NO.383  (2024.10.17)

パナソニック ワイヤレスインターホン子機 VL-W605の修理

                                                       By 今日はいい天気さん

ども、Dynaです。 

 信州の田舎暮らしを始めて半年たちますが、ほとんどの時間を農作業と古民家再生に使っているため、電気関係の作業は
あまり進んでいません。ただ、生活に必要な固定電話やインターホンは古民家が古くて大きいので、それなりには対応しました。
 インターホンは無線で飛ぶ子機を二階に設置し、ほぼどこでも聞こえるようにしました。電話機は古民家再生の際に居間に移
設し、とりあえず使える様にしています。ただ、固定電話は現実的にほとんど利用がないので横浜と同じように月々の費用の安
いHome電話にしようと思ったのですが、横浜で切り替えを行った際に膨大な手続きがかかったため、しばし様子見です。
(手続き作業は家内になるので) あと、田舎で使われている有線電話(都会の方は知らないかも、農協からのお知らせ用SP付き)
は不用なので、早々に解約撤去しました。
 さて、ここにきて、横浜のHome電話機の勝手に付けているワイヤレス子機のバッテリーが消耗したので、新品バッテリーに交
換したのですが、なぜか動きません。はて、どうしたことか?と悩みましたが、横浜に居る期間が短いので放置したまま信州に
戻りました。(なかなか修理をする時間がありません。)
 でも、現実的には信州での生活がメインなので、その子機の付いている電話機を信州に持ってきて子機を古民家の2階に設
置しようと思っていたのでした。
 そんな状態で、悶々としていたら、前回も有用な情報を提供してくださいました「今日は良い天気さん」から、ちょっと似ている
ワイヤレスインターホン子機の修理情報を頂きました。ありがとうございます。「これは使えるぞ!ラッキー!」と思いましたが、
拝見すると当方にとっては結構難解な内容です。では、早速拝見しましょう。

                                                                                                                                   By Dyna  




こんにちは 今日はいい天気  です。 次の投稿です。

パナソニック ワイヤレスインターホン子機 VL-W605の修理

はじめに
息子の家で使っているインターホンはPanasonicのVL-MW230ですが子機がなく、二階にいるときなどに呼びだし
が押されても聞こえないという状態でした。検索するとVL-W605という無線子機が適合していることがわかりました。

ヤフオクでしばらく取引の様子を見ていましたが、動作ができるものは7000〜8000円、動作不明もしくは故障して
いる物(故障の程度と付属品の有無によります)が3000〜5000円でした。故障の症状は「電源が入らず」、「画面
が白い」とあるようです。「画面が白い」ものは液晶パネルもしくはCPUなどの交換が必要になりそうなので、今回
は電源入らずというジャンク(充電台、ACアダプタ付属、バッテリパックあり)を落札して修理しました。実際に行っ
た手順を時系列に説明すると長くなるので「電源入らず」という今回のジャンクについて故障診断を含めて要点を
絞って説明します。ネットを検索してもVL-W605の修理記事は出て来ないので参考になると思います。

(図15)

1 ACアダプタ
定格270mA、8.5Vと書かれています。無負荷の時は12.0Vでしたが、270mAの時は電圧が8.5Vに低下します。
実際に無負荷で電圧が12V前後出ていればOKです。


2 充電台
内部は250mAの定電流回路構成になっています。使用されているICはRT-9146Aですが、***1117-ADJ、LM317
などと同じ特性です。
子基板の裏側が充電台の内部におかれているアルミ放熱板に接触していて放熱される様になっているので分解
したときに放熱グリスを塗っておきました。ケースの反対側には銅箔が貼られています。

(図5)

動作確認では@Aを確認します。

@ テスタをDC電圧モードで充電台に出ている端子を測定し、ACアダプタの無負荷時の電圧から若干の電圧降
下分低く出ていればOK。

A テスタをDC10Aレンジにしておき0.25A流れることが確認できます。もし定電流回路が故障しているとテスタが
故障することがあるので27Ω2Wなどの抵抗をテスタと直列に入れておくと安心です。
実際の基板にはノイズによる誤動作の防止用にコイルなどが実装されていますが省略しています。


(参考回路図 図14)

3 子機

3−1 子機の動作確認
分解前に子機を充電台に挿入してLEDなどの状態を確認します。今回は何も表示されませんでした。

3−2 分解
分解して基板上のチップヒューズ(1608タイプ シルクではF1 2Aと記載あり)の導通を確認します。今回入手した
ものはこれが切れていましたので、実験中は少し大きなチップヒューズで最終的に1608タイプ1Aチップヒューズ
(Panasonic ERBRE1R00V 秋月電子通商で購入)に交換しました。回路の調査から1Aでも問題ないと思います。

(図4)

3-3 動作確認
@ 基板上のバッテリの端子のところに直流安定化電源から直流3.6Vを印加し、スイッチ「通話」を押します。押す
といってもボタンがないのでアルミ箔などでスイッチのパタンをショートします。今回は「圏外」、「充電してください」
といった表示が出てしばらくすると消えてしまいます。
A 通電状態で基板上の電圧テストポイントを全部測定して一致しているか確認してください。例3V3は3.3Vです。
私の場合全部正常でした。

3-4 充電機能の確認
@ 疑似電池(直流安定化電源の出力に抵抗5.1Ω4W以上のセメント抵抗を並列接続、充電電流(安定化電源に
流入する方向)を抵抗で抑える)の出力を3.6Vとして基板のバッテリパタンに印加して、さらに基板の充電端子の
ところには充電台のバネの部分と基板のパタンをリード線にて接続して確認します。充電LEDが点灯すればOKです。
今回はQ2が不良になっていました。(「5-4 疑似電池の説明」参照)



A Q2の診断(電源を切って基板についた状態で測定)
診断方法は以下になります。
Q2はPNPトランジスタなのでBE、BC間のダイオード特性(順方向電圧)を測定します。
B→E間開放、E→B間0.6〜0.7V、
B→C間開放、C→B間0.6〜0.7V
今回はE-B間が開放モードで故障していました。
動作確認では手持ちのスルーホールタイプ大電流のPNPトランジスタを用いましたが最終的には2SA1313Y(チッ
プ型 東芝 50V500mA 秋月電子通商にて購入)に交換しました。
(図14)

4 組み立てと動作確認
基板を戻して組み立て、充電台に入れて動作確認をします。
充電LEDが点灯していればOK。半日以上放置すると充電LEDが消灯します。

5 おまけ
5-1 バッテリパック内の素電池の交換
今回は充電完了後子機本体を充電台からはずして数時間放置すると動作しなくなりました。電池パックの電圧は
1Vまで低下していました。
分解すると内部には3個の単4型ニッケル水素電池が実装されています。そのうちの一つが0.1Vでした(他の2個
は1.3Vで正常)。



今回は手持ちのワイヤレス電話機用の電池パック(リード線のコネクタ部分が切れてそのまま保管していた物で
素電池は単4型ニッケル水素電池3本直列)をばらして素電池3個ともを交換しました。

5-2 他の不具合
基板の故障を調査していてSAと書かれている部品(サージアブソーバーのことか)3個のうち1個がショートしてい
ました。回路からマイクの保護のためにはいっていると思われます。ショートしていた部品をはずしておきました。
ただ外した部品単体での抵抗値は∞、基板パタン間は約10kΩで何らかの不具合(ハンダボールなど)でショート
したと思われます。

5-3 充電台の固定
落札した充電台の部品が不足していて子機を充電台にさした状態で自立しません。余っていたアクリル板を加工
して支えをつくりました。

5-4 疑似電池の説明
疑似電池は充電機能のある回路の評価に必須ですので説明します。
添付の回路図で、充電していないときは直流安定化電源から抵抗R1に電流が流れますが、充電中は充電電流が
回路からR1に流れます。R1がないと直流安定化電源の電圧が上昇しますのでその分をR1で吸収します。
直流安定化電源の設定値>R1 × 充電電流 となるようにR1 の抵抗値を設定し、R1 の定格電力は充電もしくは
非充電の時の電力に対して余裕のある値を選定してください。



6 充電制御
充電中の及び充電完了後の電流の変化を測定しました。充電は250mAを断続しておこない、充電完了後も間隔を
置いてパルス的に250mAで充電しています。制御はCPUで行っているようです。
電流がマイナスになるのは充電が行われず電池パックから回路へ動作電流が流れていることを表しています
(電池パックへの流れ込みがプラスになっています)。

(図13)
図13の充電中で電圧、電流がAM変調派の様になっているのはサンプリング周期がを30秒にしていたための取り
こぼしです。



7 まとめ
今回はの故障箇所は、F1、Q2、SA6、バッテリパック になります。
簡単に直るかなと思っていましたが、途中中断もあり結果的には修理完了まで1ヶ月弱かかりました。



<重要>
 作業を実施する場合は、あくまでも自己責任でお願いします。特に、同型の機種であっても、
本記事の内容どおりに稼働する保証はありません。ご理解願います。

 


ども、Dynaです。

 レポートありがとうございました。ワイヤレス子機の故障箇所は、F1、Q2、SA6、バッテリパック ですか・・・・。
以外に大変でしたね。
 当方が、考えている修理は横浜に置いてきた電話機のワイヤレス子機なので、インターホン子機と似ているため参考になるかと
思いました。
 症状は、当初バッテリー不良と思われたので新品を購入して交換しました。しかし、交換しても動かず、そうこうしているうちに、
液晶が何も表示しないようになってしまいました。まったく、原因が分かりません。今月末に行った際に持ち帰りワイヤレス子機を
修理するか、古民家の2F用に単純な有線での並列配線するか悩んでいます。ワイヤレスの方がカッコ良いからそちらにしたいの
ですが・・・・。
 本レポートをもう少し、勉強させて頂き、どうするか検討します。(このレポートを書いている時間内にも2回ほど固定電話に
電話 がありました。内容は、勧誘ばかりですが・・・。)
 毎回、古民家2階の自室から1階の居間に降りていくのがとても面倒なので。

                                                          By Dyna

 

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