NO.307 By TAKAさん (2016.04.20)
原因は「スルーホール」部の○○○○でした。
フルセグDVDプレイヤーの修理
ども、Dynaです。
秋葉のジャンク街に出回っているジャンクの中には、高度な電子技術が無いと直せないものもあれば、ちょとした 技術
・経験があれば直ってしまうものもあります。ジャンクを漁って修理をもくろむ当方には、その辺の見極めを瞬間にしない
といけないので、結構緊張しながら巡回しています。(うそです、楽しんでます!)
その時に役に立つのは、数々の修理レポートや故障の情報などです。ジャンク店では、丁寧に故障の状況を書いて
くれている場合もあるため、その場でインターネット検索をすると、瞬間に修理方法が分かることもあり、その時はうれ
しくて 飛び上がってしまいますね。(うそです、そう思うだけです。)
と言うことで、修理のレポートが長かろうが、短ろうが、これらの情報は大変に役立つので、当方のHPでは、よろこん
で UPしている次第です。というのは、自分でも秋葉原で自分のHPを見ることが多いからということもありますので・・・。
さて、いつも有用なレポートを下さいますTAKAさんから、今般、DVDプレーヤーの修理レポートを送っていただきました。
秋葉で多く見かける、DVDプレーヤー等の、格安機器については、故障している物が多く、また簡単に壊れることでも
有名なので、修理レポートは大変役立ちますね。今回は、意外な故障原因でした。早速拝見しましょう。
By Dyna メール
<< フルセグDVDプレイヤーの修理 >>
こんにちは、TAKAです。
皆さんのお役に立つ情報になればと思い、投稿させていただきます。
今回はジャンクのフルセグDVDプレイヤーの修理レポートです。
思わぬ所が不具合だったので、同様な修理をされる方の参考にと
投稿させていただきました。
フルセグDVDプレイヤーの修理
1.はじめに
TAKAです。
ハードオフで12インチ、フルセグ、DVDポータブルプレイヤーを見つけたのでした。
しかし、当初はリモコンもなく、ジャンクですのでどうなのか?
リモコンが無いとチャンネル設定が出来ないので、その時はスルーしていたのです。
ところが、2週間ほどしてリモコンがジャンクで見つかったのです。
これは買えと言うことか、でもまだ現品はあるのかと見たら残っていました。
そこで、ダメもとでゲットしたのです。
今回のレポートは想像もしていなかった部分が原因だったレポートです。
修理前の状態 と リモコンです。
2.動作確認です
早速電源を入れたいのですが、ACアダプターが付いていないのでまずはここからです。
裏側の銘板から12V 1.5Aが必要なようです、これは何とかなるのですが、プラグ形状はどうなのか?
DCプラグは数多くの仕様が有ります、webでアダプターの形名が判れば検索できるのですが、
これもなく、試行錯誤でプラグ形状を割り出しました。
電源部分とプラグです 外形4mm ピンは1.7mmのようです
早速、電源ONしたのですが、充電ランプはつかず、画面に何も出てきませんでした。
「やってしまった!」 完全ジャンクに手を出したか。
web情報では不具合情報が数多く出てきます。
電源が入らなくなったとの情報が沢山出てきますが、修理報告はありませんでした。
ですが、このまま諦めるのは早すぎるので、まずは分解です。
3.分解です
裏側のねじが多数あります、防滴構造の様なので裏側はネジだらけです。
でも、ネジを取れば爪部分もなく、簡単に分解できました。
裏側はネジだらけです
左側から、フルセグチューナ、DVD、メイン基板、青いのはバッテリー
コネクターが沢山あります、「これはやばい」、抜く前に写真をとっておき、組み立て時に参考にしよう。
同じピン数のコネクターもあるようなので、なお更必要な処置です。
コネクターが多いです、同じピン数もあるかな?
4.まずは基盤を眺めるか
中華製のフルセグなのでまずはコンデンサーのパンクを疑うのが第一歩かな?
ところが、どのコンデンサーを見てもパンクと言うか、おかしなものが見えません。
となると、次はヒューズかな? でも、飛んでいませんでした。
i 修理完了後のメイン基板
ならばテスターで電圧の測定です。 充電もしないとなると、一次側かもしれない。
電源SWの電圧が6V近くをフラフラしており、電源ONすると0V近くまで下がります。
もしや、MOS-FETのショートかと、それらしきICを探しましたが、規格が判りません。
規格がわかるのは、電圧レギュレーターのICぐらいなものでした。(BM1084)
電圧レギュレーターかな? これはなんでしょうか?
怪しきICを導通確認しましたが異常が見つかりません。
電源系統に異常が有ることは間違いないのですが「わからない!」
でも、webにたくさんある不具合情報からは半導体が異常とは思えないのです。
5.思わぬ場所が原因か?
基板裏側をじっくりと眺めると、電源ジャックの半田付け部分が変色し怪しいのです。
拡大鏡でのぞきましたが倍率が少ないせいか判らずじまいでした。
倍率の大きな拡大鏡を100円ショップで探し出し眺めると、どうもジャックの半田付け部分がおかしいのです、
ワイヤーブラシでこすると、なんと! はんだ割れしているのです。
「やった! 見つけた!」と、ホットしました。
中心電極がはんだ割れしています
はんだ割れなら再半田で修理可能です、早速、半田付けを開始です。
これなら、修理は簡単です、1分もしないで修理完了です。
早速、電源を入れましたが、何も変化はありません、電圧もフラフラしています。
6.再度、調査開始です
やはり、電圧制御IC系統なのか、それとも諦めるしかないか?
でも、電圧が安定しないのはおかしい、電源SWまでの電圧も安定していなかったのです。
パターンを追いかけるにもジャックが邪魔をしており電圧ラインがどこなのか?
ジャックを取り外すしかないか、半田吸い取り線で半田を吸い込んで取り外したのです。
ところが、取り外したジャックを見るとセンターピンがバカに太かったのです。
こんな太いセンターピンが有るのか?
もしかして、スルーホールピンかもしれない、抜いた部分の基盤の両面の導通を見ると∞Ωなのです、
「おかしい?」 裏側に半田付けされていて表面に導通が無いとは不思議です。
電源プラグの抜き差しで、ジャック部分に力がかかりスルーホールピンが破断したのか。
ジャックも前側に端子が無く後方だけなので、なお力がかかったようです。
写真では判りずらいのでイメージ図を貼り付けます。
7.修理です
スルーホールピンの修理は簡単にはできませんのでジャンパー線で対応です。
ジャックの裏側から表面の電源ラインにリード線を半田付けしました。
後はレジスト液とホットグルーで補強です、ジャック部分もグルーで補強をしました。
表面ジャンパー 裏面 ジャンパー
8.結果は?
仮組し電源を接続です、充電ランプが点きました。 事によると直ったかも?
電源SWを入れると見事に画面が出てきました。
DVDは問題ないですが、フルセグはMini−Bcasカードが無いとのメッセージが出てきます。
ならば、カードを入れてチャンネル設定です。
設定後は問題ないようです、すべての機能も動作していました。
起動後の画面 フルセグのテストパターン、著作権が有るので
モザイク処理をしています。
9.最後に
思わぬ部分が不具合を起こしていたとは。スルーホールの異常はかなり前にパソコンで
遭遇していたのですが、まさか、ここでも遭遇するとは思ってもいませんでした。
設計的な問題でしょうか、電源ジャック部分をスルーホールにするのはどうなのかな?
分解、修理はリスクが大きいです。実行は自己責任でお願いいたします。
参考程度に読んでいただきたい修理レポートです。
○少々分からないところがあったので、質問してみました。 By Dyna
>1、半田割れ部分(写真:中心電極がはんだ割れ)と原因だった箇所(イメージ図)
は同じ場所でしょうか?
その通りです、写真では中心電極の様に思われるかもしれませんが、スルーホールピンの外側
つまり、上から下まで、赤線部分が破断していたわけです。
ジャックを抜きましたら、スルーホールピンがジャックの中心電極(+側)に
付いてきており、太く見えたわけです。
>2、イメージ図だと、下の半田部分が破断しているように見えます。
そこに半田をもれば直るように見えます。
赤線全体が破談しているという意味でしょうか。
赤線全体、つまりスルーホールピンが抜けてきている状態でした。
そうなりますと、下側の半田部分に半田付けしても、上側のパターンには
導通していないので電流が流れないわけです。
>3、同じく、電極(+)が下まで来ているようなので、破断とは思えません。
他の電極(−)が破断しているのでしょうか。
プラス側は下まで来ていますが、スルーホール部分(ピンの外側)が破断していますので
上側のパターンには電気が流れていないわけです。
イメージ図にありますように、赤線部分すべてが破損しているとお考えいただくと
わかりやすいかと思います。 下側の半田付け部分はジャック固定のためのパターンと
ご理解ください。 電流は上側のパターン部分から次の回路(コンデンサーの平滑回路)に流れております。
>おまけ
以上、イメージ図に該当しているジャック部の写真部分がありませんでしょうか?
イメージ図に該当している部分の写真を撮り忘れてしまいました、有ればよかったのですが残念です。
PS:基板の上側のパターンと下側パターンを電気的に接続しているのが、
スルーホールピンです。
今回の事例はそのピンが動かされ破断し導通がなくなったと考えおります。
あとがき
ども、Dynaです。レポートありがとうございました。
スルーホールの理屈は、少し前まで知らなかったというか、理解する機会がなく、あまり意識していませんでした。
しかし、昨年のレポート 「中華アンプMUSE M20 EX2の改造修理 」にて、その存在と故障の原因になりやすいことを
初めて知ったのです。でも、よく考えると、壊れやすい構造ですよね。よく考えたと言うか、よく実施したなぁと感心します。
でも、このスルーホールって、PC用のMBには多用されており、虫眼鏡で配線を追いかけるとき、突然行き先が分から
なくなるため、大変嫌いな仕組みです。そして、今回のケースでも分かるように、どうやら断線しやすいので、発見した
あとの修理は理屈上楽ですが、発見するまでが難しいようです。何しろ立体的な配線になりますから・・・・。
でも、昔の2次元的基盤は少なくなり、多層構造でスルーホールが当たり前のご時勢なので、頑張らないといけません
ね。TAKAさんお見事でした。また、お願いします。
By Dyna メール