルスの成せる技だからである。

7,オリジナル回路図(写真5)

(写真5)

冒頭でも示したが、ACアダプターの2次回路はこのような構成になっていることを現物から調べた。Output以降にはコモン
モードフィルターとバイパス用セラコンも入っているが、そこは略してある。

トランスの2次巻線と並列にCRから成るスナバ回路があり、3つのショットキーバリアダイオード(一つのパッケージにカソー
ドコモンで2個入っている)が半波整流をし、3つ並列になっている低ESRな電解コンデンサで平滑後、ノートPCにDC19.5Vを
送っている。また、電解コンデンサと並列にディスチャージ抵抗Rが入っている。

8.改造後の回路図(写真6)

(写真6)

2次側回路をどう改造するかは、このように、スナバ回路と平滑用の電解コンデンサーを除去し、新たに別系統の小規模
な整流・平滑回路を設け、Error回路は従来どおりに動作させる。この回路図を見て、こういうテクニックなのかと分かる人
なら、以下の写真入り説明は不要かと私は思う。でもよく分からない人は以下をじっくり見て、改造をどう進めるか理解の
足しにされたし。

9,SM部品面 (Surface Mount)(写真7)

(写真7)

右端がAC100Vの入力段で、背の高いLFT(Line Filter Transformer)は基板下部に窓を設けて少し顔を出している。中央部
がPFC回路。左端に物理的に距離を離して2次側回路がある。この距離を沿面距離と言い、AC1次側に入り込んで来るサ
ージエネルギーを2次側に伝えにくくするために幅を持たせてある。この幅を確認することで、AC1次側ではなく、2次側の存
在が判断できる。

10,リード足部品面(写真8)

(写真8)

LFTを通過したAC100Vはブリッジ整流されて、赤茶色の2つのフィルムコンを充電する。ここに充電された脈流のエネルギ
ーをPFCのスイッチングにより、約400VDCに昇圧して、中央の大きな電解コンを充電する。その400VDCをスイッチングして、
中央左のトランスを駆動する。上の回路図はこのトランス以降を示している。

 

11,外すべき3つの電解コンデンサ(赤い*のあるもの)(写真9)

(写真9)


12,電解コンデンサーC22-24を外した状態(写真10)

(写真10)

 下の方に放熱板の固定されている3つは整流ダイオード


13,不要となる部品に赤い*を付けたSM部品面(写真11)

(写真11)

左上のR81,C21から成るCRによるスナバ回路は部品を外さずに、CとRを繋ぐ間の銅箔をカットすることにした。この方が
手っ鳥早い。そうする訳は、スナバ回路を無くすと、EMIが悪化し、RFノイズを撒き散らす問題が起きる。デサルフェート
の効果は少し落ちるが、RFノイズが問題となる場合は、R81とC21は働かせる方が良い。実は私はアマチュア無線を再開
したが、最近はLED照明の普及等で、都市ノイズが悪化しており、只でさえ、ノイズフロアーが高くなっているのに、デサル
フェーターを働かすと、更にノイズが増えることに困った。ここに半田を盛ることで、スナバ回路を復活させ、高周波リンギ
ングを低下させられるのである。一番下のはOutputのコモンモードフィルターの出力と並列に入っているEMI対策用の
セラコンであるが、これも除去してしまう。


14,カットすべき銅箔パターンに赤矢印(写真12)

(写真12)

赤矢印がカットする銅箔パターンを示す。青字のAからBは高速整流ダイオードを、BからCはジャンパー線を付け、Ref電圧
が得られるようにし、Error回路の入力部のR89と、フォトカップラー用の19.5V DC電源にする。要はこの系統にだけ平滑さ
れた19.5V DCを得るようにし、クローズドループは維持し、ショットキーバリアダイオード3組計6個で半波整流された方は
平滑せず、パルスとして、バッテリーに送り込むのである。4本の赤矢印の内、中央寄りの2つは、C23のランドを利用して、
追加する平滑コンデンサをマウントできるようにするため。


15,接続すべき箇所(写真13)

(写真13)

オレンジ色の線は整流 アウトのC23をバイパスさせるため。黒いチューブの中には高速整流ダイオードが下向き入っている。
このダイオードは1SS133をパラで使い、高速整流を可能にした。パラ使いとは言え、小信号用の高速ダイオードであり、
ピーク電流を抑えるために、平滑に使う電解コンデンサは100uFとした。灰色の線はError回路を働かすために作った19.5V
DCの接続線。下端の左寄りのC36は出力ラインと並列のものだが、これは除去した。


16,周期はR47で調整(写真14)

(写真14)

このACアダプターでは、R47が周期/サイクルを決めていたが、PFC制御のICがどういうものか不明で、これを見つけるの
は至難の技であった。サイクルを決めるのはCRによる時定数であろうから、見つけるためのテクニックは、PFC回路の中
の比較的大きな抵抗値のSM抵抗と並列に同程度の抵抗を付けて、周期が変わるかどうか、片っ端から私は探った。これ
を見つけるのに私は通電状態で、プラスチックのピンセットで単品のリード足付き抵抗をホールドして、可能性の高そうな
マウントされている抵抗に並列にくっ付けることで行った。この処置をしないと、休止期間が短く、化学反応のために必要
とする時間を確保できないようである。


17,Error回路に使う19.5Vの平滑用100uF 50V(写真15)

(写真15)

C23のランドをカットし、赤字のDで示すこれをマウントする。低ESRな100uF/50Vが手持ちにあったので使っただけのこと
だが、これと並列に0.1uF/25V B特性のセラコンを入れると、高周波残留リップルが減り、周期のジッターが少なくなる。
でも無い方が、高調波のスペクトルが分散し、EMIのピークが抑制できる。尚、EMI対策で、クロックを周波数変調して、
高調波のスペクトルを分散させるというテクニックもあったりする。このコンデンサには高速整流ダイオードのカソードが
繋がっていて、アノードはトランスの2次のホット側に繋げる。R47のオリジナル値は150kΩであるが、抵抗値を小さくする
ことで最適化ができる。何もしないと、パルスの周期が短く、化学反応遅れに対処できないことになる。経験的に分かっ
たのは75usec程度より長い休止時間を設けるとCCAがより上がるが、デサルフェート完了までに何週間もかかってしま
うことになる。

このデサルフェーターを劣化したバッテリーに接続して、電圧を監視していると、時間とともに、端子電圧はゆっくりと上
がって行く傾向にあるが、サルフェーションの酷いバッテリでは。電圧が仲々、上がって行かないか、一旦上がり、やが
て下がり、その後、また上がるということを繰り返す。25℃の時、13.6Vに達するまでデサルフェートし、丸3日休んで、
改めて、13.6Vに達するまでデサルフェートすると、より、CCAは改善する。2回目は1回目より、ずっと短い時間で13.6V
に達するが、幾らも短くない場合は3回目をまた3日待って行うように私はしている。

尚、改造については、私は一切の責任を負うことはしないので、改造は全て自己責任で行うこと。
改造には発煙、発火や感電死のリスクが伴うことをお忘れなく。

関連情報URL : https://minkara.carview.co.jp/userid/1275711/car/3028334/7852271/note.aspx


18,デサルフェーターによる効果

バッテリー内部にはびこるサルフェーションががこのURLの6と7に示すように、大きく減少し、バッテリーにもよるが、CCA
値が2倍から3倍になり、内部抵抗は1/2から1/2.5になる。

https://minkara.carview.co.jp/userid/1275711/car/2658098/5231120/note.aspx

 



ども、Dynaです。

 レポートありがとうございました。とてもレベルの高い内容に、なかなかついて行けませんが、ACアダプタの改造方法は、とても
分かりやすくて、参考になりました。ただ、ACアダプタを使う方式は、車を多く使用する家内には無理と判断しました。夏のサンバ
イザーですら面倒がって、時々設置しないでいるくらいなので・・・・。
 そこで考えたのは、「ソーラーパネル方式なら可能性あるかも。」です。minkaraのレポートを拝見したところ、4Wのソーラーパネ
ルとPWMコントローラーがあれば可能とか。(但し、ACアダプタより劣るとのこと。) 見た限り、結構大きなパネルですね。
 車のフロントにそっと置いて、運転中は気が付かない物なら良いかも?と思いましたが、ちょっと厳しいかもです。
 車の使用を終える時は、毎日車庫に入れて、EV車のようにプラグを車に挿して離れる。そんな感じの仕組みが作れれば良いですね。
もう少し研究します。
 
     By Dyna

 

                                                          Dynaまでメール 

 

 

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