NO.298                          By 状さん+Dyna   (H27.10.06)

 秋葉千石2Fのオーディオコーナーで購入したジャンク中華アンプの修理で神業を見た!

中華アンプMUSE M20 EX2の改造修理

 ども、Dynaです。

 世間では数年前から小型の中華アンプが流行っているようですが、まったく知らなかった当方は、iPod収集の次の

段階として、遅れながらもTripath社のICを使った中華アンプあさりを始めております。

 掲示板の情報等によるとTripath社のTA2020-020というICを使用したアンプの評判が高く、業界の説明を鵜呑みに

すると、数百万円もする高級アンプにも勝てる性能を有するとのことです。それが¥3000程度で入手できるようなので、

うれしくなり、早速当方も入手しようと秋葉に繰り出しました。

 しかし、世の中そんなに甘くありません。と言うのは、すでに秋葉ではブームが去っており、お品そのものがあまりあり

ませんでした。どうやらインターネットのオークションで入手する方が早いようです。

 ちょっと、がっかりしていた当方ですが、千石電商2Fのオーディオコーナーで、それっぽいジャンクを見つけ大喜びし

たのです。

 「おー!新品製品は見つからなかったのに、しっかりジャンクがあるなんて、運が良いなあーーーー。」と喜んで購入し

帰宅したのでした。 さて、これからが長い長いTripath社ICアンプとの壮絶?な戦いが始まります。(オーバー)

 ただ、実際はこのICをご紹介下さいました「状さん」の支援により、何とか目的を達成できましたので、ここにお礼を

申し上げるとともに、皆さんには修理プロセスの「神業」と、意外なアクシデントをご紹介できますので、お楽しみに! 

                                                              By Dyna   メール


中華アンプMUSE M20 EX2の改造修理

 

第1章 序章

1.TA2020入り中華アンプをゲット!

 
¥1000でした。

 ども、Dynaです。

  平成27年7月18日(土)は、あいにくの雨というか、台風11号崩れの雨のなか、Tripath社のICを使った中華アン

プを入手すべく秋葉に出かけたのですが、新品は見つかりませんでした。その代わり、千石電商2Fのオーディオコーナ

ーで、ジャンク品¥1000のそれっぽいお品を見つけゲットしたのでした。

 

 製品名はMUSE M20 EX2、見た感じは中華アンプ特有の形状で、どこのメーカーでもほとんど形状は同じような感じ

です。早速、スマホでICを調べたらTA2020を使用している可能性が高いことがわかり、ワクワクして帰宅したのでした。

 

 

 皆さん「中華アンプ」と、ちょっとオチョクッタ言い方をしますが、どうしてどうして、なかなか立派な風貌ですよね。早々

にうわさのICが入っているか、拝見しましょう。

 

  

 表は六角トルクネジです。裏は普通の+ネジが6個ありました。早速に外してみましょう。

 

  

 どうして、どうして中も立派ですね。部品だけでもかなりの金額になりそうです。そして、ありました。TA2020-020が、

嬉しかったですね。「やったー!」ついに、うわさのICをゲットしましたよ!!

 

 

.動作確認

 

 情報によるとACアダプターは12V5Aが理想的とのことです。しかし、2Aでも動くことは動くとの情報もあったので、手

元にあった2.5Aもので、起動させてみました。しかし、ウンともスンとも言いません。

 

 

 おそらくヒューズが切れているか、コンデンサーがパンクでもしているのではと、シゲシゲト見ているのですが、どうにも

異常が見つかりません。それでは、電圧がかかっているか測定しようとしていたら、左手に激痛が走りました。

「アチー!!」

 

 なんと、TA2020−020のヒートシンク部に手が当たり、もの凄い発熱で、手を火傷してしまったのです。正直びっくり

しました。異常な電流が流れたのでしょうか。なぜヒューズが切れないのかとも・・・・。(ヒューズあったかな?)

 

困った!!

 どうやら、完全にいかれたジャンク品のようです。さてどうしましょかね? 当方の力では直せそうにもない症状です。

 その状態を日記に書いたら、Tripath社を推薦してくださった「状さん」から支援のメールが来ました。

 

日記リンク

平成27年07月19日(日)晴れ 

平成27年07月20日(月)晴れ

 

 

 

.修理の支援 が


(1)旅立ち

 メールの内容は、「基盤のみ」を送れば、状さんが修理してくれる。というものでした。「助かりますー!!」

 おそらくICがダメになっている可能性が高いので、対応策としては、

 @ICを購入して交換する。

 A所有してる基盤からICを外して交換する。

 B別のアンプキットがあるので上げます。(Dynaが基盤ごと取り替える)

 以上でした、いろいろ検討したのですが、@とかAの方向になり、 修理方法は実物を見てからとなりました。

 「よろしくお願いします。」

 ということで、IOデータのUSBボード箱に入れられて、出発です。「元気で行っておいでー! 直って帰って来いよー!」

 

 

(2)症状の診断(状さん)

平成27年8月16日状さんからメールが来ました。内容は以下のとおりです。(原文のままです。)
 

Dynaさん、こんにちは、です。

 さて、懸案のMUSEアンプですが、ICを取り外してみたところ、やはり壊れていました。

電源ピン-GND、出力ピン-GND、いずれも抵抗値が、ほぼゼロです。

で、今後どのようにするか?ですが、



案1. TA2020を単品で購入、交換。

交換用のTA2020は、今の所、ここが最安のようです。送料は定形外が使えるようです。

http://eleshop.jp/shop/g/g191132/ 

あと、ヤフオクのが、1400円。

http://page10.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/m141393027 

安いといえば安いのですが、MUSEアンプの買い値より高いというのがアレですし、単にIC交換で済んでしまうので記事

としてもショボいかと。



案2. ウチの秋月基板に実装されているTA1101を、移植する。

http://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-02404/ 

 TA2020とTA1101のデータシートを眺めていたら、電気的特性や外付け部品の構成・定数がそっくり。電気的には問

題なさそうですが、ICパッケージがまるで別物なので、移植はけっこうなチカラワザになります。手配線しまくり、仕上が

りもけっこうブサイクですが、よりジャンクらしいかと思います。

 記事としてもそれっぽくなるかと。ウチにあるパーツでやれるので、たぶん0円。

(ピッチ変換基板を使うかもしれません。数百円。)



案3. ウチのストック、aitendoの基板(TA2024)を進呈。

 基板サイズがMUSEアンプとほぼ同サイズ。頑張ればMUSEアンプのケースに入るかもしれません。ただ、VRや端子

類が基板に直付けではないので、その辺、ちょっと工夫が要るかもです。



 私としては、2.がよろしいかと思いますが、いかがでしょうか?ではでは。

 

 

(3)修理方法の決定

以下、数通のやり取りの結果、案2で行くこととなりました。(メール文そのままです。)

 

ども、Dynaです (H27.08.16)
いろいろと気を使っていただき、申し訳ありません。
ご提案についてですが、かなり大変な作業になりそうで 恐縮しております。

さて、案についてですが、その前にちょっと不安があります。
それは、逝ってしまったTA2020を取り外して、そこに
新しいTA2020とかTA1101を付けて再発しないでしょうか?

特に2案は、基盤からTA1101を外して、それをピッチ変換基板等
を使いながら取り付けるとなると、かなりの手間かと思います。
(当方は、面倒で考えられません。)大丈夫でしょうか?

いずれにしましても、安価で目的達成がよろしいかと思いますので
交換しても大丈夫となると2案でお願いできればと思います。


 

Dynaさん、こんにちは、状です。(H27.08.17)

> ども、Dynaです
> いろいろと気を使っていただき、申し訳ありません。
> ご提案についてですが、かなり大変な作業になりそうで
> 恐縮しております。
>
> さて、案についてですが、その前にちょっと不安があります。
> それは、逝ってしまったTA2020を取り外して、そこに
> 新しいTA2020とかTA1101を付けて再発しないでしょうか?
>

TA2020の破壊をきっかけに、他の受動部品が二次破壊を起こした可能性は
十分に考えられます。あるいは、逆の順で壊れたのかもしれません。
仰る通り、このままIC交換をすれば、単に故障の再現をすることになるかも しれません。

ですので、基板からパーツを全部はずして導通チェックをかけます。
で、TA1101を取り付けてから、はずしたパーツを元通り取り付けていきます。

これでうまくいかなかったら、残念ですが、諦めて頂こうかと思います。

> 特に2案は、基盤からTA1101を外して、それをピッチ変換基板等
> を使いながら取り付けるとなると、かなりの手間かと思います。
> (当方は、面倒で考えられません。)大丈夫でしょうか?
>

少なくとも、自分でパーツをかき集めて、ユニバーサル基板で自作する
よりは、ラクです。

まあ確かに、そこそこの作業量になるとは思いますが、休み休みやって
いけば何とかなるでしょう。私が言い出しっぺですし、ジャンク的な流れと
しても、これが妥当かと思いますので、どうかお気になさらずに。

> いずれにしましても、安価で目的達成がよろしいかと思いますので
> 交換しても大丈夫となると2案でお願いできればと思います。
>

承知致しました。2でいきます。

 


ども、Dynaです  (H27.08.19)

メールありがとうございます。

>、基板からパーツを全部はずして導通チェックをかけます。

→当方が想像していた以上のことをされるのですね。
 非常に驚いています。費用は安くなるとはいえ、そこまで
 考えておられたとは・・・・・・・・。

 いずれにしまして、無理をされない程度にお願いします。
 では、

PS:気分がハイになってしまい、昨日オークションで車載用
   の中華アンプをプチしてしまいました。
   偽物?が来ないよう祈っています。
   


 ということで、修理方法は案2(別基盤からICを取り外して交換する)となりました。

 簡単に言うけど、いったいどうやって作業するのでしょうか?想像しただけで気が遠くなりそうです・・・・・・・・・・・。

 

 

4.閑話休題
 

 このあと、状さんはご想像通り大変細かく試練の作業に取り掛かったのでした。当然時間がかかりますので、HPもこ

こでお休みを入れます。
 

 メールにも記載してあったように、当方的には、頭の中は「TripathのTA2020」で一杯で、精神衛生上良くない状態

となっていたため、オークションで車載用のアンプを「プチ!」してしまいました。

 Lepai−LP2020A+と言うお品ですね。

 

 このお品は当然TA2020を使用しているのですが、メーカー名からして、Lepai・Lepy・Lvpinと3社が存在し、どうや

ら、Lepaiが本物、Lepyはその会社の新しい名称、Lvpinはまったくの別メーカーで、どうやらコピーを販売している

会社のようです。

 

 ただし、どれも普通ならTA2020が入っているので、まあ大くくりにはOKなのかも知れません。でも、どれにも怪しい

ICが入っている可能性があり、アマゾンの評価等を見ていると、頭がおかしくなりそうです。

 

 ただ、このTA2020というICは、Tripathという会社製なのですが、すでにその会社は無くなっており、ICの残る限り

の販売のようです。元祖のLepaiについて、アマゾンは取扱いが少なくなっており、どうしても元祖のLepaiがほしければ

ヤフオクに頼るしか無さそうでした。LpeyでよければアマゾンもOKですが、ハズレも多いようで・・・・。

 

 でも、なのです・・・。ヤフオクのLepai出品者さんは「悪い」評価が多くて、良く読むと平行輸入品であり「補償しない」

扱いが多いのです。これには悩みましたね。でも、「虎穴にいらずんば虎児を得ず」ですね。(ちょっと違うか?)

 頑張ろう!

 

 ということで、価格には目を瞑り、安全第一で出品している方を選び、購入したのでした。「悪い」評価が0の方にした

のですね。(ちょっとお高かったです。AC無し送料込みで¥3000弱です。)

 

  

 でも、これは正解だったようです。届いたお品は正に新品、中には立派なTA2020−020が鎮座していました。

早速に試聴したのですが、うわさどおりのお品です。当方の大好きなサラブライトマンのタイム・トウ・セイ・グッドバイを

聞いたのですが、正に天使の歌声、神が降臨しました。  素晴らしいTripath TA2020−020 !!!

 

 何というのでしょうか。音が良いと言うよりも、「元気が良い」と言う感じです。ボリュームを絞っても、ちゃんと鳴る!

CDを片っ端から聞きたくなる。iPodを片っ端から接続したくなる。押入れに入れていたSPBOX達を全員集合にしました。

 こんな経験は初めてです。

 

  

 ただ、笑ったのは、届いた箱ですね。何と別の製品に丸が付いていたのです。届いた時、最初はあせりましたね。

「やられた!」と・・。 でも、良く見ると、この箱は裏表で2種類の製品を入れられるようになっていたのです。勿論、○

印は間違えていましたが・・・。

 流石は中華アンプです。でも、安さを追求するとこのようになってくるのですね。考え方としては「目から鱗」でした。


 よい音楽を聴きながら。。。。 状さん大変だろうなぁ・・・・・・・。 自分は極楽して、人に苦労させて、良いのかな?

 と悩みつつも、「本当に良い音だな・・・。」と、極楽三昧のDynaでした。

 そこに更なる吉報メールが!

 


第2章 修理本編

 

 以下に、状さんが送ってくださいましたレポートをそのまま掲示します。(H27.09.08)

1、経 緯

 Dynaさんの「秋葉プチレポート」と併せて、ブログ「Dynaの秋葉原ジャンクパラダイス 日記」をいつも楽しく拝読してお

ります。なんでも最近は、再びオーディオにハマってらっしゃるとのこと。確かに、小型スピーカやポータブルプレーヤを、

よく購入されていますね。


 そういう近況を知り、私が日々愛用している、Tripath TA2020搭載アンプを掲示板でお勧めしたところ、7月18日の出

動で「MUSE M20 EX2」のジャンクを1000円で購入されました。さすがはDynaさん、ジャンクの強運をお持ちです。

 しかし、ご自宅で通電してみたところ、残念ながら故障していたようです。


 Tripathの話題が掲示板で少し盛り上がったこともあり、また私が言い出しっぺでもあるので、後日、メールにてDyna

さんに修理を申し出たのでした。


 Dynaさんが購入されたMUSE M20 EX2をはじめ、多くが中国製と思われるTripath製IC搭載アンプは、せいぜい3000

円も出せば気軽に購入できます。ですからまあ、あまり無理して修理することもないと思うのですが、ブログでの基板の

画像を見ると、金属皮膜抵抗、MKH積層コンデンサ、インダクタ等、自分でパーツをかき集めたら、おそらく1000円では

済まないパーツがたくさん実装されています。これをタンスの肥やしにしてしまうのは、やはり惜しいと思うのです。



 Dynaさんからも、メールで「あまり無理をしなくても」と言っては頂きましたが、まあ、「シュミと意地」と言ったところでしょ

うか(笑)。



2、Tripath TAシリーズ

 千円程度で買えるにもかかわらず、数十万円クラスのアナログアンプを凌駕するとも言われるくらい、素晴らしい音を

繰り出す、高効率デジタルアンプ用IC。検索しても、これを低く評価する記事は見たことがありません。私も、初めてそ

の音を聴いた時は衝撃を受けました。


 Tripathはすでに倒産し、その後いくつかの会社に製造が引き継がれましたが、現在はその製造もされていません。

ですので、ICの入手は現存する在庫に頼る以外、方法はありません。素晴らしい製品を造るメーカーなのに、実に残念

なことです。

 そういう事情もあって、ICを単品で取り扱っている所も少ないですし、あっても価格があまりお安くありません。


 今でもTripathがブームなのかどうか分かりませんが、根強いファンの方は沢山いらっしゃると思います。もちろん私も

その一人です。



3、紆余曲折

 ジャンクMUSE M20 EX2の値段が1000円。修理に1000円以上かけるのは、ちょっとシャクです。

 TA2020なら、たしかウチのストックである、Aitendoの完成基板に載っていたはず。

 この基板から外して移植すれば・・・。

 と、導電袋から出して見てみたら、載っていたのは、なんとTA2024!がーん・・・。何を思い違いしていたのか、TA2020

なんてウチには無かったや!


 急遽ネットで探しましたが、やはりちょっと値段がお高いです。送料もバカになりません。

 Aitendoの基板以外に、手元にあるのはTA2022単品、そしてTA1101が載った秋月の基板。


 TA2020、TA2022、TA1101。


 どうすっかなー?と思いながら、なんとなく、この3つのICのデータシートを見比べてみました。

 TA2020とTA2022では、パッケージもピン数も同じなので、単純に差し替えができるかと思いきや、ピンアサインがまる

で違いますし、外付け部品の配置や定数も違います。よって、これはNG。


 次に、TA2020とTA1101。パッケージはまるで別物なのですが、外付け部品の配置や定数、ピンアサインも似ています。

 ふむふむ、ピッチ変換基板を使えば、なんとかなりそうです。これを移植しましょう。



 
4、作業開始

 TA2020のデータシートを見ると、過熱や過電流に対する保護回路があるようなのですが、どうも壊れやすいらしく、

「改造していたら壊してしまった」などというブログ記事をちらほら見かけます。





 Dynaさんから送られてきた基板。電源を入れると、ヤケドするくらい

              TA2020が熱くなるそうです。





 TA2020を外してみました。電源ピン-GND、出力ピン-GND、いずれも

               抵抗値が、ほぼゼロです。


 やはりICが逝っているようです。憶測ではありますが、電源を切らずにスピーカの配線を替えようとして、うっかり筐体

にショートさせてしまったのでしょうか(TA2020は、スピーカ端子のプラス側はもちろん、マイナス側をGNDにショートさせ

てもダメです)。


 TA2020の破壊をきっかけに、他の受動部品が二次破壊を起こしている可能性は十分にあります。あるいは、逆の順

で壊れたのかもしれません。このままIC交換をしただけでは、単に故障の再現をすることになりかねません。





      部品の配置を記録した後、外して導通チェック。


  とりあえず、TA2020以外の部品は壊れていないようです。全て、元通りに実装し直します。

 



5、TA1101



  秋月で売られている、TA1101が載ったこの基板、元々はApple製品に

              入っていた物らしいです。


 この基板に細工を施すだけでアンプとして使うこともできるのですが、MUSEの方を生かすことが主眼ですし、そうした

方がより良質な外付け部品でTA1101を動かすことができます。



 まずは、TA1101を基板から外さなくてはなりません。

 このIC、パッケージ裏側に放熱板を持っていて、基板のベタGNDにベッタリとハンダ付けされています。ピンをパターン

から浮かせるだけでは取り外すことができない、非常にヤッカイなパッケージです。





ピンが細く、脆弱なので、ハンダを盛って補強。ノコギリとドリルで、IC部分

        を切り出します。Apple Computerの文字が。





                  8層基板!!





  彫刻刀(平刀)を使って、基板を数回に分けて削いでいきます。





          左下の基板に、ICが付いています。





 銅箔が透けて見えてきたら、カッターで、基板のピン部分と放熱板部分と

 を3分割します。右下が少しモゲました。ピンを補強しておいてよかった。





 平刀で、放熱板にハンダ付けされている銅箔をめくり上げていきます。





                   取れたー。





  基板を取り外し、ピンに残ったハンダは吸い取り線で除去。ふぅ。





ピッチ変換基板。片面が0.8mmピッチ用(こちらを使用)、もう片面が0.5mm

ピッチ用。このままでは他の部品にぶつかってしまうので、少しカット。さらに、

0.8mm側の不要なパターンと、使わない0.5mm側の全てのパターンは、不用

      意な ショートを避けるため、はがしておきます。





TA1101を実装。まず対角のピン2箇所をハンダ付け。ルーペで見ながら

 ピンとパターンがピッタリと合うまで、少しずつズラして位置を調整。





ピンとパターンがピッタリと合わさったら、初めに固定した箇所以外のピンに

   ハンダを盛ります。その後、全部のピンにハンダを盛ります。





基板を立てて、端からハンダを溶かしながら、ゆっくりとコテをスライドさせて

ハンダを落としていきます。ハンダの表面張力で、ピンに適度な量のハンダ

が残ります。端っこの2、3ピンはブリッジしてしまうかもしれません。吸い取り

         線で除去。 (画像を回転させています)





     テスタで、ブリッジしてないか確認したら、完了。

 



6、移植

やっと、TA1101のお膳立てが整って、スタートラインに立てました。



    IDEコネクタから抜き取ったピンで変換基板を実装します。





データシートを確認しながら、ラッピングワイヤで配線。見た目がブサイク

 なのよりも、ICと他の部品との間に距離が発生してしまったのが、

               ちょっとイヤですね。





          配線をチェックしたら、完成です。ふぅ。

 



7、音出し

入出力には何もつながず、電源のみ入れてみます。

TA1101から発熱はありますが、ヤケドするようなものではありません。



オフセット調整をします。これにより、電源投入時のポップ音が軽減されます。

入力とGNDをショート、スピーカ端子のプラスとマイナスにテスタを当て、半固定抵抗を回して、なるべく0Vに近づけます。


ショートした入力を元に戻し、HDDレコーダとスピーカをつないで、CDを再生します。

(ウチにはもうCDプレーヤがなかった・・・)。


 TA2020同様、張りがあり伸びやかで元気な音です。わずかに引っ込んでいるかな?という気もしますが、ブラインド

テストをしたら、判別できないでしょう。


20WのTA2020に比べ、TA1101は10Wなので、音量面で劣るかと思いましたが、あまり変わらないようです。ウチの環境

では、せいぜいボリューム半分くらいが限度で、これ以上音量を上げると、ご近所から苦情が来そうです。それでも、音

量を絞っても、きちんと聴こえます。Tripathの長所のひとつです。



放熱器を取り付けていないので、ICがそこそこ熱くなります。ずっと指で触っていると、ジワジワ熱く感じてきます。ICの

上からでも放熱器を付けたほうがいいかもしれません。この熱は、あまりボリュームの位置に比例しない感じです。



8、おまけ



          外したTA2020を、カチ割ってみました。



9、おわりに


 ご病気を乗り越え、精力的に秋葉原に繰り出し、オーディオや写真にと趣味を充実させているDynaさん。私は中年に

なって、色々とモチベーションが下がってしまっているのですが、この基板をDynaさんに返却したら、久々にアンプでも

組んでみましょうかね。

 

 

 


第3章 格闘編

 修理を終えた基盤部が届きました。しかし、これからが新しい戦いに!

 

1、復 活

(1)修理品の到着

 ども、Dynaです。

 いかがでしたか、状さんのIC確保から始まり、交換そして音出しまでのレポート、凄いというか「神業」としか言えませ

んよね。理屈は分かりますが、当方腕が付いて来ないですから・・・・・・。見ていて感動しました。

 

 さて、平成27年7月18日(土)のMUSE中華アンプゲットからほぼ2月後の9月15日に、Dynaの私書箱から回収し

てきました。本当は9月10日に発送してくださったのですが、土日を挟んだので、安全をとって、その日に横浜駅の私

書箱まで取りに行ったのです。

 

 さて、期待ワクワクですよね。 無事に直って帰って来たか!良かった良かった!

 

 

 早速、中身を拝見しましょう。中身は2つのパッケージになっており、1つは基盤本体、もうひとつはパーツの残骸のよ

うですね。 「おー!」写真で拝見したTA1101の乗った基盤です。写真で見ていると、やはり他人事ですが、実物をみ

ると現実です。

 これを、個人で作業したのか・・・・・・。 無言の時間が・・・・・・。やがて 「へー!すごい!綺麗な半田付けだなー。」

 

 

 変換基盤は、L型状になって片持ち梁のようになっています。よって、ちょっと不安定ですが、足が30本以上あるので

大丈夫ですね。

 ここまで出来るのは、自分の技と力量に自信が無いと無理だろうな・・・・・・。経験数ですね・・・・・・。

 あと、根性というか、「意地」でしょうかね。 びっくりです!

 

 

 もっと驚いたのは、半田付けの綺麗さでしょうか。写真はちょっとボケていますが、本当に綺麗です。プロセスで1回

全部の部品を撤去しているので、当方が実施すれば、相当汚れてしまうのですが・・・・。

 それと入手した時点でボリューム付近に何やら半田ごてを当てた跡があったのですが、その跡も綺麗になくなっていま

した。どうやら、半田付けの「いろは」を、この機会に教えてもらった方が良いですね。(あとで質問しましょう。綺麗に仕

上げる秘訣を。)

 

おまけ

 

 残骸パーツの写真です。普通の方々なら「ゴミ」でしょうが、技術屋としては、愛おしい「パーツ」君です。まだまだ何か

に使えるかも? それにしても、ICの半田付け、どうやって外すのですかね?あとで聞きましょう。

 

(2)組み立て

 

 さて、部品たちが全員集合しました。組み立て作業開始です。と言っても、IC作業からすると、遊びみたいなものです

ね。

 

 

 唯一難しいのは、ボリューム周りのLED配線です。難しいというよりも面倒というのが本音ですね。この2本の細い配

線をしないと箱を組み立てられないのですが、力学的に細い配線に負荷がかかりすぎるので、必ずボリュームのネジを

締めておくことが重要です。(半田でなく、プラグにしてくれれば楽なのに・・・・。)

 

 

 あとは、SPの配線を半田付けすれば終了です。簡単ですね。

 

 

 表のネジは6角トルクレンチタイプ、後ろは普通のネジです。はい、組み立て完了!! ケースには上と下があり、そ

れぞれに前後ろがあるので、シールを貼っておくと便利でした。

 

 

、記念すべき火入れ式

 

 さて、念願の火入れ式です。緊張しますね! 入力等の配線はLepaiのをそのまま借用しました。

 SW−ON!

「おー!」 中華アンプ特有のブルーLEDが点灯しました。あちらの方々は「青」が好きなのでしょうか?「赤」を好まれ

ると聞いていますが。

 

 

 さあ、ご機嫌な、サラブライトマンを聞きましょう。

 あれ?音が出ない? 配線が間違っていますね。きっと! 入力は・・・OK、 SPケーブルは?・・・OK あれ?

おかしいですね。まったく配線問題ないです。では、そのままLepaiに切り替えてみましょう。

 Lepaiは音が出ました。では、もう一回MUSEに戻してみましょう。

 音でますかね???  そんなばかな?? 「音が出ない!」

 

 考えられることは、郵送中に振動で壊れた、か、当方のミスで壊してしまったか、内部配線をミスったか。

しかし、そんなに複雑な配線ではないから、考えられませんよね。待てよ!ボリュームのLED配線って、少々無理して

いる感じ。まさか、そこがショートしているのかな?でも、それならLED光らないはず。

 

  

 ショートしそうも無いですよね。 大丈夫でしょう、きっと。(すでに組み立ててしまったので写真で確認しました。)

まあ、1プロセスづつ、外して確認しながら、基盤まで戻しましょう。トホホホ・・・・・・。

 

 

 悔しいけれども、1つづつ作業を戻しながら、鳴るか確認しながら戻しました。悲しい!

 

 

 ケースと基盤がショートした気配もありません。 完全に基盤単体まで戻しましたが、やはり鳴りません。

 どうやら、基盤が送付中にトラブルを発生してしまったようです。おそらく振動による接触不良でしょう。

 そんなに難しくはないと思いますが、当方に見つけられるかですね。

 正直、まったく見当も付きません。どうしましょうか?そうですね。困ったときの神頼み。状さんに聞きましょう。

 

 

3、故障の原因追及

 さて、困りました。でも、悩んでいても始まらないので、状さんにHELPメールを送りました。

以下はメール文そのものです。

 

ども、Dynaです (H27.09.16)

一連の作業ご苦労様でした。そしてありがとうございます。
さて、修理後の基盤、拝見しましたが、お見事ですね。
特に、基盤裏の半田付けの綺麗さにはびっくりしました。
一回全部部品を取ったとは想像も出来ません。

夜、サクッとケースに入れ込み、
緊張の火入れ式を行いました。ワクワクしますね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
が、LEDが青く光るだけで、音が出ません。
ボリュームをアップしても、まったく無音です。

何か、単純なエラーをしてしまったのではと、
冷や汗をかきながら、正常に動くLepai LP2020A+
のAC、SP、入力ケーブルを、それぞれ入れ替えて
見ましたが、まったく音が出ませんでした。

一回、配線をしげしげ見ました、特にSPの+−は間違っていないか?
しかし、あまりに単純なので、間違いようの無い状態ですね。
あとは、ボリュームの下のLED配線、でもLEDは青く綺麗に
光っているので大丈夫かと・・・。

後、気になったのは、SPの−端子について、左右間の抵抗値を
測ったら20Ωくらいありました。正常でしょうか?
おのおの−端子とアース間を測ったら10Ωなので、OKかな?

そろそろ寝ないと会社に行けなくなるので、明日、一回元に
戻してみます。ひょっとすると、ケース側に何か問題が
あるかもしれませんので。

では、
 

Dynaさん、こんにちは、状です。 (H27.09.17)

>
> 後、気になったのは、SPの−端子について、左右間の抵抗値を
> 測ったら20Ωくらいありました。正常でしょうか?
> おのおの−端子とアース間を測ったら10Ωなので、OKかな?
>

これは、SPをはずした状態で10Ωなのでしょうか?
だとすれば、ダメかもしれません。ウチのaitendo基板に載っている
TA2024だと約40kΩです。

出力端子-GND間には、ダイオードが入っています。テスタのプラスと
マイナスを入れ替えて測ってみて、いずれも10Ωだと、ダメかも
しれません。

tripathの出力は、プラス側もマイナス側もFET出力になっています。
FETは、電気的にとても壊れやすいのが欠点です。モノによっては
静電気でも壊れます。

> ひょっとすると、ケース側に何か問題が
> あるかもしれませんので。

もしかして、ケースの内側って、アルミむき出しでしょうか?
だとすれば、基板の裏側(部品の足)とショートしているかもしれません。
ケースの内側に、細かいひっかき傷など無いか確認してみて下さい。
あと、SP端子そのものがケースとショートしていないか確認してみて下さい。

電源電圧はどうでしょう?

TA1101は、ものすごく発熱していないでしょうか?
ヤケドするくらい熱かったら、アウトです。
発熱がなければ、何か望みがありそうな気もしますが・・・。

とりあえず、基板をケースから出して、裸の状態で音出し確認を
やってみて下さい。

ではでは
 

ども、Dynaです (H27.09.17)

メールありがとうございました。

疑わしい箇所から外して、その都度音が出るか試してみました。
1)LED接続部はずし > 不可
2)ケースはずし >不可
3)SP端子はずし >不可
ということで、元に戻った状態でも不可でした。

作成時はSP端子のショートには気をつけていたので、その点は
大丈夫だと思います。

> これは、SPをはずした状態で10Ωなのでしょうか?
> だとすれば、ダメかもしれません。ウチのaitendo基板に載っている
> TA2024だと約40kΩです。

失礼しました、慌てて単位違いです。KΩでした。

> 出力端子-GND間には、ダイオードが入っています。テスタのプラスと
> マイナスを入れ替えて測ってみて、いずれも10Ωだと、ダメかも
> しれません。

SP黒−GND 間で、10KΩ、逆にすると20KΩです。(左右とも)

> もしかして、ケースの内側って、アルミむき出しでしょうか?
> だとすれば、基板の裏側(部品の足)とショートしているかもしれません。
> ケースの内側に、細かいひっかき傷など無いか確認してみて下さい。
> あと、SP端子そのものがケースとショートしていないか確認してみて下さい。

ケースはアルミむき出しです。一応確認しましたが、ショート傷は見た目なしです。
部品足と当たることは無さそうです。

> 電源電圧はどうでしょう?

電源は2個用意して、接続した状態で、受けプラグの半田部分で12Vありました。
1つは5Aもの、もうひとつは2.5Aで、どちらもLepaiでOKです。

> TA1101は、ものすごく発熱していないでしょうか?
> ヤケドするくらい熱かったら、アウトです。
> 発熱がなければ、何か望みがありそうな気もしますが・・・。

SW-ONで、しばらくすると、ほんのり暖かくなります。そのままです。

SPも3種類変えています。入力ケーブルも3種類変えてみました。
おそらく、輸送時の振動でどこかが外れたのかもと思い、拡大鏡で
しげしげ見たのですが、半田付けが完璧で、突っ込みようがありません。

今晩、もういちどゆっくり見てみます。
では、

 

Dynaさん、こんにちは、状です。(H27.09.17)

>
> SP黒−GND 間で、10KΩ、逆にすると20KΩです。(左右とも)

> SW-ONで、しばらくすると、ほんのり暖かくなります。そのままです。
>

> 電源は2個用意して、接続した状態で、受けプラグの半田部分で12Vありました。
> 1つは5Aもの、もうひとつは2.5Aで、どちらもLepaiでOKです。

あ、これなら希望が持てそうですね。なんかものすごく単純なことで
音が出なくなっている気がします。

実は、修理過程において、ひとつだけ使わなかったものがあります。
それは、基板とSP端子をつなぐ、赤黒の短いコードです。
検証時、SPからのコードを基板に直にハンダ付けしていました。

このコードを、何か別の物に交換してみて下さい。
まさかとは思いますが・・・。

リレー(赤黒コード付近の、黄色い四角いヤツ)は動いています
でしょうか? SW-ONで、1、2秒後「チャッ」と小さい音がします。

その他、考えられる原因は、うーん・・・。

ではでは
 

ども、Dynaです  (H27.09.18)

メールありがとうございます。

> あ、これなら希望が持てそうですね。なんかものすごく単純なことで
> 音が出なくなっている気がします。

そうなんですよ、当方も、「何ーンだ!!」だと思っています。

> 実は、修理過程において、ひとつだけ使わなかったものがあります。
> それは、基板とSP端子をつなぐ、赤黒の短いコードです。
> 検証時、SPからのコードを基板に直にハンダ付けしていました。
>
> このコードを、何か別の物に交換してみて下さい。
> まさかとは思いますが・・・。

一応、テスター測定はOKでした。

> リレー(赤黒コード付近の、黄色い四角いヤツ)は動いています
> でしょうか? SW-ONで、1、2秒後「チャッ」と小さい音がします。

あ!働いていません。Lepaiを聞いてみたら、確かに1・2秒後に
「カチッ!」っていいますね。 こちらはウントモスンともです。
この辺ですね。原因は。

あと、気になったのは、パターンが外れた箇所(黒のテープ貼り部)に
104の部品(コンデンサーでしょうか)があったかと思いますが、
それが変換基盤側に行っていますが、これでよろしいのでしょうか。
ICの32番足が空いているので気になりました。

あとは・・・・・・・、分かりません?
では、

 

Dynaさん、こんにちは、状です。 (H27.09.18)

>
> あ!働いていません。Lepaiを聞いてみたら、確かに1・2秒後に
> 「カチッ!」っていいますね。 こちらはウントモスンともです。
> この辺ですね。原因は。

一旦、museのボリュームを最小に。これでリレーが動きますでしょうか?

もしリレーが動いたら正常です。過大入力になると、リレーがSPを切断する
ようになっていますので、iPodかmuseのボリュームを下げて下さい。

もしリレーが動かなければ・・・。

添付1.jpg

1. 添付1.jpgの、A1-A2間の電圧を測って下さい。約12VあればOK。

添付2.jpg

2. 添付2.jpgの、B-GND間と、C-GND間の電圧を測って下さい。
  いずれも約5VならICはOK。

A、B、C、のいずれの電圧もOKでしたら、たぶんリレーが壊れていると
思います。どこかひとつでも0Vだったら・・・、ちょっと考えます。

3. リレーのスイッチ部をスキップしてみます。片チャンネルのみのテスト
  です。添付1.jpgのD、基板の裏からSPのプラス側をつないでみて下さい。
  マイナス側はそのまま。これで音が出れば・・・。

>
> あと、気になったのは、パターンが外れた箇所(黒のテープ貼り部)に
> 104の部品(コンデンサーでしょうか)があったかと思いますが、
> それが変換基盤側に行っていますが、これでよろしいのでしょうか。

これはこれでOKです。添付PDFの5ページ、1番ピン、2番ピンにつなが
っている、0.1uFがソレです。配線の長さを短くするために、あのように
なりました。部品チェックで外してから元通り実装して、再び外したら
パターンを傷めてしまいました。すみません。

> ICの32番足が空いているので気になりました。

31番ピン、32番ピンのパターンを追っていくと、どこにもつながって
いないと思います。ちなみにTA1101は、全部で30ピンになります。

ではでは。
 

ども、Dynaです  (H27.09.19)

何度もすみません。

> 一旦、museのボリュームを最小に。これでリレーが動きますでしょうか?
だめです。動きません。

> 1. 添付1.jpgの、A1-A2間の電圧を測って下さい。約12VあればOK。
0.67V 左右同じ値でした。

> 2. 添付2.jpgの、B-GND間と、C-GND間の電圧を測って下さい。
>   いずれも約5VならICはOK。
B-GND間 22  0.67V
C-GND間 24  5.0V

> A、B、C、のいずれの電圧もOKでしたら、たぶんリレーが壊れていると
> 思います。どこかひとつでも0Vだったら・・・、ちょっと考えます。
>
> 3. リレーのスイッチ部をスキップしてみます。片チャンネルのみのテスト
>   です。添付1.jpgのD、基板の裏からSPのプラス側をつないでみて下さい。
>   マイナス側はそのまま。これで音が出れば・・・。
出ません。

以上です。ご迷惑をかけてすみません。
これから、法事で信州に帰省します。
戻りは、月曜の深夜になりますので、よろしくお願いします。
では、



Dynaさん、法事お疲れ様です、状です。 (H27.09.26)

> 何度もすみません。
>

いえいえ、こちらこそ。
不完全な修理で、我ながらとても歯がゆい思いです。
もうしばらく、宜しくお付き合い願います。



ちょっとテスタを当てにくいかもしれませんが、変換基板の、
25、26、28、29と白く印刷された番号の電圧を測ってみて下さい。

これで解決しない場合、Dynaさんさえよろしければ、
再度、こちらに郵送して頂けますでしょうか。

ではでは
 

ども、Dynaです  (H27.09.26)

メールありがとうございます。

電圧は以下のとおりでした。
25 2.54V
26 2.53V
28 4.78V
29 1.05V

あと、郵送中の振動による接触不良と想定して
半田付けをじっくり調査しましたが、ほとんど完璧で問題なし。

もしやと思い、ICの足半田も導通チェックしたのですが、
全部OKでした。

どうやら、もう一回送ってチェックしていただいた方が
よろしいかもですね。

これから秋葉巡回へ出発しますので、
帰宅後考えます。
では、

 

Dynaさん、こんにちは、状です。  (H27.09.27)

> 電圧は以下のとおりでした。
> 25 2.54V
> 26 2.53V
> 28 4.78V
> 29 1.05V
>

28、29が、たぶんダメです。
ICの入力側で、すでにオカシくなってます。

> あと、郵送中の振動による接触不良と想定して
> 半田付けをじっくり調査しましたが、ほとんど完璧で問題なし。
>
> もしやと思い、ICの足半田も導通チェックしたのですが、
> 全部OKでした。
>

どうも、接触不良が起きている気がしてきました。

部品を外している時に感じたのですが、基板の品質が低いようで、パターンが
剥離しやすかった気がします(単に技術不足だったかもしれませんが)。
基板の表側のランドは、酸化していたのかハンダがほとんど乗りませんでした。

添付1

添付1に、剥離の想像図を記します。
表側のランドがどこかと接続されていて、これが剥離してしまうと
電気的に切断されてしまいます。

添付2

添付2に、入力部分を記します。
TA1101のカコミ内はICのピン番号、カコミ外は変換基板の印刷番号です。

28、29から、パターンを入力端子まで遡っていって、どこかで基板の表側の
ランドが剥離していないか、確認願います(28につながっている抵抗、
あるいはその周辺が怪しい気がします)。

部品が邪魔をして、目視では発見できないかもしれません。
怪しい部品を、一旦はずしてパターンを確認するのが確実ですが、
部品を、足が少し歪む程度に押してみれば接触が復活するかもしれません。

ではでは。

 

 

ども、Dynaです  (H27.09.28)

情報ありがとうございます。
ご指摘の件(接触不良)について、早速、試したら怪しい箇所を発見しました。
ただ、この現象があるということは、他にもいっぱいあるかも?と不安です。
修理は明日実施してみます。



<マチバリを使って導通試験です。>

 

 

 
写真4

○25番から20KΩ抵抗付近(写真4参照)←こちらは正常らしい。
・25番を固定、C、Dまで0Ω、20KΩ超えで20KΩでした。(OKですね)

○28番から20KΩ抵抗付近(写真4参照)
←こちらがあやしい。
・28番を固定し、Aまでは0Ωで正常、しかし、Bは値が出ません。
・20KΩ超えでも同じでした。
・どうやらAとB間がご指摘の状態のようです。
・因みに、AとB間でゴリゴリすると、時々導通しましたので、接触不良ですね。

ということで、この付近での不良箇所は見つかりましたが、
その他もしないと、完璧にはならないですね。

あと、表面から半田付けしてしまってよろしいでしょうかね?
(それしか思いつきませんが・・・・・・。)

とりあえず、ここを半田付けするとともに、見える限りの導通試験をしてみます。
これで、直れば良いですね。(ワクワクします。)

では、

 

Dynaさん、こんにちは、状です。 (H27.09.28)

> ○28番から20KΩ抵抗付近(写真参照)
> ・28番を固定し、Aまでは0Ωで正常、しかし、Bは値が出ません。
> ・20KΩ超えでも同じでした。
> ・どうやらAとB間がご指摘の状態のようです。
> ・因みに、AとB間でゴリゴリすると、時々導通しましたので、接触不良ですね。
>
> ということで、この付近での不良箇所は見つかりましたが、
> その他もしないと、完璧にはならないですね。

おおっ、核心に近づいてきましたね。

実は、ランドを傷めてしまった所は、2、3箇所あるのですが、表側で
接続されていなかったので大丈夫だと思っていました。
今回の箇所は、全く意外な箇所だったので、「ムムム」という感じです。

確かに、他の箇所もチェックしておかないと、安心できませんね。

> あと、表面から半田付けしてしまってよろしいでしょうかね?
> (それしか思いつきませんが・・・・・・。)

そのままだと、酸化していてハンダがほとんど乗らないと思います。
カッター等で、表面を少しコスってやれば大丈夫だと思います。
一旦、部品を外して、ランドを砂消しゴムでコスるのが確実なのですが。

28からの、緑色のラッピングワイヤを抜いて、直接Bにハンダ付けするのが
手っ取り早いかもしれません。


> とりあえず、ここを半田付けするとともに、見える限りの導通試験をしてみます。
> これで、直れば良いですね。(ワクワクします。)
>

朗報を期待しております。
ではでは。
 

ども、Dynaです  (H27.09.29)

会社から飛んで帰って、即昨日の続きを実施しました。
片っ端から導通試験をしたのですが、例の場所のみでした。

 

ということで、何のためらいも無く半田付け実施!
「ガーン!」何と!半田が乗らない、でも頑張って実施。
結果、写真のように汚い半田付けに・・・・・。
アルコールで拭きましたが、汚れが取れません?

パターンを傷つけたかも?ショートしたかも?と
拡大鏡で確認、テスターで確認したのですが、一応OK
(しかし、汚いな・・・。)



恐る恐る仮配線し、SW-ON  
おー!リレーが「カチッ!」
ボリュームUPすると、
「出ました、音が!」

ということで、組み立てて、正規の配線をしたら
良い音で鳴ります。「おー!TA2020と比べても負けませんね。」
というか、差が分かりません。

 

安っぽいLepaiと比較すると、電源ON-OFF時の「ポッ!」音が
無いのが良いですね。
それにしても、トライパス社のIC、恐るべしです。
「良い音だなー。」

いろいろとありがとうございました。
これからレポート作成に入りますので、引き続きよろしくお願いします。

では、
 



 ♪♪ ばんざーい! 直ったよー!! よかったー! ♪♪

  秋葉原で買った¥100のスピーカーで聞いてみました。これが意外に良い音なのです。

 ウン十年前に作成したスピーカーも押入れから出して来ました。

 これも信じられないくらい良い音で鳴りますよ。大きいほど、低音が素直に出ますね。(当たり前か?)

 音楽って、本当に楽しいですね。

 

Dynaさん、こんにちは、状です。 (H27.09.29)

いやー、よかったよかった!! 本当によかった!!
作業がムダにならなくて、私もやっとホッとできました。
museを買ったのが7月ですから、なんとも長い道のりでしたねー。

「会社から飛んで帰って」とのこと、熱いtripath熱が伺い知れます。

汚れは、ハンダに含まれている松ヤニかと思いますが、アルコールだと
ちょっと落ちにくいかもしれません。シンナー的なものの方が落ちやすい
です。百均でラッカー薄め液とか売ってますかね?

電源投入時のポップノイズは、記事にも書きましたが、調整すれば
軽減できます。電源電圧が変わるとノイズも変化しますので、再調整が
必要になります。PC用のACアダプタなら、まあまあ精密なので大丈夫かと
思いますが。

> いろいろとありがとうございました。
> これからレポート作成に入りますので、引き続きよろしくお願いします。
> 代理購入の依頼は、いつでもどうぞ。

ありがとうございます。
今回は、色々お手間を取らせてしまって申し訳ありませんでした。



 


ども、Dynaです。

いろいろとありがとうございました。

折角なので最後にいくつか質問させてください。(H27.10.03)

 

Q1:TripathのICでTA1101の外し方は分かったのですが、TA2020のように基盤を温存しなければならないような

   場合、どのようにして外したのでしょうか。他の抵抗やコンデンサーも綺麗に取れていますが、半田ごてで出来る

   のでしょうか。

 

A1:初めは、金属疲労でモギ取って外そうかと考えていました。



  全てのピンがちぎれるまで曲げを繰り返し、基板に残ったピンを

               1本ずつ抜き取る。


  が、これだと外したICにテスタを当てにくくなってしまうので、正攻法で外すことに しました。





  基板を裏返しにしてICを万力で固定。全てのピンにハンダを盛った後、熱量の高いコテで 一気にハンダを溶かしたら、

基板をスッと持ち上げます。ハンダが充分に溶けないうちに、 ムリヤリICを抜こうとするとスルーホールを傷めてしまい

ますし、かといってモタモタ 加熱し続ければパターンを傷めてしまうので、タイミングが難しいところです。

 




ガス充填式のハンダゴテ「KoteLyzer HANDY PRO」。相当に強力な熱量で、

          鉄板へのハンダ付けなんかも楽勝。


  抵抗やコンデンサ等の2本足の部品は、片足ずつハンダを溶かして抜き取っています。 一発で抜ける時もあれば、数

回に分けて少しずつ交互に足を浮かせてやらないと ダメな時もあります。部品を掴むには指かピンセットを使いますが、

指の場合は、 部品全体に熱が回りきらないうちにやらないと、指が熱いです。
 

→なるほど、半田を盛って一気に熱して溶かし、パーツを外すのですね。それからガス充填式の強力なコテがあるのですね。

  納得しました。 By Dyna

 

 

Q2:修理完了後の基盤がとても綺麗なのですが、当方が基盤に半田付けを行うと、とても汚くなります。何か綺麗にす

   るコツがあるのでしょうか。ラッカー薄め液は分かったのですが、コツ等あったらご指導ください。


A2:おそらく、ハンダそのものの仕上がりではなく、ランド周辺に付着したヤニのことを指しておられるのかと思います。

 ものすごくシビアな回路でない限り、そのままにしておいても何ら問題ないと思います。まあ、あまり見た目が良くない

 ですから、数ヶ所程度なら、小さく丸めたティッシュにラッカー薄め液を付けて、ヤニを拭き取ります。



          ウチの、20年モノのラッカー薄め液


 今回のように、基板の裏側全面をキレイにするには、ラッカー薄め液を数滴、直接基板に垂らして使用済の歯ブラシ

でコスり、揮発しきらないうちにティッシュで拭き取ります。

 注意点は、スイッチ、半固定抵抗、リレー等、機械的な接点を内蔵する部品にはマスキング等の対策を施し、液を付

着させないことです。不純物を含んだ液が内部に染み込んでしまうと、接触不良の原因になります。ちなみに、ラッカー

薄め液は100均では売られていないようです。
 

→押入れを探したら、同じような状態のうすめ液を発見しました。もう捨てようと思って20年経ちますが、中は十分使えそうです。

  By Dyna

 

 

Q3:ポップノイズの低減方法ですが、もう少し具体的にお願いします。半固定抵抗って、どこにあるのでしょうか?ショ

   ートさせると壊れるかもと思い、ちょっと怖いので。

 

A3:回路にも色々と都合があるもので、入力端子が0Vの状態なのに、出力に欲しくもない電圧がいくらか現れてしまう、

これが「オフセット電圧」です。電圧が異なるACアダプタに交換すると、オフセット電圧も変動します。

「入力とGNDをショート、」としましたが、入力を無信号状態にするのが目的なので、ショートさせずにボリュームを最小

にすればOKです。



スピーカ端子に何もつながない状態でテスタを

当てます。デジタルテスタなら極性は特に気に

        しなくてOKです。





赤く囲んだ部品が半固定抵抗です。細いドライバを使って回し、電圧がなる

 べく0Vになるよう調整します。この調整を両チャンネルとも行います。
 

→そこの抵抗でしたか、何となくSP出力側にあるとばかり思っていました。早速やってみます。

  本当に、今回の経験では知らないことが多く、特に半田づけのテクニック、それと基盤の構造が良く分かってとても勉強にな

  りましたありがとうございます。MBのコンデンサー交換などで、丸い受け部はあるのに、パターン配線が無い箇所が時々あ

  り、「どうなっているのだろう?」と不思議に思っていましたが、そのまま放置していました。長年の謎が解けて嬉しかったです。

     By Dyna

 


 ども、Dynaです。

 今回は本当に大長編になってしまいましたが、結果的に大変嬉しかったです。おそらく当方のHP運営上、最大級の

作業とレポートになりますね。もっとも、作業は状さんにやっていただきましたが・・・・・。ありがとうございました。

 最近は、毎日毎日iPod内の音楽を中華アンプで聴いて楽しんでいます。スピーカーもウン十年前のものを出して来て、

使用していますが、年代をまったく感じず、良い音で鳴ってくれています。本当に良い音の意味を教えてくれるTripath

のICですね。感激物です。

 さて、情報によると、これらのIC以外にもTA2024とか、まだまだいろいろあるようです。これらも、そう遠くないうちに

手にしてしまうと思いますが、違いがわかるかなー?でしょうか。今回のICである2020と1101は、正直、差は分かり

ませんでした。逆に、個性的なものを感じるか?と思いましたが、ちょっと、言葉にだせるほど、当方には表現力があり

ません。

 あと、少しまえに譲っていただいたオペアンプも使って見たいですね。NFJという会社が販売していたLepaiのLP−

2020A+第9ロットはオペアンプが交換できるよう、ソケットが付いているようです。そうすると、いただいたオペアンプ

MUSES01が使えると思って、ワクワクしたのですが、販売はすでに終了しており、オークションで調べたらプレミアム

がついていました。

 販売価格が¥3000程度だったのに、オークションでは¥10000以上、アマゾンでは¥15000程度で、たまに販売

されています。すごい値段ですよね。是非、NFJさん第10ロットの販売をお願いしたいものです。

 長編レポートにお付き合いいただきありがとうございました。そして、作業してくださいました状さん、本当にありがとう

ございました。  

                                                     By Dyna   メール


 

 

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