NO.301 By らんまるさん (2016.01.17)
旧型スマートフォンのリチウムイオン・ポリマーバッテリーの発見と実践 (真似しないでね!)
リチウムイオン・ポリマー電池の流用成功
ども、Dynaです。
近年ノートパソコン・携帯電話だけでなく、デジタルカメラや、スマートフォン・タブレットと、リチュウムイオン電池の活躍
は、目に見張るものがありますね。以前のニッカド電池やニッケル水素電池を知っている当方としては、便利な世の中に
なったと、つくづく思います。
ただ、こんなに便利なリチュウムイオンバッテリーですが、残念なことに形状の統一性がありません。そのため、機種
毎にバッテリーが存在し、ほとんど互換性がないものが市中に出回っています。そのため、製品が変わるたびに別のも
のを入手しなければいけません。もちろん、専門のメーカーが互換バッテリーを出してくれる場合もありますが、人気製品
のみですね。ここに来て、スマホの高性能化が進み、バッテリーの持ちの問題が顕著化しています。そのため、交換用のバッテリー
がほしくなるのですが、純正品は結構なお値段ですね。また、いろいろな事情で新品のバッテリーが未使用なまま利用
できなくて寝ている状態も見られます。何かに使えないか気になっていました。
しかし、リチュウムイオンバッテリーは大変危険で、爆発した事例が国内外で発生しています。中国の例では、大怪我
をされた方もいるようです。ですので、もったいないからと思っても、改造等はしないことが肝要と思います。
さて、新年早々らんまるさんから、「リチュウムイオン・ポリマーバッテリーに関する発見と実践」なるレポートをいただ
きました。ありがとうございます。早速拝見したところ、今まで知りたかったことが分かりました。
ここに掲示させていただきますが、読者の皆さんは「知識として見てください。」決して真似しないようお願いします。
いかなる事態に対しても作者さん・当方ともに一切責任を取りませんので、ご理解願います。
By Dyna メール
スマートフォン用リチウムイオンポリマー電池の流用成功
<<リチウムイオン電池は取扱を間違えると非常に危険です。>>
<<絶対に真似しないでください。どうしても作業される方は、あくまでも自己責任でお願いします。>>
お久しぶりです カメカメ電源の らんまる です。
いつも秋葉原の状況をありがとうございます。
この度、旧型スマートフォンのリチウムイオンポリマーバッテリーに関して、発見と実践をいたしました。
自分的には活用の幅があり、大変に満足いたしましたので、Dyna様を通じ皆様へ報告いたします。
さて、上写真の初期スマートフォン F-12C は私の愛機として、2011年8月の発売当初から、4年以上に渡り活躍し
てくれています。
データ通信については別にiPhone4sを買い、2台持ちにしましたので、現状においてはほぼガラゲー的な使い方をし
ているのですが、Android機であるため、グーグルアカウントを利用した電話帳の同期が非常に重宝しています。
スペック的にはAndroid2.3 RAM512MBと今となっては見劣りするものの、薄型、軽量でありながら、防水・おさいふ
ケータイ搭載、しかも、バッテリーが案外長持ちするので、私にとっては【いつまでも使い続けたい「100年ケータイ」
(当時の富士通のキャッチコピー)】です。
あまりにも重宝していましたので、秋葉原で見つけた色違い(黒)を予備のバッテリーのためにと2,000円程で購入
して併用してきましたが、ここに来てそのバッテリーも100%の充電ができなくなってきました。
そこで、予備バッテリーとなる訳ですが、探してみると純正バッテリーやそれらに類似するバッテリーが案外高価であ
ることが判明しました。(とはいえ2〜3,000円程度ですが)
しかしながら、純正以外の選択肢として、たまたま以下の情報に辿り着きましので、ご報告いたします。
写真左上 純正 電池パック F21 (auのARROWS Z ISW11Fと互換性有り)
写真右上 純正 ソニー・エリクソン Xperia SO-01B(Xperia X11)
写真左下 互換品 ソニー・エリクソン Xperia
SO-01B(Xperia X11)
本当にたまたまなのですが、大きさも厚さも容量もほぼ同じであることが分かりました。
端子部です
手前 F-12C純正
中・奥 Xperia
SO-01B(Xperia X11)
肩の段になっている部分までほぼ同一形状であることが分かりました。
端子部は 何れも三極で左右が+−です。位置と極性は違いますね。
Xperia SO-01B(Xperia X11)純正バッテリーを分解してみました。
端子部に対してタブが2本(プラス・マイナス)である事が分かります。
本題のF-12C純正バッテリーです
「はがさないでください」と言われましても「はがします」
F-12C純正バッテリーの中身
端子部に4箇所ラッチがあり、カバーが外れる構造になっていました。
戻す時にどうしようかと思案していましたので、これはラッキー、簡単に戻せそうです。
Xperia SO-01B(Xperia
X11)のバッテリーと若干違い、タブがセンターと端の2箇所
中身の幅が若干違い、Xperiaはスペーサー的な樹脂枠の中にバッテリーが入っているのに対して、F-12C純正の幅は
バッテリー全体の幅であり、写真にはありませんがバッテリー下部にスペーサーが張り付いている構造になっていました。
F-12Cの端子部(左)とXperia SO-01B(Xperia X11)の互換バッテリーの中身(右)
カバー 端子基盤 ベース部 バッテリー
バッテリーのタブ部は左右に出ているタイプでした。(この方がハンダ付けがしやすい)
端子部を正しい位置に決めづらいのですが、多少許容範囲があり、写真の様な上下位置関係です。
幅と底面の厚さが合わないので、
Xperia SO-01B(Xperia
X11)互換バッテリーの縁の部分だけ再利用する事にしました。
(端子部を切断してあります)
両面テープで縁を張り、位置を合わせて端子部をハンダ付け(2箇所)
写真が無いのですが、実はもう1箇所、マイナス部の折り返し部分にハンダ付けが必要でした。
奥にぼやけて写っているのが端子カバー部
組みあがりました
肩の部分が合っていて、端子部の四角形の中に電導部がそれぞれちゃんと収まっていれば大丈夫そうです。
元々の接点跡が見えます。0.5ミリ程度ずれているようですが、問題なしとします。
隙間がむちゃくちゃありますが、ちゃんと入りました許容範囲があります。
動作良好 ほぼ100%充電可能になりました。
116歩では運動不足にもなるでしょう。
2日後 61%ですので、ほぼ純正の頃と変わらないバッテリーの持ち具合ですね。
十分実用できそうです。
しかしながら、歩数はやはり100歩台・・・
以上の事から大きさの近いスマートフォン用リチウムイオンポリマー電池は、端子部を交換する事で流用が可能だと
いう事を実践しました。
本件のドナーとしたXperia SO-01B(Xperia
X11)用互換電池(BST-41)はグローバルモデルであると共に対応機種
が20機種程と実に多いという理由から、市場への流通量がかなりあるので、比較的容易に入手可能なバッテリーと思
われます。
それに対してF-12Cなどの国内メーカー品や販売期間が短かったモデルなどはバッテリーの入手性が悪い場合が考
えられます。そんな場合への対応策として、本件を報告いたします。
以上
○いくつか質問してみました(Dyna)
ども、Dynaです。メールいただきました。(2016.01.14)
レポートありがとうございます。素晴らしい発見ですね。
リチュウムイオン電池は、いくつか形を定めてから
スマホ等の製品を作ってくれれば助かりますよね。
無限大に形があり、本当に困ったものです。
早速、HPを作成しますが、いくつか質問させてください。
1)電池の端子は3つありますが、中間というかセンター端子の後ろはどうなっていたでしょうか。
確か、温度センサーとか、安全装置が付いているとか、いろいろ聞いており
センター端子の位置づけがよく分かりません。
(ようは、電池の2端子を基盤につけると3端子状態になるということでしょうか。)
2)分解した3つの電池は、どれも電池部は2端子ということでしょうか。
以上、当方の予想した通りだと、遊んでいるバッテリーが使える可能性が出てくるので、わくわくしますね。
では、よろしくお願いします。
早速にありがとうございます (2016.01.14)
Dynaさんの推測通り
1 バッテリーの電圧を利用して駆動する回路が内蔵されており、安全装置がついている。
2 どれも2端子。
という事になります。補足を付け足しますので添付します。ではでは
追伸
ご質問ありがとうございます。
私もかねてよりリチウムバッテリーの中間端子=「T端子」の内部構造と具体的な動作については疑問点が有りました
が、今回分解して実践した課程で、その仕組と動作について確認することが出来ましたので、補足いたします。
細かい部分がありますので、写真は縮小せずに送ります。
拡大可
左側 SO-01B バッテリーの中身
右側 全く別の Softbank DELL Streak 互換バッテリーの中身
どちらも 制御基板とバッテリーの接続はタブ2本でつながっています
(バッテリープラス・マイナス)
SO-01B側は、樹脂類が多く付着しているので、チップ類が確認できませんが、右のStreak互換バッテリーはチップ類
が確認できました。
メインのチップの番号を読みますと、上記の番号が確認できます。
データシートによると・・・
8205A
SII製
S-8205A/Bシリーズは、高精度電圧検出回路と遅延回路を内蔵し、単体では4セル直列あるいは5セル直列のリチウ
ムイオン二次電池の状態を監視することが可能です。 リチウムイオン電池パックの過充電、過放電、過電流の保護に
最適なICです。
DW01
The DW01-P battery protection IC
is designed to protect lithium-ion/polymer battery from damage or
degrading the lifetime due to overcharge, overdischarge, and/or overcurrent for one-cell lithium-ion/
polymer battery powered systems, such
as cellular phones. とあります。
これら2つのICの組み合わせによって、充電サイクルや電圧を適度に保っているようですね。
基板上にある黒いチップは抵抗のようです。
DW01のすぐ下にある白いチップが何なのか分かりませんが、プラスの電圧が掛かっているようですので、おそらく
フューズではないかと推測します。
一般論として、「T端子」の役割は「サーミスター」に繋がっていて、温度保護の為にあるような記述が多く見られますが、
実際にはもう少し複雑な動作によって、リチウムイオン電池の充電中の保護を図っているのだと言えます。
以上 補足です。
尚、上記にあるDellStreakのバッテリーも SO-01Bのバッテリーとほぼ同じ大きさですので、今回のように制御基板の
取り換えが可能と思われます。
追って報告いたします。
※ リチュウムイオン電池は大変危険で爆発事例も多くあります。読者の皆さんは「知識として見てください。」
決して真似しないようお願いします。
※ いかなる事態に対しても作者さん・当方ともに一切責任を取りません。(2016.01.17)
○情報をいただきました。
今日はいい天気です。(2016.01.20)
スマートホン用リチウム電池の端子についてです。
端子は、-端子、温度検出、+端子 の3つです。
リチウム電池は充電温度範囲が決められていて、多くは0〜+45℃です。
また多くの電池では、-端子と温度検出端子の間にはサーミスタが接続されています。ほとんどが室温で10kΩ前後です。
サーミスタの抵抗値を充電回路で検出して、抵抗値が外れると充電を停止します。
実際に-端子間と温度検出間の電気抵抗をテスタで測定するとわかります。
たまにサーミスタが充電回路側に実装されていることがありますが、そのときは-端子と温度検出端子間は0Ωです。
また電池端子間に挿入されている保護回路は以下の目的があります。
1)充電電圧が高い時に電圧を切り離して安全性を保つこと、
2)および電池電圧が低くなったときに回路を切り離して過放電を防止することです。
今日はいい天気
→ども、Dynaです。情報ありがとうございます。大変よく分かりました。あと、分からないのは2端子ものの保護回路がどうなっ
ているかですね。 それとも、2端子には付いていないのでしょうか・・・。 By Dyna
ども、Dynaです。
レポートありがとうございました。
実は以前より、リチュウムイオンバッテリーの中間端子の役割と配線が気になっておりましたので、情報助かりました。
特に、バッテリーは2端子なのに、どうやって中間端子に配線されているかが気になっていたので、よく分かりました。
この事実が分かったので、バッテリーの容量が同じなら端子+基盤部を残し、バッテリー本体のみを交換するという方
法は、現実性がありますね。
しかし、リチュウムイオン電池の爆発等、危険な情報を多く聞きますので、あまり無理をされないようお願いします。
また、何かありましたらよろしくお願いします。
PS:スマホのバッテリーの持ちはすごいですね。電源を入れて2日後で61%ですか、スマホのバッテリーは毎日充電
するものと思っていましたので、非常に驚きました。
By Dyna メール