日立FLORA 330W DG5 コンデンサ交換、
OSインストール検証報告
ども、Dynaです。
ジャンク道まっしぐらの当方ですが、ジャンク好きであっても、高性能の製品には憧れます。ですから、世間の皆様
からすると一周遅れ、二週遅れのPCで喜んでいるのですが、そうは言ってもCPUで言うところのシングルコアPCとは
「さよなら」体制に入っています。それは、性能の問題もさることながら、排熱や騒音の問題が大きいからですね。
当方はスリムPC好きなので、ペンティアム4のNEC機を大量に買い込みました。その多くはコンデンサー不良でしたの
で、皆さんに教えていただいて無事交換をすることが出来ました。しかし、その成功に味をしめて、使う目処も無いのに
さらに大量のコンデンサー不良なスリムPCを買い込んでしまったのでした。本末転倒というやつですね。でも幸せでした。
なぜなら、MBを外してコンデンサー交換し、無事に動いた時は、とても充実感があったからですね。
最近では、あまり情報の無いコンデンサー交換ですが、「PC系電気いじり」の原点がある気がします。当方も、この
スキルは大切にしており、今後発生するかもしれない難問に、大変役立つ可能性があります。ですから、皆さんも是非と
も参考にしてください。 では、Nobさんのレポートを拝見しましょう。
日立FLORA 330W DG5 コンデンサ交換、OSインストール検証報告
2013/08/16 By Nob
1.はじめに
「私のお宝(ジャンク)無償で譲ります」No.581で、 nanayaku様より無償提供していただいた、M/Bのコンデンサが
膨張・液漏れした日立のPCですが、応募者は1名のみのため、抽選なしで当選となりました。最近、Dynaさんのサイト
だけでなく、ネット全体にジャンクネタが少ないので、「またか…」のコンデンサネタですが、ご提供します。
2.お宝概要
図1 外観 図2 内部
【PC】日立FLORA 330W DG5 (図1、2)
http://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/OSD/pc/flora/prod/desktop/flora330wdg5/spec.html
【M/B】GIGABYTE GA-8I865GVPRC REV:1.1
【CPU】Intel Pentium4 3EGHz / HT
(Socket478 / Prescott FSB800MHz
最大消費電力 89W)
【メモリ】PC3200 256MB (Max 2GB)
【HDD】HGST HDS728040PLAT20 (IDE-40GB)
【ODD】MATSUSHITA SW-9583S マルチドライブ
【電源】AcBel API4PC34 / Total 250W
【発売】 2004年11月
約9年前のPCです。当時はシングルコアが主流でしたが、一部の上位機種には本機のようなハイパー・スレッディン
グ・テクノロジのインテル製CPUが採用されていました。「CPUクロック数=性能」という図式が成り立ち、クロック数の
上昇に伴い消費電力も増加していました。
3.コンデンサ交換
提供者さんのコメント、
「写真通り、CPUファン横の電解コンデンサ8本中5本に、膨張や液漏れが発生しています(図3)。」
見た目に問題が無いものも含め、8本全部を交換しました(図4、5)。
nichicon HM(M)/3300μF、6.3V、105℃/黒 膨張。液漏れ
⇒ SANYO(現 SUNCONサン電子) WG/3300μF、6.3V、105℃/緑
液漏れしたコンデンサは日本製のニチコンですが、本機と同時期(2004年頃)に製造されたDELLやHPのPCでも、ニチ
コン製コンデンサの液漏れが問題になっていました。
CPUの熱風が直撃するファン真横にコンデンサを配置する設計もどうかと思います、製造時期からしてDELLやHPと同
様にコンデンサ自体に問題があった可能性があります。
★Dynaの秋葉原ジャンクパラダイス
〜DELL Dimension8300 コンデンサ交換〜
http://akipara2.sakura.ne.jp/new_page_512.htm
〜P4-3.2GHz NEC MY32V のコンデンサー交換〜
http://akipara2.sakura.ne.jp/new_page_588.htm
★CNET Japan
〜デル1社では済まない PCメーカーを揺るがす不良コンデンサ 〜
http://japan.cnet.com/news/tech/20091696/
★Wikipedia 不良電解コンデンサ問題
4.M/B確認
図6 M/B全体 図7 ディップスイッチ
M/B(図6)のI/Oパネル付近に8連のディップスイッチ、CMOSクリアと思われるジャンパピンがあります(図7)。
ディップスイッチのNo.1〜6はON、No.7,8はOFFとなっており、No.7,8には製造工程時のチェックで行ったと思われる黒
マジックが塗られています。
No.7,8のスイッチは、CPUのFSB切替え(533/800MHz)ではないかと考えています。また、M/Bに見える色鮮やかな黄
緑色のスロットはAGPですが、ケースの形状的な制約により、AGPカードを取り付けることはできません。背面のLPT(パ
ラレル通信)ポートを取り外せば、ロープロファイルのAGPカードを取り付けることが可能と思われます。
図8 M/B裏側
M/Bを裏返すと、茶色に変色している部分がありました(図8 赤枠部)。
変色部分の反対側を見ると、Power MOS-FETがあります(図9、10)。 ネット上の情報には、「電解コンデンサが逝か
れるとリップル電流量が増えて、ますます電解コンデンサとMOS-FETに負荷がかかるという悪循環が生じる」とあります。
本件のMOS-FETの異常発熱による基板変色は、電解コンデンサの容量抜けが主原因なのでしょうか・・・。
★たるさんのパソコンフィールド
〜マザボの修理と理想の電源(もう少し重傷編) 〜
http://www.ne.jp/asahi/comp/tarusan/main87.htm
5.WinXP 32Bit版インストール
メモリを256MB→1GBに変更して、WinXPをインストールしました。WinXP用の各種ドライバは、日立HPよりダウンロード
できますが、IntelやRealtekのHPのドライバの方が、日立よりバージョンが新しいです。動作確認として映画DVDを再生
すると、映像は滑らかで、特に問題は見られません。
・LANドライバ Intel PRO/1000 MT Network Connection for XP
日立HP: Ver.7.19
Intel HP: Ver.8.10.3.0
・グラフィックドライバ Intel 82865G Graphics Controller for XP
日立HP: Ver.6.14.10.3865
Intel HP: Ver.6.14.10.4396
・サウンドドライバ Realtek AC'97 Audio for XP
日立HP:Ver.5.10.0.6050
Realtek HP:Ver.5.10.6300
・Intel Chipset Software Installation Utility for XP
日立HP: Ver.6.0.1.1002
6.Win7 32Bit版インストール
図11 ドライバのインストール状況
DELL用インストールDVDを使用して、試しにWin7Proのインストールを試みたところ、未認証状態ですがインストール
は完了しました。サウンドドライバのみインストールされていません(図11)が、Win7用のサウンドドライバは、Realtek
サイトからダウンロードできます。LANやグラフィックドライバについては、Win7のインストールディスクに収録されたもの
が最新版らしく、intelのHPにWin7用ドライバは掲載されておらず、今後の提供予定も無いとなっています。
・サウンドドライバ Realtek AC'97 Audio for Win7
Realtek HP:Ver.6.0.1.6305
図12 エクスペリエンス インデックス
一通りインストールが完了し、映画DVDを鑑賞したところ、XPでは問題にならなかったのですが、Win7では少しカクカ
クした動画になります。(デスクトップはクラッシックに変更し、アニメーションもOFF)。エクスペリエンス インデックスを確
認すると、グラフィックスとゲーム用グラフィックスは最低評価値の「1.0」です(図12)。
図13 XP用ドライバのインストール
グラフィックドライバを変更すれば、この評価値は改善される可能性があるため、intel HPのXP用ドライバのインスト
ールを試みましたが、エラー表示がされてインストールできませんでした(図13)。 上記のようにインテルからWin7用の
グラフィックドライバの提供予定は無いため、この対処法として次の3手段を検討しました。
(1) WinXP用のドライバを無理やりインストールする。
Win7の[互換性]タブでWinXP互換モードにして、WinXP用のドライバをインストール。
(2) Vistaのインストールディスクからドライバを抽出。
(3) Win7用ドライバが提供されているPCIグラフィックカードを増設する。
★整備時々農業生活
〜RADEON 7000や865G/845G Graphics ControllerをWin7で使用する〜
http://minkara.carview.co.jp/userid/622131/blog/22509166/
★yukinork's blog
〜Windows 7 で Intel 82852GM/82855GM グラフィック ドライバを入れてみる〜
http://blogs.technet.com/b/yukinork/archive/2009/12/28/windows-7-intel-82852gm-82855gm.aspx
図14 互換モードによるインストール
これら方法のうち、一番簡単な(1)の方法を行いました(図14)。
図15 Win7 インストール直後 図16 互換モードによるXPドライバのインストール
この結果、ドライバはインストールできましたが、ドライバのバージョンが古くなりました(図15、16)。
肝心のグラフィックの評価は、1.0→1.9と改善されました(図17)。この状態で再度、DVDをWindows Media Player
を見ようとしたら、いきなりブルーバックになり、再起動がかかりました。サポート外のOSでのドライバ使用は無理があ
ることが分かったので、Win7インストール時の標準ドライバに戻しました。この状態で再度エクスペリエンス インデック
スの評価を行ったところ、ドライバを戻したにもかかわらず、グラフィックの評価は1.9のままでした。
ドライバをロールバックしたことで、Windows Media Playerの動作は正常になりましたが、まだDVD再生画像はあま
り滑らかではありません。プレーヤーソフトをWindows Media PlayerからGOM Playerに変更したところ、かなりまとも
に再生されるようにはなりました。このような状況より、この機種はWinXPで使用するのが無難でしょう。
7.まとめ
DynaさんがNECのスリムマシンで実施されていたような高性能&低消費電力CPUへの交換も検討したかったのです
が、本機ではCPU交換に関する情報がネット上に見つからなかったので、コンデンサ交換とWin7インストール検証とい
う内容になりました。
当時、「ハイパー・スレッディング」という単語に、憧れすら感じていたのに、時代は流れ、コンデンサに不具合がある
とは言え、今回の応募者が自分一人だったのは、少し寂しい気がします。裏を返せば、それだけ技術が進歩している
のだと、感動しなければいけないのかもしれません。また近年では、新品PCの低価格化や情報端末の多様化(スマホ、
タブレットなど)のためか、PCジャンクに関する情報が以前と比べ少なくなっているのが残念です。
最後にPCを提供していただきましたnanayaku様、またサイト運営のDyna様、ありがとうございました。
ども、Dynaです。
レポートありがとうございました。拝見し終わって、Nobさんがおっしゃるように、時の流れ・技術の進歩を感じます。
CPUはシングルコアからダブルコア、そしてクアッドコアへ進歩していますね。HDDもTBが当たり前になってしまいまし
た。そうこうしているうちに、OSは間もなくWindowsXPが終了します。そのため、当方もWindows7への移行を試みてお
ります。
特にWindows7への移行については、メリットがどの程度あるのかの疑問もあり、WindowsXPに慣れた当方にとって、
Windows7は苦痛でもあります。なぜなら、慣れ親しんだメーラー等のソフトを変えなければならないからです。つまりメリ
ットがあまり感じられないのですね。
しかし、ハードとソフトの相互作用により、PCが日夜進歩しているのは事実でしょう。当方がこのHPを始めた頃の機器
を検証する限り、その進歩は明らかですから。
最近のスマホやタブレットに代表されるように、高密度化する電子機器のため、我々ジャンカーが介入できる世界は、
ますます狭まって来ていますが、それらがジャンクで出回るのは時間の問題です。そこに新たな「ワクワク感」が発生す
るのも事実ですよね。その時にコンデンサー交換の技が必要かは、分かりませんが、精神は継承されますので、この
「ワクワク感」を大切にしていきたいと思います。お互いに頑張りましょう。