NO.295                               By TAKAさん   (H27.08.30)

デジタルテスターの誤差が気になり、確認用に5Vの標準電圧発生器を作ったレポート

デジタルテスター確認用、標準電圧の作成
 

 ども、Dynaです。

 最近、超小型の中華アンプに凝っています。小さいのに音が良くて、それなりの体裁をしているのに価格がとてもお安

いのです。特にトライパス社のTA2020というICを使っているものが良いとの情報で、車載用ですがLepaiのLP-2020A+

というアンプを入手しました。

 このアンプは、送料を含めても¥3000しません。パッと見はまともですが、よく見るとバリは出ているは、アルミはペラ

ペラで、正直とてもチープです。でも音は良いのですね。低音がいまいちですが、中・高音にメリハリがあり、すっきりと伸

びる、そんな音質なのです。聞いていて疲れないので、CDを片っ端から持って来て聞いています。

 さて、このアンプですが、ACアダプタは12Vを使用することとなっていますが、仕様をみると9−13.2VまでOKのよう

です。けっこう幅広いのですね。たぶん、内部で12Vにしているのだと思いますが、修理でもしないかぎりは、調べもする

ことは無いでしょう。オーディオアンプは結構電圧にゆるかったと記憶しています。

 ところが、過去の経験で、特に低電圧のものは電圧の指定がシビアで、結構苦労した記憶があります。それから、当方

はあまりしないのですが、本格的に修理をされる方には精度の高い電圧測定が重要になってくるようですね。

 さて、今般TAKAさんから「5Vの標準電圧発生器を作ったレポート」を送っていただきました。ありがとうございます。

 正直当方の知識レベルでは利用方法が分からなかったのですが、その経緯を含めてUPさせていただきました。

 早速、拝見しましょう。 

                                                         By Dyna   メール

                                                


デジタルテスター確認用 標準電圧の作成

1.はじめに

 こんにちは、TAKAです。

デジタル全盛の昨今ですが、当方で使用している計測器(テスター)も昔のアナログテスターは影をひそめデジタル表示

です。

  しかし、表示されている数値はどのくらいの誤差が出ているのか?

最近の機器は低電圧で動作する機器が多くなり、USBの5Vが5.1Vなのか、4.9Vなのか 疑問になる事もありました。 

今回は簡単な方法で計測誤差を確認する方法を模索し、低価格で再現性のある回路をそのまま作成したレポートです。

  




2.標準電圧をどのようにして作るのか


 どのような回路構成にするか? いつものごとくwebで情報を収集です。

いろいろな回路が有るようです、誤差を少なくするには回路も複雑となり費用も掛かります、最大のネックは調整が必要

になってしまいます。


  そうなると校正されたマルチメータがないとまず無理です。 手持ちの機器は校正がされていないデジタルテスターとマ

ルチメータばかりです。

  なんとか無調整(作りっぱなし)で誤差が少ない方法は無いかと虫のいい条件で探し出すこと数日です。

  気になるページを見つけました、無線機器などを製造販売しているICOMのページにある標準電圧発生器を見つけた

のでした。



参考とさせていただいたURL。  筆者に感謝です。

https://www.icom.co.jp/beacon/kousaku/001899.html




LM4040AIM3-4.1 と言う半導体(正確には、シャントレギュレータ)です。

秋月電子で取扱いがあり、価格も2個入りで100円とのことでした。

http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-06479/




ただ問題は発生電圧が、4.096Vと中途半端な電圧です、秋月のこのページの参考資料を見ると

LM4040-5.0 (5V)が有るようですが、残念なことに秋月では取り扱いが有りません。

この形名で探すと、マルツ電波で取扱いが有るようです、LM4040AIZ5.0NOPBです。(220円)

http://www.marutsu.co.jp/pc/i/68925/




データーシートを見ると、誤差も0.1%でLM4040AIM3と同様です。

型名のAIMはチップ部品ですが、AIZは外観がTO-92とトランジスターと同様ですので、半田付けにはいいようです。

目が悪くなってきた当方にはありがたい形状です。ただ価格が高いかな?

でも、アキバまで行くとなると、こちらからでは5K円が飛ぶ距離です、地方でもマルツはあるので

この方が安いとの判断をしました。

 

          LM4040AIZ5.0NOPB



回路構成はシンプルな回路です、シャントレギュレータ以外は手持ちのジャンク部品で何とかなりそうです。

でも抵抗値はどのように算出しているのか、さらに探していくと、詳しく解説しているページを発見しました。 



参考とさせていただいたURL、筆者に感謝です。

http://www.eleki-jack.com/ejackino/2010/02/no17-ejackinolcd10.html



なるほど、RS=(VS-VR)/ (IQ+IL)か、オームの法則 R=E/I そのまんまかな。

よくデータシートを見たら算出式も最後に出てきました。

電流値を1mAにすれば簡単です、くれぐれも電流を流しすぎないように。(最大15mAまで)



 



3.作ってみました


シャントレギュレータ以外はジャンクの手持ち部品を使うので、万能基板がてっとり早いとのことで、始めました。

電源は12Vのパソコン用ジャンクACアダプターを使用し、手持ちの3端子電源IC、TA7809Sで9Vにし、

電流制限抵抗は9V−5V=4Vなので4Kと決めましたが、手持ちがなく3Kと1Kを

直列につなぎ合成抵抗4Kとしました。 電源ICの入出力には0.1μを念のために付けました。

シャントレギュレータだけは長時間半田付けしていると特性が崩れることもあるので注意です。

注意するところは、シャントレギュレータの極性を間違えないようにするぐらいでしょう。


     3端子 電源IC TA7809S


 

 


4.はたして誤差はどの程度か


 完成したので確認です、12VのACアダプターを接続し電源ONです。

デジタルテスターで出力電圧を計測してみました、まずは秋月のP-10です、5.03Vを表示です。

電圧は正常に出ているようなので、マルチメータで測定すると、2機種とも5.003Vを表示していました。

タケダ理研とADVANTESTは同じメーカのようです、社名が昔変わったのかな。

MAS838 のテスターは4.88Vですね、やはり安い機器は誤差が多いのか。

 
                 ADVANTESTR6441A                        タケダ理研 TR6844   


 
           秋月電子 P-10 秋月電子                              MAS838



  メーカー         型名      表示値

 ADVANTEST     R6441A    5.003    マルチメータ

  タケダ理研       TR6844      5.003    マルチメーター

 秋月電子             P-10      5.03     テスター

  秋月電子         MAS838     4.88     テスター


 


5.最後に

 無調整でこれだけの標準電圧が作成できるのには驚きました、便利ですね。

デジタルテスターもMAS838を除き心配しているほどの誤差もないようです、いい時代となりました。

本来は、校正された電圧計で確認しないといけないのですが、アマチュア的にはいいとしましょう。


6.お約束

 参考程度に読んでいただき、実行は自己責任でお願いいたします。

 


<以下、メールのやり取りです。>

 

Dyna様 (H27.08.24)

お世話になっております、TAKAです。

連日の猛暑の中、アキバレポートご苦労様です。 

TA2020にはまっておられるご様子のようで毎回楽しみながら見ております。

さて、今回はデジタルテスターの誤差が気になり、確認用に5Vの標準電圧発生器を作ったレポートです。

シャントレギュレーター以外は全てジャンク部品の流用です。

コスト的には220円で完成したローコストな電圧発生器となりました。
 

 


ども、Dynaです  (H27.08.26)

メールいただきました。レポートありがとうございます。

このところ、レポートUPが無かったので、助かります。

週末ごろにHP案を作成して、ご確認願う予定です。

1点だけ、教えてほしいのですが、

この確認用5Vの標準電圧発生器は、具体的にどのような利用方法があるのでしょうか。

よろしくお願いします。

では、

 



おせわになります、TAKAです。(H27.08.27)

早々のご連絡ありがとうございました、お問い合わせの件ですが、果たしてうまい解説になっているかどうか?

当方、パソコンも趣味の一つではありますが、50年来のアマチュア無線家です。

回路の製作、修理などにはデジタルマルチメータが必要不可欠です。


修理などに使う電源も可変電源のため電圧調整が必要です、そのために計測器が必要になります。

また、昨今のIC回路は低電圧ですので、正確な電圧がわからないと修理も難しくなります。

レポートのデジタルマルチメータもヤフオクで仕入れたジャンクであります。


本来なら校正が必要となりますが、とんでもない金額となりますので今回の様に安価な標準電圧が

あると、ジャンク計測器でもそれなりの活用が出来るわけです。



今回作成した5Vの標準電圧発生器は、そのままでは他には応用できないかと思います。

ですが、シャントレギュレータは高精度な基準電圧を発生することができます。

同様なものにツェナーダイオードが有るのですが、これとは比べ物にならない高精度です。

今回のLM4040は5V±0.1%が抵抗一個で発生するわけです。


 
webなどを見ますと、マイコン関係の安定化に使用したりしているようです。

オーディオ方面では音質向上のために、現行方式のスイッチング方式の電源回路をやめ、

シャントレギュレータにするマニアまでおられるようです。


スイッチング方式の電源はどうしても高周波ノイズから逃げられないためと理解しております。

添付URLの筆者の様に各増幅段、左右別々の電源を、シャントレギュレータにて安定化し音質向上を

しているのには驚かされました。 難点は電流を多く流せないのが残念なところでしょうか。



電源回路の種類

http://www.riric.jp/electronics/design/power/kind-of-power-source.html


音質を向上させる

http://necomania.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-0b31.html



ではよろしくお願い致します。


○情報が入りました。(H27.10.18)

s_carib です。

「NO.295デジタルテスター確認用、標準電圧の作成 By TAKAさん (H27.08.30)」

を見て作って見ました。

テスターだけを頼りにしていましたので、指示精度が気になっていました。

お陰様で、テスターが驚くほど精度がよいので安心しました。

ブログに載せ、リンクを張りましたのでお知らせします。ご了解をいただけます

ようお願いします。


油差し > テスターの電圧チェック
http://blog.goo.ne.jp/aburasashi/e/c4c502bbb86225a0ce195ab97483dba4


油差し
url:http://blog.goo.ne.jp/aburasashi

 

→ども、Dynaです。そうですか、TAKAさんの「標準電圧の作成」は、結構すごいのですね。当方も、当初は良く分からなかったの

 ですが、「中華アンプMUSE M20 EX2の改造修理」で、電圧測定の重要さを感じております。TAKAさんに連絡しておきます。

 


 ○情報が入りました。(2016.02.29) 

s_carib です。

「NO.295デジタルテスター確認用、標準電圧の作成 By TAKAさん (H27.08.30)」を作ってみたの続きです。

LM4040-5.0を直列にして標準電圧10.00Vにしてテスタの直線性を確認しました。

5V、10Vともに+0.4%となりました。

わずかの外付け部品で作れて、楽しい実用です。

早く基板にのせて大事な道具にしたいと思います。

お手数をおかけして申し訳ありませんが、TAKAさんにお伝えいただければ幸です。


→ども、Dynaです。続き情報ありがとうございます。「楽しい実用」良いですね。


 


 ども、Dynaです。

 レポート&Q&Aありがとうございました。

 当方もパソコンの修理はしますが、正直電圧をシビアに測定しての原因追及はしていません。というかそこまでの知識

は無いのです。何となく、頑張れば出来そうな気もしますが、コスト追求で修理をしてしまうのを基本としているため、楽

な方で対応しているのですね。ようは、原因を追究して直すことよりも「動く部品で交換する。」を鉄則にしているからです。

 しかし、この方法だと限界が簡単に来てしまい、もっと深くを探ることが出来ません。ですから専門的な知識をお持ちの

方々から、詳しいアドバイスをいただくと、本当に知識不足を感じることばかりです。

 中学で習ったオームの法則「E=IR」程度は今でも理解していますが、基盤の中まで追求するのは正直面倒で手が出ま

せんでした。自分のスキルの境界線を見た気がします。

 趣味の世界で、どこまで出来るかは分かりませんが、もっと精進しないといけませんね。

 また、何かありましたら、よろしくお願いします。ありがとうございました。             By Dyna   メール


 

 

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