NO285                 By  だいまい14さん (H26.12.10)

 一般的なPCへと仕立て直し
hp 6360t Mobile Thin Clientの改造

 

 ども、Dynaです。秋葉原でお宝探しをしていると、時々超小型のPCを見つけます。しかも結構お安いのですね。その

場合、よく見ると、それは普通のPCではなく、シンクライアント (Thin client) と呼ばれる、サーバー利用の特殊なPCの

場合が多いです。

 「何だシンクライアントか!」と言って、すぐにパスしてしまうのですが、それは性能的にというよりも、通常使用できな

いからです。でも、とても小さいので、「もしこれが通常使用出来るなら、良いなあー。」と時々思っていました。

 さて今般、だいまい14さんから、モバイルタイプの、シンクライアントを通常のノートPCへと改造する記事を送って い

ただきました。ありがとうございます。まるで、当方の希望を実現するかのようなレポートなので、思わずのじっと読み込

んでしまいました。

 かなりの性能も確保されたようで、期待大ですね。それでは、拝見しましょう。

                                                         By Dyna  メール  


hp 6360t Mobile Thin Clientの改造                          2014.12.7
                                                  
 

  はじめまして、だいまい14と申します。 


  今回はhp 6360t Mobile Thin Clientの改造について報告いたします。

 シンクライアント (Thin client) とは、ユーザーが使う端末に必要最小限の処理をさせ、ほとんどの処理やデータをサ

ーバー側に集中させて、そのシステムで使われるように機能を絞り込んだ専用のクライアント端末です。


 特徴はセキュリティが高く端末の管理がしやすい反面、サーバーの構築が無い場合や個人ユーザーはその機能の制

限から手の出しにくいジャンクのようなPCです。

 今回は一般的なPCへと仕立て直しました。改造事例もほとんど無いようなので興味のある方は参考にしてください。



1.主な仕様(現状)  

   OS : Windows Embedded Standard 7 Service Pack 1(SP1)32Bit

   CPU: CeleronR B810(2MB L3キャッシュ、1.6GHz、2コア)

   チップセット: モバイル インテルR HM65 Express チップセット

   メモリ: 4GB×1、1333MHz DDR3-SDRAM

   メモリスロット: 2スロット(空き1)

   HDD:フラッシュメモリ 4GB

   オプティカルドライブ:なし

   画面:13.3インチ液晶(1,366×768)、LEDバックライト

   主なソフトウェア:

     Internet Explorer 8、WindowsR Media Player 12、TeemTalk Terminal&Emulator 7.3、Microsoft

     Remote Desktop Protocol (RDP) 7.1、Citrix Online Plugin 12、VMWare View 4.6、HP Device Manager 4.3、

     Flash Player 10

  
写真1

  このまま単独で使うにはネットの閲覧と動画再生くらいでしょうか。(写真1)

 



2.改 造



         改造前               改造後            備考(価格等)

  本体     hp 6360t             ←               10K円(中古)   

  CPU     Celeron B810           
Core i5 2450m        6K円(中古)

        (1.6GHz 2コア)           (2.5GHz 2コア) 

 HDD     SSD 4GB              SSD 240GB         10K円(新品)

  メモリ    PC3-10600 4GB         PC3-10600 4GB×2    4K円(新品)

  光ドライブ なし                  DVD マルチ          3K円(新品) 

  OS     Win Embedded Std7(32bit)  
Win7 Pro(64bit)        手持ち



新品が多く、あまりコストパフォーマンスは良くはありませんでした。

 



(1)裏蓋の取り外し


 
 
写真2                                          写真3

 バッテリ及び裏蓋は底面の2つのスライドレバーを左右に移動させると取り外せます。ノートPCの中では最良のアク

セス性です。(写真2、写真3)

 



(2)SSD交換

写真4

 SSD(4GB)はマウンタを固定する3本のネジを取り外し、横にスライドさせると取り外せます。マウンタとSSDを固定す

るネジ4本を外し、240GBのSSDと交換します。(写真4)




(3)CPU交換

 
 
写真5                                          写真6

 CPUファンを固定している2本のネジとソケットを取り外します。小型のファンです。

 CPUクーラーはCPU周辺の固定ネジ4本を均等に緩め外します。スペースが無いので捻るように回転させて取り外し

ます。CPUクーラーは小型で熱的に余裕がないため、core i7への交換はあきらめました。CPUの固定ネジを半回転さ

せ取り外し、i5-2450mと交換します。(写真5、写真6)





(4)DVDドライブ取付け

 
 
写真7                                          写真8

 DVDドライブは搭載されていませんが、ダミーカバーとSATA端子は取り付けられています。ダミーカバーを固定する

ネジ1本を外し、引き出しますと取り外せます。DVDマルチドライブのベゼルの端を現物合わせでカットし、押し込みます

と取り付けできます。固定金具が無いので、適合する金具を見つけてくるか自作しなくてはなりません。今回は強力テー

プで固定しました。(写真7、写真8)





(5)メモリ取付け

写真9

 空いているメモリスロットに4GBのメモリを差込ます。これでデュアルチャンネルとなります。(写真9)

 最後に裏蓋とバッテリを取り付け作業完了です。

 



3.OSのインストール



(1)BIOSの設定


 電源ボタンと同時にF10を連打し、BIOSの設定をします。デフォルト値のロードと同時に管理パスワードのクリアもし

ておいた方が良いでしょう。BIOSのロードデフォルトをしませんとCPUの能力が発揮できないようです。




(2)Win7のインストール


 BIOS設定の保存と同時にWin7(64bit) Pro のインストールデスクをドライブに入れるとインストールが始まります。

インストールが終わるとドライバの当っていない不明なデバイスが5つありました。



  

(3)ドライバのインストール


 本改造で一番の山場です。hpホームページにある6360tのドライバは32bit用のみのようです。検索したところ海外モ

デルでネットブック6360bのモデル(win7 64bit)があります。同じような仕様なので、hpのホームページより6360b用64

bitのドライバをダウンロードし、インストールします。


 LANカードや無線LAN等はカタログで公表されているメーカーと型番をたよりにファイルをダウンロードしました。

 デバイスマネージャーのドライバー更新メニューからではOSがドライバを見つけることができないため更新されません。

手探り状態でインストールです。また、チップセットドライバはインテルのホームページよりダウンロードしたものを使用し

ました。


 最後までてこずったのは不明なデバイスでPCIバス上にあるものです。プロパティを見るとACPI¥HPQ0004は3D 

Drive Guardでした。これはPCの落下を検知してHDDのヘッドを退避し、故障を防止する機能です。SSDなので不用な

機能かと思いますが、対応するSP64144.exeをインストールして全てのドライバが当たりました。

 また、6360bドライバ一覧の中にドライバーセット(485MB)なるものがあり、一括インストールできそうですが、両者内

部のチップ全てを比較していませんので、今回は見送りました。hpのパソコンは初めてなので、誤りがありましたらご

容赦下さい。



4.性  能

写真10

 特記する性能ではありませんが、比較のため表示します。改造前のOSではエクペリアインデックスが表示されません

ので、Win7インストール後での比較です。(写真10)



項目             改造前              改造後

CPU              5.3                 7.0   

メモリ              5.9               7.4

グラフィックス         4.6                5.9

ゲーム用グラフィックス   5.6                6.2

HDD              7.9(SSD-240GB時)      7.9


            

これで普通に使えるパソコンとなりました。

π104万桁は12秒、838桁は2分26秒でした。ターボ機能も働いているようです。

格安で本機を入手できた場合や本機の性能や機能に不満がある方は参考にして頂けると幸いです。

最後まで長文にお付き合い頂き、ありがとうございました。
 

 

○Dynaから質問です。

Q:ラストの性能比較ですが、改造前も値が出ていますが、 これは、前のパーツに戻して計測したのでしょうか。

A:この件ですが、報告の内容は当初HDDのみを交換し、OS・ドライバを入れた後性能評価をし、次にCPU・メモリ・

  DVDドライブを交換して性能評価しました。その過程でBIOSのロードデフォルトをしなければ、CPUの性能が発揮

  できないことなどが判った次第です。

    見やすくするために、作業の行ったり来たりを省いていますが、実際には試行錯誤しながらの作業でした。

  HP中にありましたデスクトップ型のシンクライアントの改造の件ですが、パーツの交換は可能かと思われますが、

  問題はドライバを確保できるかがカギとなりそうです。


  よろしくお願いします。
 

 →分かりました。ありがとうございました。 By Dyna
 


 ども、Dynaです。

  シンクライアントを普通のPCにすることが出来ると知りませんでした。今回はノートPCへの実施ですが、この理屈なら

デスクトップPCも出来るのでしょうかね。楽しみです。

 交換したパーツ類は、結構高価なものばかりなので、ジャンクでの構成は望めませんが、それにしてもCore i5 

2450mにすると、スーパーπ104万桁は12秒になるのですか、羨ましいです。当方使用の一番早いデスクトップでも、18

ですので、このノートはそれ以上なのですね。びっくりしました。

 まだまだ、ジャンクにCore iシリーズのPCが出てくることは無いのですが、P4もジャンク市場から消え、C2Dも豊富に

出回っているので、そう遠くない内に、世代交代があるかも知れません。今から期待しています。

 レポートありがとうございました。また、お願いします。

                                                       By Dyna  メール  

 

 

 

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