NO.326     
                          By Yank さん  (2017.06.25)

 

 

 電源を入れても、まったく動かない!(セラコンショート)


    NEC PC-LL750F26Bの復活


 ども、
Dynaです。

 

 当方も時々買ってしまう不動PCの中に、まったく「ウンともスンとも言わない」ものがあります。電源を入れてもFANや

 

HDDが回らないだけでなく、LEDランプも点かない状態ですね。

 今のところ、手が付けられなくて放置状態ですが、このような状態のノートPCでの修理例を、毎回お見事な修理レポー

 

トを送ってくださるYankさんから、またまたレポートを送っていただきました。ありがとうございます。

 今回も前回と同じセラコンの破損が原因です。しかし、前回はテスターだけで特定できてしまったため、熱で見つける

 

方法の実際は記載されていませんでしたが、今回はその辺があり、どの部品が破損しているのか特定するプロセスが、

 

大変参考になります。 

 

  前回のレポートと同様に、電気の理論に疎い当方から、なるべく「難しい用語を避けて分かりやすい言葉で」とお願い

 

しました。それでも、何回も読み直さないと前に進まない場合がありますが、頑張って読破してください。

 

  では、早速拝見しましょう。

                                                             
By Dyna   メール


 

   NEC PC-LL750F26Bの復活



1,<またもやNECノートのセラコンショート>



 今回、親戚からのリクエストで、NEC PC-LL750F26BというノートPCを復活させる機会がありました。CPUに、Core i7

 

-2670QM とメモリー 8GB というややハイスペックなモデルで、症状は電源ボタンを押しても、全く反応せず、LEDも一切

 

点灯しないというものでした。このPCを購入した家電大手のY電機に持参し、修理見積もりをしてもらったところ、最近の

 

新品なら買える程だったそうで、買い替えも視野に入れたそうです。

 

 でも何とかならないものかと、親戚は私に相談してきたのです。

 

 

   CORE i7のラベル


 このスペックのPCをゴミにしてしまうのは勿体ないと思うのは私だけではないでしょう。親戚のためにも、何とかしなきゃ

 

と思い、電源が入らない理由を探ることにしました。3年前、やはりNECのノートPCを復活させる機会がありましたが、そ

 

の原因はセラコンの内部ショートでした。この時は、0.01Ωのオーダーまで読めるテスターを使い、並列に沢山使われて

 

いるセラコンの中から、最小の抵抗値を示すものがショートの元凶であることを突き止めました。モデルは、PC-LS150

 

BS6Wというものでしたが、以下にその詳細があります。


http://akipara2.sakura.ne.jp/new_page_756.htm

 



 セラコンショートによる故障という事例はNECのPCには結構多いようで、上の記事で紹介したようなもの以外に、その

 

後のモデルでも、ネット上に沢山の事例が見つかり、この故障の傾向は否めないようです。私のボランティア仲間の話

 

にも、NEC PCの電源入らずは、まずセラコンショートを疑うべし、というのがあるくらいです。

 


2,<抵抗値+熱で特定>

 そういう思いもあって、まずは、ショート箇所がないかと、PC-LL750F26Bのメイン基板を露出させて調べてみました。

 

結果はやはりそうでした。0.3Ω前後の抵抗値を示す箇所があちこちにすぐ見つかったのです。下の写真の箇所では0.33

 

Ωと表示していますが、右手でカメラを持ち、左手だけで2本のテスターリードを箸のように持ち、セラコンに当てているの

 

で、強く接触させられず、やや大き目の値が表示されていますが、リードの当て方で、抵抗値は小数点以下2桁目はすぐ

 

に変わってしまいます。それで、かなり力を入れてリードを持つか、必要によっては、半田付けして抵抗値を測る必要が

 

あります。

  
0.33Ωでショート

 取り敢えず、テスターを駆使して、分かったのは、次の写真で示す、赤白リードを半田付けしたところから左に並んでい

 

る4個が他のどれよりも揃って僅かに低いことでしたが、その中の1個を抵抗値だけで特定することは困難でした。それで、

 

以前、概要を紹介した低電圧の電源を簡易的に組んで、ショートしたセラコンだけを発熱をさせて、見つけることにしまし

 

た。

 

 

  下の写真の上部はCPUの場所で、下寄りは、CPU用電源部ですが、抵抗値が低い4個の一番右側に付けた赤と白の

 

リードに0.332 Vを印加し、赤外線温度計で温度を測ってみました。そうしたところ、やはり、この部分が他より暖かいこと

 

を確認し、人差し指で触れると、右から2つ目が他より暖かかったのです。 駄目押しで、1.256Vだった元電源の電圧を上

 

げて、3Vを超えるまで上げてみましたが、暖かいを通り越して、熱くなりました。




 このとき、ショットキ−ダイオードのVfでクランプされ、基板に印加される電圧は0.4Vまでしか上がりませんでした。可変

 

直流電源の電流表示は1.8Aになりましたが、これには、ショットキーダイオードに流れる電流を含んでいます。0.4Vという

 

電圧になったことで、0.27Ωになってしまっているセラコンに流れる電流は増え、計算上、


  0.4V/0.27Ω≒1.48A


と1.5A近い電流が流れ、ショットキーダイオードには約0.3Aが流れたことになります。セラコンの発熱は、


  P=電圧の2乗/抵抗 で求まるので、


  =0.4x0.4/0.27


  ≒0.59W

 

と0.6W弱の熱が米粒程の部品から発生することになり、熱いのも頷けます。


 

    絞った4つのセラコンの1つに赤白のリード線を付けた

 

 



赤外線温度計の写真2枚



   CPU電源部以外はどこでも23.7℃



   CPU電源の右から2個目のセラコンは26.2℃

 

 



 2本の半田ごてを使って、その熱を帯びているコンデンサを基板から外し、テスターで確認してみたところ、0.27Ωと

 

とても低い抵抗値を示しました。間違いなく、これが悪さをしていたことが分かりました。

  0.27Ωでショートしていたセラコン

 



3,<半導体は壊さない簡易低電圧電源の詳細>



 尚、低電圧の訳は以前書いたように、半導体には電流は流さず、リニアーな電流特性(印加電圧と電流が正比例する

 

特性)のものだけに電流を流して、発熱させるためです。これに関しては、以下にある論文(電流−電圧特性測定による

 

半導体デバイス解析)を見てもらうと、詳細が書かれており、分かり易いかと思います。


http://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20170611003632.pdf?id=ART0009902739

 

 


 もし、全部を見る余裕の無い人は、59ページの右上の図7 PN接合の電圧−電流特性(実測値)グラフだけご覧下さい。

 

pn接合の半導体には0.5V以下の電圧を加えても、電流は殆ど流れないということがお分かり願えるかと思います。



 このレベルの低電圧なら、半導体に電流が流れる心配はなく、故障させる心配は無用ながら、殆どショート状態になっ

 

ているセラコンには大電流が流れ、発熱します。この原理を使って調べるために、本来なら、低電圧の定電流電源を用

 

意すべきですが、急いでいたために、手持ちのもので即対処できるようにと、下の写真のような、可変直流電源に抵抗と、

 

Vfの低いショットキーダイオードを外付けにしたものだけで対処しました。

 


 可変直流電源は出力電圧を最低にセットしても、1.256Vにしかならず、まだ高過ぎのため、2.7Ωを並列にした

 

1.35Ωを出力端子に付け、反対側はショットキーダイオード EC31QS03L(Io 3A, Vrrm 30V, Vf 0.45V max)をGND間に

 

入れて、電圧をクランプしました。これにより、下の写真で示すように、電圧は0.332Vとなり、電流は、最大でも計算上、

 
  1.256V/1.35Ω≒0.93A


しか流れません。今回、ショートしたセラコンには0.27Ωの残留抵抗があったので、実際には


  1.256V/(1.35Ω + 0.27Ω )≒ 0.78A


の電流が流れるとこになり、発熱は計算上、電流の2乗と抵抗値の積ですから、

 
  0.78A X 0.78A X 0.27Ω≒0.16W


であり、指で触ってもほんのり暖かいだけで、前述のように、電圧を上げて熱いと感ずることで確証を得た次第です。

 



電源の様子2枚


  

   手持ちの電源装置は出力電圧を下げきっても 1.256V

 



  

   抵抗とショットキーダイオードによる低電圧アダプターで0.332Vを得る



 ショートしたセラコンの容量は不明ですが、手持ちの国産のムラタ製の1uF B特性のものに付け替えてみました。そして、

 

組み上げて通電したら、このようにちゃんと起動しました。 果たしてこの値で良いかという不安はありますが、PCは全く

 

問題なく動作しており、様子を見てもらうことにしました。

 

 



   セラコン交換後、通電するようになり、起動した画面



 セラコン1個で直ってしまい、PC-LL750F26Bを受け取った親戚は、新品を買わなくて大正解だったと大喜びでした。

 私がもし直せなかったら、親戚の期待を裏切るところでしたが、以前、下の<余談>のようなことがあったりし、親戚は、

 

私が昔取った杵柄はまだ使えるだろうと期待していたとのことでした。

 



4,<余談>

 以前、この親戚のベンツがまともに走らなくなり、正規ディーラーであるヤ社の修理見積もりが、エンジンのメインハー

 

ネスとETAと呼ばれる高額部品のアセンブリ−交換で、約50万円ということがありました。急な出費に困った親戚は私に

 

相談してきました。結局、ディーラーには修理依頼せず、私が材料代5000円+DIYで直してしまったことがありました。

 

その詳細は私のブログにありますが、PC関連ではないので、ここでは割愛させてもらいます。電子技術がある程度分か

 

ることで、その気になれば、電子機器が身の回りに多い現代社会では、結構、いろいろなものが直せてしまうものだと自

 

分でも不思議です。



 車も電子化が進み、ECUを始め、マイクロコンピューターの載ったいろいろな制御装置が使われていて、それらが壊れ

 

ると、車屋さんはアセンブリ−交換しかしませんというか、できません。そして高額な修理代がかかります。しかし、私の場

 

合、悪い素子を見つけ出し、その部品1点の交換だけで直してしまうようにしています。不思議なことに、今のところ95%

 

以上がそれで直ってしまっています。故障の多くが、電解コンの劣化半田クラック駆動トランジスタ焼損接触不良

 

いうように半分程は目だけでも分かるということを知ってしまいました。口コミ等で私のやっていることが近在に知れ渡り、

 

現在、5つの車屋さんから声が掛かるようになってしまい、結構忙しいこともあります。4月に紹介した、故障したパナソニ

 

ックの高機能オーブン電子レンジは車屋さんにあったものでした。

 

 

 

 


 追記:今回の投稿がショートした部品を見つける手段として、ジャンカーの皆さんの参考になれば私としては幸いです。

 

 

 

 


 

 ども、Dynaです。

 セラコンショートの第2弾レポートありがとうございました。前回のは3年前なので、ちょうど当方が前立腺がんの全摘

 

出手術をしたあとの時で、ちょっと懐かしかったです。


 その時のレポートから比較すると、大変分かりやすく書いていただき、ありがとうございました。全体の流れは分かるよ

 

うになったのですが、沢山あるセラコンの中からショートしているもの探し出すことは、かなり難しそうですね。特に、

 

1/100Ω単位で計測できる機器が必要かつ、端子の当て方次第で値がフラフラするのでやっかいですね。


 でも、そんな困難な修理も、理論と経験と技術で95%は直せてしまうとは立派だと思います。当方も家族からは「修理

 

の神様」的に見られていますが、尊敬と言うよりも便利屋的な位置づけになっております。しかし、ほとんどが雑な扱いに

 

よる破損が原因のため、本人のためにならないので、再発防止について、強く認識を持った場合のみ直してあげること

 

にしました。


 今回と、前回のセラコン修理と読みますと、関係者に大変喜ばれており、当方も家族を越えて貢献できればと思った

 

次第です。ありがとうございました。また、お願いします。

 

 


                                                         By Dyna   メール

 


 

 

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