NO.238                                       By nobさん    (H23.10.05)

ECS製マザーボード L4S5MG/651+

BIOS書き換え (+ FIC製マザーボード VG33動作確認)
 

 ども、Dynaです。毎度有用な情報を提供してくださるnobさんからBIOS書き換えのレポートをいただきました。

ありがとうございます。MBのBOIS書き換えは当方も過去数回やったことがあるのですが、正直緊張します。

それは、間違えるとMBそのものが使用できなくなるからです。できれば避けたい作業ですが、逆に理解できる

と、故障したMBを復活できるため、ジャンクの世界では楽しみにされている方も多いかと思います。今回も無

事動くようになりましたので、勉強させていただきましょう。   By Dyna   メール  


ECS製マザーボード L4S5MG/651+ のBIOS書き換え

(+ FIC製マザーボード VG33動作確認)レポート



1.はじめに

 
【写真1 L4S5MG/651+ Ver.3.02】

「私のお宝(ジャンク)無償で譲ります。No.455」HISAさんよりECS製とFIC製のSocket 478マザーボード

(以下M/B)を頂きました。


HISAさんのコメントによるとECS製は、「BIOS更新を失敗したため、Unknown Flash Typeと表示されます。

(起動はします。元ファイルが無いため戻せませんでした)」とある。FIC製は特に不具合は無いようですが、

今回はこれらのM/Bについて検証します。



2.お宝概要

   
                                                            
【写真2 PLCCタイプBIOS ROM(2Mbit)】

【メーカー】Elitegroup Computer Systems(ECS)

【品名】M/B [写真1、2]

【型番】L4S5MG/651+ Ver.3.02

【メーカーHP】

http://www.ecsjpn.co.jp/products/socket478/l4s5mg651p_302.htm

【その他】コンデンサはOSTやG-LUXONだが、今のところ液漏れは見られない。

 



3.状況確認


【写真3 Unknown Flash Type】


動作確認に必要な最低限の機器を接続し、電源を入れる。HISAさんのコメント通り起動するが、オンボード

VGA接続によるモニタには「Unknown Flash Type」と表示される[写真3]

CMOSクリア、コイン電池(CR2032)の電圧測定と新品への交換を実施したが、状況に変化は見られない。

 



4.BIOS書き換え方法の調査

Unknown Flash Type」と表示されることを除けば、通常通りブートし、BIOS設定画面にも入れる。このため、

BIOSデータを入手できれば、BIOSの上書きで修復できる可能性が高い。ECSのHPを確認すると、「1.0a」、

「1.0d」、「1.0e」、「1.0f」、「1.0g」と5種類のBIOSデータとBIOS書き換えソフトが掲載されており、これらを

ダウンロードした。
 


次にBIOS書き換えに失敗した原因を推定する。先日、DatniodeathさんのHPにおいて、「ECSのM/BでBIOS

を更新する際、ブートブロック更新のオプションスイッチを付けなかったため、BIOSを飛ばしてしまった。BIOS

更新時のオプションスイッチの設定方法はECSのHPに記載してあった」と書かれていたことを思い出した。
 

本件のM/BのBIOSはAWARD製なので、ECSのHPにある「AWARD DOS(How to use AWARD Flash

Utility?)」を参照した。そこには、

"A:\> (BIOS書き換えソフト名) (更新BIOSファイル名) /cc/cd/cp"

と、オプションスイッチを付けるように指示されている。

 

【写真4 AWARD Flash Help】

早速、起動用FDを作成し、BIOS書き換えソフトAWARD Flashの起動時オプションスイッチを「/?」としてヘルプ

画面でオプションスイッチの意味を確認した[写真4]。ヘルプ画面より、「/cc/cd/cp」はCMOS Data、DMI

 Date、PnP(ESCD) Dataのクリアスイッチであることが判明。BIOS更新に失敗した原因は、クリア機能の

あるオプションスイッチを付けなかったことによるものではないかと推察した。


★ECS L4S5MG/651+ (V3.02)

http://www.ecs.com.tw/ECSWebSite/Product/Product_Detail.aspx?DetailID=29&CategoryID=1&MenuID=18&LanID=5

★Datniodeath's JUNK Labo

〜その62:アロシステム Lesance DT PART3 BIOS復旧 編〜

http://blogs.dion.ne.jp/datniodeath/archives/10146775.html

★ECS How to use flash utility

http://www.ecs.com.tw/extra/flashutl/index.html


 



5.BIOS書き換え


BIOSデータとBIOS書き換えソフトが入手でき、書き換え時のオプションスイッチの設定が分かったため、

次にFDを使用してBIOSの書き換え作業を行う。


BIOSは最終版の「1.0g (51402.bin)」、BIOS書き換えソフトはECSに掲載されているAWDFLASH v8.60Bを

使用する。BIOS書き換えにあたり、M/Bのジャンパースイッチ(JP3)を変更し、BIOS書き込み可能状態に

しておく必要がある。


【写真5 BIOS書き換え中】

AWARD FlashのオプションスイッチをECSの指示通り「/cc/cd/cp」としてBIOS書き換え作業を開始[写真5]


順調にデータが書き換えられていると思ったら、いきなり画面全体が白いブロックで埋め尽くされた。画面

中央では、文字化けしたような数字が動いているが、正常なカウントアップではなく、待ち続けても書き換え

作業が終わる気配がない[写真6,7]

 

 
  
【写真6 BIOS書き換え失敗】                          【写真7 BIOS書き換え失敗(拡大)】


やっちまった… orz




強制的に電源を落として再起動してみるも、ビープ音もないし、画面には何も写らない。COMSクリアでも
改善

されない。このM/Bには、Dual BIOSが搭載…、されていない。


しかし、まだ諦めた訳ではない。BIOS書き換えリスク低減を図るために開発された「ブートブロック方式」があ

る。Wikipediaによると、「BIOS ROMを2つ以上の領域に分割し、出荷後に書き換えない部分と書き換える部

分を設けるものである。書き換えない部分をブートブロックといい、BIOSを書き換えるための必要最小限の

機能が含まれている。したがって、書き換え中の電源断などで書き換えに失敗した場合でも、ブートブロック

を使用することで再度書き換えを実施することが可能。」とある。ブートブロックが生きていれば、FDDへのア

クセスがあるはずである。


早速、起動可能なFDを挿入し、電源を入れるとFDDのアクセスランプが点灯した! が、オンボードVGA端子

に繋いだ画面には信号が来ていない。このM/BにはAGPスロットがあるので、AGPのグラフィックボードを挿

し、電源を投入すると画面に表示が現れ、「BIOS ROM checksum error」とある[写真8]

【写真8 ブートブロックによる起動】
 




★Dynaの秋葉原ジャンクパラダイス

〜No.227ジャンクマザーボード5点の動作確認とBIOS書換えチャレンジ〜

http://akipara2.sakura.ne.jp/new_page_613.htm

★Dynaの秋葉原ジャンクパラダイス

〜GENOに初挑戦、\1980の省スペースパソコンFMV6633CL6sは〜

http://akipara2.sakura.ne.jp/new_page_119.htm





6.BIOS再度書き換え


今回、BIOSの書き換えが失敗した原因として、

1.ダウンロードしたBIOSデータが壊れている

2.ダウンロードしたAWARD Flashのファイルが壊れている

3.BIOSデータが今回のM/Bに対応していない

4.使用したAWARD FlashのバージョンとBIOSデータのマッチングが悪い

5.M/B故障

が考えられる。



BIOSデータやAWARD Flashは圧縮形式でネットに掲載されているので、仮に壊れていれば正常に解凍が

できないと思われる(たぶん)。バージョンの異なるAWARD Flashを使用すれば正常に書き込みできるとい

う情報もあるため、複数のバージョンのAWARD Flashを使用して、First releaseの「1.0a」でBIOSを書き

換える方針とした。



先に使用したAWARD FlashはVer.8.60B。ネットで異なるバージョンを探すと、Ver.8.23z、8.10am、7.87dが

見つかった。



★マスタードシード株式会社 BIOS更新ツール

http://www.mustardseed.co.jp/epoxbios/awardflash.html


Ver.8.60B、8.23z、8.10amでBIOSデータ1.0aの書き換えを試みるも、写真6、7と同じになり、書き換えに

失敗する。
 

【写真9 BIOS 1.0aでの書き換え】

Ver.7.87dに最後の望みを託して書き換えを行ったところ、正常に書き換えが終了し、再起動により正常な

ブート画面が確認できた[写真9]。なお、これらの書き換えは、オプションスイッチなしで実行した結果である。

そして、当初問題となっていた、「Unknown Flash Type」の表示は、BIOS更新プロテクトジャンパスイッチ

JP3をOFF→ON(書き換え禁止)に変更しても、表示されることはなかった。



このAWARD Flash Ver.7.87dを使用してオプションスイッチなしで、1.0a(5110a.bin)、1.0d(5110d.bin)、

1.0e(5110e.bin)、1.0f(51226.bin)、1.0g(51402.bin)の5種類のBIOSを書き換えたところ、すべて書き換え中

にエラーが発生することなくBIOS書き換えを行うことができた。但し、1.0f、1.0gでは、JP3をONにすると

Unknown Flash Type」が表示された。このため、最終的にBIOSバージョンはHyper-Threading CPUに

対応した1.0eとした[写真10]

【写真10 BIOS 1.0eでの書き換え】



なおこの後、再トライとしてAWARD Flash v8.60Bで、今回はオプションスイッチなしとして1.0gに書き換えた

ところ、また写真6,7のように書き換えに失敗したが、再度上記の方法により復旧することができた。



7.まとめ

今回、「Unknown Flash Type」が表示された原因については解明できなかったが、以下のことが分かった。

・BIOS書き換えに失敗しても、ブートブロックが正常な場合は、FDDへのアクセスがあり、また、オンボード

VGAに画像信号がなくても、ビデオカードを挿すと画像出力される場合がある。この場合は、BIOSの修復

が可能。


・BIOS書き換えソフトのバージョンを変えると、正常に書き込みできる場合がある。

・M/Bのメーカーによっては、BIOS書き換えソフト使用時のオプションスイッチが指定されている場合がある。

BIOSバージョンを「1.0f」、「1.0g」にしたアップデートした場合に、今回のような不具合が生じる事例について

ネットで検索した。その結果、以下のサイトにおいて、「BIOSを1.0d→1.0fにしたら「Unknown Flash Type」と

表示されたが、書き換えソフトのオプションスイッチを /f としたら、正常にアップデートできた(/F:強制書込

み)」とある(英文なので、一部推定)。


今回、BIOS更新ソフトのバージョンやオプションスイッチを正しく選択しないと、正常にBIOSを書き込めない

だけでなく、起動できなくなる恐れがあることを身をもって体験することができ、非常に勉強になった。

★RELICNEWS

〜Updating BIOS, confused as to which file I should choose.〜

http://forums.relicnews.com/printthread.php?t=121427





(おまけ) お宝概要 その2

【写真11 VG33】



【メーカー】First International Computer(FIC)

【品名】M/B [写真11]

【型番】VG33

【メーカーHP】

http://www.fic.com.tw/product/motherboard/intel/VG33.aspx

【その他】使用されているコンデンサはRubycon、SANYO、TEAPO。
 

【写真12 起動画面】

起動するとeMachinesのロゴが表示される。このM/Bは、J2950などのeMachinesのJ2000番台のデスクト

ップPCで採用されていた[写真12]



★Unofficial eMachines Tech Info

〜Motherboards Used In Japanese Models〜

http://www.e4allupgraders.info/dir1/support/jp_motherboards.shtml



【写真13 eMachinesダウンロード】

eMachinesのサイトで、J2000番台のドライバー、BIOS等を探しても、J2000番台は切り捨てられたのか、

ダウンロード可能な機種は選択肢にない[写真13]



【写真14 FICダウンロード】

一方、FICのFTPサーバからは、BIOS(初期バージョンのみ)、ドライバ、マニュアル等をダウンロードできる

[写真14]

★First International Computer

〜Motherboards Support Center VG33〜

http://www.fic.com.tw/support/motherboard/motherboard.aspx?model_id=119


正常に起動し、新しいBIOSバージョンも入手できないため、以上で確認を終了した。


 


 あとがき

 BIOS書き換え成功、ご苦労様でした。みごとな作業ですね。当方は今、特定のスリムPCに凝っているので

ほとんどBIOS関連のジャンクに当たりません。それはある意味幸せですが、まったく勉強にならないのも事実

ですね。そのため、今回のレポートについても、かなり??なところがありました。これらはある程度経験しな

いと分からない気がします。すぐにチャレンジする可能性はありませんが、その時が来たら参考にさせていた

だきます。ありがとうございました。 By Dyna  メール  

 

 

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