NO.312 By Yankさん (2016.08.03)
ジャンクで作った「熱中症予防ファン」
ども、Dynaです。
梅雨が終わったと思ったら、不安定な天気が続いていますね。しかし、間もなく旧盆になり、真夏の陽ざしが秋葉の
街を襲うでしょう。 さて、毎年、夏の秋葉巡回は灼熱地獄を感じます。でも、危険を感じると即店舗に入って涼むので、
何とか凌げるのですが、真夏の外の作業、炎天下の作業となると、そうは行きませんね。
もっとも、真夏の炎天下に作業をすること自体危険なので、避けるべきですが、少ない休みを有効に使うとなると、そ
うも言っていられません。と言うことで「何か良いグッツは無いか?」と探すのですが、「おー!」と思ったものはありませ
んでした。
そんな折、Yankさんとメールのやり取りをしていて、ついに「おー!」なるグッツを発見してしまったのです。それは、
下の方に写真が出てくる「熱中症予防ファン」です。これがあれば、真夏の作業、例えばカーナビの設置や調整等が、
快適にできるでしょう。(最近しました。地獄でした。)
実は、職場にファンの付いた薄手のジャケットを着ている方が2名いるのですが、どうにも重ね着しているので、マネ
する気になれません。でも、大変気になっています。それは当方、後頭部が異常なまでに汗をかき、この時期タオル
とうちわが無いと生きていけません。つまり外出時の必携アイテムとなっているのです。でも、これらのグッツでは、手
がふさがってしまい、効率性が非常に悪いのですね。
よって、Dyna的には、この「えりくびファン」があれば、「快適環境間違いなし!」ということで、興奮しております。
ただ、このような形状のファンに「シロッコファン」という名称があることすら知らず、先週の秋葉巡回で早々に購入し
てしまいました。でも、よく考えたら、リチュウムイオンバッテリーで使用するので、回路等の問題が発生し、慎重な検討
が必要でしたね。少々フライングでした。(反省!) では、早速に拝見して、製作の方を頑張ることとしましょう。
2016年7月30日(土)に購入してしまったシロッコファンFAX-2¥300、2本線でした。
By Dyna メール
ジャンクで作った熱中症予防ファン By Yank
最近、Dynaさんと、BGA ICの半田クラックについて、メールでやりとりをしていた際、私が熱中症予防に、ジャンクを寄せ集
めて作った自作装置のことを書いたら、それを是非、紹介 してほしいと頼まれました。この装置は、私の海外の仲間に向けて
書いているブログに、作った翌年に紹介していますが、今となっては、5年も過ぎ て、新しくも何でもないのですが、Dynaさんご
自身が夏の外での作業ではお困りのようですし、ジャンカーの皆さんも役立つかも知れないと思い、 ここに紹介させてもらうこ
とにします。PCやリチウムイオンバッテリーのジャンクをこういう形で活用する一つの事例になるかとは思います。
<慌てて作ることになった背景>
かつて、父が炎天下での草刈り中に意識を失い、救急車で運ばれ、入院騒ぎを起こしたことがありました。それが新聞で報
道され、以来、父は退院して も、恥ずかしくて外に出られなくなってしまいました。蛙の子は蛙、私も暑さには弱く、父の二の舞
いにならないよう、熱中症を防ぐ何か良い手立ては ないものかと思ってはいましたが、具体的には何もアクションせずでした。
でも、必用に迫られて、ジャンク箱にあった材料をかき集めて急遽作ったの が、下の写真のものです。シロッコファンを帽子の
後ろに付け、下に吊るして背中に風を送るものです。それは5年余り前のことでしたが、シルバー人 材センター主催の庭師実
技試験を控えた前日の晩のことでした。翌日の午前中に屋外実習があり、午後には実技試験のある日でしたが、それは、梅
雨明 けの7月の屋外のことで、熱中症になる心配があったからです。ボランティアとして、老人家庭の庭木の手入れをさせても
らうにも、認定資格がないよ うでは信用されないので、私は必死でした。それで慌てて作ったという次第です。農作業時は麦わ
ら帽子でも使えるようにして、今ではいろいろな用途 で使っています。
<ジャンクの寄せ集めながら、効果に納得>
使った結果、庭師の実技試験に合格した上、その後も、これが役立つことが多く、慌てて作った割には、その有用さに自分で
も感心しています。市販品 にファン付きのジャケットがあるようですが、私が自作したものは何を着ていても、首から背中に向
けて差し込むだけで使えるので、服装を選びませ ん。その後、庭木の手入れ以外に、農作業や車屋さんで、炎天下に置かれ
た故障車を修理をするお手伝いをするときに、これがとても重宝しています。 また市販品のプロペラ式ファンと違ってシロッコ
ファンを使ったことで、静圧が得られ、風路が狭くても、風量が確保し易いというメリットもありま す。ファンの違いによる静圧と
風量については、このページが参考になるかと思います。
http://normal-on.com/05_technology/tech-food01.html
photo1
自作の熱中症予防ファン
Photo2
リチウムイオンバッテリー
<どう作ったか>
この装置に使ったジャンクのファンは、下の写真の、DELLのOptiplex
GX280という古いPCに使われていたもので、NMB-BAT
MODEL BG090-B049-P0Sと読めます。爆熱CPUと呼ばれたPrescott を冷やすためのシロッコファンであり、それなりに期待で
きると踏みました。実際、肌と密着するTシャツを着ていても、Tシャツが膨らみ、風が背中だけでな く、腹側にも抜けて来ます。
これを使うと、上半身全体を強制空冷できるのですが、唯でさえ出ている私の腹が余計出て見えてしまうことにもなりま す。
ツナギを着ているときに使うと、風が下半身までも抜けて来ます。ファンには、白、赤、黒、青の4本のリードが出ていて、白は
回転停止検出信 号、赤は+、黒はー、青は回転数制御信号であることは記憶していたことが役立ちました。
<バッテリー>
使ったバッテリーは、上の写真のもので、新品未使用と記されていた 7.4V(フル充電で8.4V)
3400mAHのジャンク扱いのリチ
ウムイオンバッテリーです。これを入手した元の理由は、ノートPCのバッテリーを殻割りして、再生する際に使うためで した。
中に18650のバッテリーが4本入っていて、2本づつが直列になり、かつ直列になっていました。制御回路のないものであり、
ファンに使う には、過充放電させないよう、本来なら電圧監視回路も自作すべきでしたが、急いでいたため、取り敢えず、
ファンに直結してみました。
<実際に動作させるには、 PWMのコントロール>
+とー端子をそれぞれ赤と黒リードにつなぎ、青リードには手持ちにあった、22kΩの半固定抵抗のセンター端子をつないで、
バッテリーの電圧を分 圧し、与えてみました。2V余りを加えると、ファンは勢い良く回り、電圧の僅かな変化で、回転数が大きく
変わりました。2.26Vで回転数が飽和 し、十分な風量が得られ、2.10Vまで下げると、微風になって、停止寸前になったのです。
ファン内部にPWMによる回転数制御回路があるよう で、オシロスコープに自作の電流センサーを付けて調べ、そう確信しました。
また回転数の制御は、モーター内のPWM回路を外部からDCで制御すれ ば良いことが分かりましたが、青リードはファン内部
でプルアップされていて、外部に流れ出す電流で回転数が制御できることを見つけました。そし て、最終的に組んだ回路を下
の回路図に示します。R2で低回転時のスピードを決め、R1でバイアスを与えて、飽和回転に達するようにしました。 R1とR2に
ついては、手持ちの抵抗ではぴったり選べるものがなかったので、R1には、120kΩと180kΩ、R2には、3.9KΩと 2.7kΩをどちらも
並列にし、スイッチを使うことで、強・弱の狙いの目の回転数を得られるようにしました。最初の写真のファンとバッテリーの中
間にある青色の部分の中がその制御回路です。使用中の様子を鏡の前で撮った写真が一番下の写真です。
Photo3
使ったOptiplex
GX280のシロッコファン
Photo4
(結線方法)
Photo5
ファン使用中
<過充放電防止>
リチウムイオンバッテリーは過充電も過放電も厳禁であり、端子電圧を監視して、充電も放電もシャットダウンする回路を付
けるべきです。しかし、急 ごしらえでは、そこまでの余裕が無かったので、取り敢えず、庭師実技試験が終ってから、あれこれ
追加実験をしてみました。充電器は昔使っていた、 デジタルハンディーカム用のものが、そのまま使えることが分かり、流用す
ることで簡単に済ませました。それを使うと、8.36Vまで充電されると 充電が完了し、過充電にはなりません。放電については、
6.8Vの定電圧ダイオードとLEDと抵抗220Ωを直列にしたものを作り、7.2V以下 になると、LEDが消えるようにしてみました。当初、
5.1Vの定電圧ダイオードを使ったら、風量が下がってきてもLEDがしっかりと輝いてい て、最終的に6.8Vにしました。しかし、昼
間だと、これがよく分かりません。でも、バッテリー電圧が下がってくると、風量が下がるので、それで 分かってしまいます。事
実、風量が下がってきたなと思う頃は、LEDが急に暗くなり始めます。すでに作ってから5年間、毎夏使い、今年で6シーズ ン目
ですが、バッテリーはまだ十分に使えています。幾分、持続時間が短くなってきましたが、強モードで4時間近く使え、新たに入
手したバッテリー と併用すると、朝から晩まで大丈夫です。
<その他、補足>
このファンモーターの定格は12Vですが、バッテリーの8V前後で使っても、十分に機能し、1A近い電流が流れ、熱中症予防
に使うには有効だと実 験の結果分かりました。でも、上で選んだR1とR2の値だと、バッテリー電圧が下がって来て、7.2Vに達
すると、急速に風量が落ちます。バッテ リー保護の点でこれは分り易い判断基準だと思い、シャットダウン回路はつけないまま
6シーズン目に入ってしまいました。すでに300サイクル程度 は充放電を繰り返していますが、今でも大丈夫なことから、シャット
ダウン回路は無くても良さそうです。このファンをいろいろな服に付けて分かった ことは、通気性の良い服より、悪い服の方が
効果的で、特に、厚手のツナギの場合、ズボンの部分まで膨らみ、足首から空気が抜けて行きます。車を触 る時に、思いの他、
役立っています。こんなジャンクの寄せ集めながら、思いの外、役立ち、熱中症にもならずに済んでいます。
○ここで、分からないことがいくつかありましたので、質問してみました。
Yankさん、メール&レポートありがとうございました。
具体的な質問ですが、よろしくお願いします。
Q1
バッテリーの充電方法は具体的に、どのような感じでしょうか。
ノート用バッテリーに見えますが、ハンディカム用で充電とのこと、
ちょっとイメージできません。
Q2 バッテリーへのコード接続方法は、はんだ付け?
バッテリーの端子部に配線された様子が見えませんが、
別に配線しているのでしょうか。
Q3 抵抗R1・R2は並列となっていますが、ぴったりでも可か?
W数は? 抵抗や半固定抵抗器のW数を教えてください。
以上、よろしくお願いします。
Dynaさん、こんばんは。Yankです。ご質問の件ですが、
1,バッテリーの充電方法の件、
使った充電器は、昔、私がアメリカに居たときに買った、ソニーのAC-L25A
というもので、このURLにあるものです。
http://www.ebay.com/itm/Original-OEM-SONY-AC-L200-AC-L25-AC-L25A-AC-L25B-AC-L25C-AC-Power-Adapter-/350451571127
尚、定格はこのようになっています。
AC IN 100V〜240V
DC OUT 8.4V 1.5A
この充電器は、リチウムイオンバッテリーが2個直列に入っているソニーの
バッテリーを充電するためもののようです。以前、私が自己責任であれこれ
実験したところ、18650を2本を直列にして充電すると、具合良く、充電できる
ことが分かりましたが、当初は、安全を見越して、8.36Vある出力に電流制限抵抗
を介して、バッテリーにつないでいました。しかし、AC-L25Aは内部に過電流
制限回路があるようで、抵抗値を下げても、電流は1.5Aを僅かに超えるレベル
でしか、流れないことが分かりました。
ファンに使ったパックでは、2本づつが直列でかつ、並列になっていて、抵抗を
使わずに充電しています。こうすると、充電初期には、0.75A程が個々の
バッテリーに流れ、充電が進むに連れて、減っていきます。この方法は満充電
するのに、6時間程かかりますが、過充電にはなりません。ハンディカムでは、
充電が2時間以内で済むのは、バッテリーの容量の違いだけでなく、何らかの
充電マネージメントがハンディカムの中でされているからかと思います。
2,バッテリーとリード線の接続
殻の側面に端子があったので、そこにリードを半田付けし、さらに幅広の絶縁
テープをそこに巻き付けています。テープで絶縁をすることと、リードにテンションが
かかったときに、半田付け箇所にストレスが及ばないようにするには、これが手取り
早かったからだけで、格好良いとは凡そ言えませんね。尚、この18650が4本入った
パックはノートPC用ではなく、何らかのポータブル機器用だと聞いていますが、
どういう製品名は不明です。
3,抵抗値とワッテージ
抵抗は最初、22KΩの半固定抵抗だけで済まそうとしましたが、調整が余りにも
シビアーで、僅かに回すだけで、回転が止まってしまったり、フル回転になってしまい、
強と弱の2つのモードだけあれば良いと判断し、固定抵抗にしてしまおうと、
1/6Wの固定抵抗に替えたのですが、好みの低速回転数を得るには、R2に1.6KΩ
が最適でした。でも、それが無かったので、苦肉の策で、3.9KΩと 2.7kΩを並列に
しただけのことです。高速回転にするのは、バイアスを与えるということにし、実験した
ところ70kΩで回転数が飽和したものの、そんな抵抗はなく、120kΩと180kΩを
並列にしたという次第です。
思い出してみると、これを作り始めたのは、翌日に、試験を控えた夕食後のことで、
熱中症にだけはなりたくないと、慌てて作ったものですから、不格好なはずです。
庭師講習会の会場では、
「何だこりゃ?」
「オーム真理教のヘッドギアのまね事か?」
と奇異な目で見られ、笑われましたが。
私が真面目な顔をして、熱中症にならないための「ネックギア」と言っても、皆さん
反応は今一でしたが、「ちょっと貸してみてくれ。」
と言われ、そうしたところ、
「これは効く。私も欲しい。」
と言われて、周囲に人だかりができてしまい、皆さんに交代で使ってもらったところ
「量産したら、きっと売れるだろう。」
でした。
ども、Dynaです。ご返事ありがとうございました。
今日も、湘南でシロッコファンを2つゲットしてきました。@¥200です。
1つは12V、もうひとつは5Vなので、まずは簡単なUSBタイプを作ろうと思っています。
ただ、風量が弱い気がしますので、バッテリーの確保ができそうなら12Vにチャレンジしようかと思っています。
ありがとうございました。 By Dyna
あとがき
まだ、現時点で作製作業に入っていないので、何とも言えないのですが、使用するときっと快適でしょうね。 なのに、
なぜ市販されていないのでしょうか? おそらく、それは見た目の問題、異様さ等でしょうかね。
秋葉のツクモには、同じようなものが¥980で売られていました。使用方法は、首からぶら下げ、顔の下から風を送
る方法です。なるほど、そのくらいなら、使用しても恥ずかしくありませんね。ただ、製品の大きさからバッテリーは非常
に小さなもののようでした。おそらく、数十分程度動かすと終わりかと思います。
どんなに良い発想でも、実用にならないと、使用する人はいないでしょう。となると、やはりバッテリーは大型のもの
になりますね。
何を考えているかというと、「バッテリーをどうするか。」です。ノート用のを利用すれば、完璧でしょう。しかし、大きい、
重い、見た目が悪い、の問題も出ます。そこで、今考えているのは、スマホ用のモバイルバッテリーです。これならUSB
で電源を取れるし無くなったら、替えを用意できますし、その間充電することもできますね。
ただ、買ってきたシロッコファンは12Vでした。モバイルバッテリーは5Vですよね。だめかな?なんて思っています。
間もなく、お盆の帰省です。今年は、職場の田舎者と交代でお盆休みを取るので、当方は前半、早めに帰省します。
よって、作製作業そのものは、上京後になってしまうかもです。悩みますね。