NO.278                           By ダンボさん  (H26.08.24) 

まもなく夏休みも終わります。そこで宿題の工作を・・・・・!

ジャンクCD/MDプレーヤの修理完了です。

 ども、Dynaです。

 皆さん、間もなく夏休みも終わりますね。お子様のいるご家庭では、宿題の処理に手を焼いていることと思います。

まあ、大人でも、そんなに夏休みがあるわけではないのですが、自分で夏休みの宿題を決めて居る方も多いかと思い

ます。当方も、夏休み中に「家内用のノートに無線LANを内蔵しよう。」と決めています。その方が、日程的にも予定が

組みやすいからですね。

 さて今般、CDプレーヤーの修理を予定していたダンボさんから、成功した旨のレポートを頂きました。ありがとうござ

います。偶然ですが、「教えてください」HPにも、似たようなDVDプレーヤー修理の依頼も来ておりますので、参考にな

るかと思います。それでは、早速拝見しましょう。

                                            By Dyna   メール


 

SHARPのMDStudio MD-F220-Sの修理

 

はじめに

 皆さん、こんにちは。ダンボと申します。ジャンクCD/MDプレーヤを修理しましたのでレポートします。

 対象はSHARPのmdStudio MD-F220-Sです。(画像1)

(画像1)

 

、症状

 症状は「CDが回らない」です。最初は駆動系を疑いました。ゴムベルトだと嫌だなあと思いながら分解を始めたところ、

CDの蓋を閉めたことを伝えるマイクロスイッチへのプラスチック製ガイド棒が押し込みっぱなしの状態になっていました。

ホコリか汚れで固まっていたものと思います。まずこれを清掃してスムーズにスイッチが押されるようにしました。ところ

がまだCDの回転はしません。


ピックアップモジュールはHPC-1LX(画像2)でギヤ駆動式でした。

(画像2)

 

、原因追求

 さればモータが問題なのかと配線を見るも問題なさそう。電源を入れて観察するとピックアップが3回横移動しながら

上下します。これでTOCを探しているんですね。赤色レーザ光は出ています。3回の試行が失敗すると「no CD」とか言

われます。「CD 回転しない」で検索すると、

 

例えば http://www.geocities.jp/oda230/pansy/kaden/p01cd.html

などで、レンズ清掃/レーザ出力調整を示唆されました。

 

 なるほどTOC読み込み以前にCDがセットされていないと判断するとモータを回さない仕様ですか。納得。そこでレンズ

清掃するが変化なし。続いてレーザ出力調整です。これは過去に2度ほど経験あり難しいものではないです(根気は要

りますが)。

 

 元の半固定ボリューム位置をペンでマークした後、少しづつ出力を上げていきます。当然右回転が出力UPと仮定しま

す。ところがいくら上げても変化なし。危険ですがフールプルーフ設計を信じて目一杯右に回したところ、CDが回転しま

した。おお、駆動系も問題なかったのですか。でも表示パネルには「TOC Reading」に続いて「Can’t find TOC」が出ま

すしCDの異常高速回転が見られるので明らかにレーザ出力過多です。
 


 そこでレーザ出力ボリュームを元の位置に戻して根気よく最適位置を探していきましたが、かれこれ100回近く試行し

てもうまく行きません。CDが回転しないか「Can’t find TOC」のどちらかです。そろそろ諦めてきました。駆動系に問題

無いとしたら残るはレーザの反射光を受光/信号化する部分が疑われます。もっともCDがあると認識したからこそモ

ータが回ったわけであり、受光/信号化もある程度は生きている筈。

 

、1ヵ月後


 諦めかけた1か月後、1度だけTOCが読めてCDのトラック数と再生時間が表示されることがありました。おお、光学系

も電気系も問題無しですか!でも100分の1の成功率であり不安定でその後の再生に進むこともできません。



 不安定ながらも機械系も光学系も電気系も動作確認できたということで、他の問題点探しに進みました。これまでの

観察で、レンズの上がる高さが何だか一定でない感じがしていました。ぎこちないんです。またレンズの位置がヘッドカ

バーの穴の真ん中でなく左に寄っています。

 

 ひょっとしてレンズとヘッドカバーが擦れることにより正しい上下動ができないのかと思いヘッドカバーの擦れていそう

な箇所を削って穴を広げてみました。(写真3)

(写真3)


 このことにより少し状況が改善し、TOCが読める回数が増えました。でもその後再生に進まない点とレンズの上がる

高さの不安定さは同じです。



 そもそもレンズがヘッドカバーの穴の中心に来ないような設計があるでしょうか?MPC-1LXの画像検索結果で、良く

は判別できないですが、やはりレンズはカバー穴の中心にあるようです。そこでヘッドカバーを外して観察しました。

(写真4)

(写真4)

 2つのコイルを磁石で挟んでちょうどスピーカのボイスコイルのような構造で上下させる仕組みでした。としたら、何故

コイルの中心に鉄芯が配置されていないのか?コイルと鉄芯が擦れたらまずいのではないか?どうも右側の磁石に付

いている板バネ状の金属がコイルを左に押し付けているようです。その意味はなに?

 

 何故左側の磁石にもその板バネがないのか?ひょっとして板バネではなくスムーサが剥がれただけなのかもしれない、

それならば接着しなおせば良い。と考えてドライバーとピンセットでいじってみました。接着されておらず磁力で張り付い

ているだけのようでした。

 

 薄い金属箔であり特に意味のあるものとも思えません。磁石は強力でありドライバが張り付くほどです。鉄粉がびっし

りまとわりついていました。(写真5)

(写真5)

 

 

 

4、原因判明

 この鉄粉と金属箔を取り除き、鉄芯がコイルの中央に来るように調整し仮組みしたところTOCの読込から再生まで進

むようになりました。再度レーザ出力の調整を行い、組み上げて完了です。


原因推定:「CDプレーヤ上に何らかの金属物(メッキの剥がれ?)が落ちており、強力なネオジウム磁石に引かれてい

つのまにかコイル振動を邪魔する位置に落ち着いた」


 謎の金属片はこれです。引き出した時に割れてしまいました。(写真6)

(写真6)

 上下動を制御するボイスコイルとは直角方向のヘッド移動軸方向にもコイルがあります。このコイルでX軸(ヘッド移

動方向)の位置微調整を行っているものと思われます。

 

 先ほどの鉄粉と金属箔は物理的にボイスコイルの位置ずれを引き起こしているだけではなく、磁界の乱れによっても

正常な位置決めを阻害していたものと考えます。この2軸に直交するY軸(回転方向)はガイド軸により固定です。これで

ヘッドの3D位置が正常になりました。Web調査によると、他にもヘッドの角度調整を行った事例がありました。

http://plaza.rakuten.co.jp/tamako030/diary/201203220000/

 今回はこの調整は不要でした。

 


おわりに

 終わってみると、CDピックアップの構造と動作原理がよくわかって興味深い修理でした。

 実験の途中でCDの装着がいい加減だったためCDの外周が+−4mm程度波打っていた時がありました。ヘッドはも

のすごい勢いで上下して追随しながら再生をまっとうするという健気な動画を取ることができました。YouTubeに登録し

てこのレポートを締めたいと思うのですが、動画の変換方法と登録手順がわかりません。どなたか解説ページを教えて

下さい。後日追加します。

 

○追加情報

こんにちは ダンボです。(H26.08.31)

CDプレーヤ修理レポートの宿題だった動画をアップしましたので、是非拙レポートをご修正願います。

動画は2本あります。前者はピックアップが位置を変えて3回TOC探索を試みる映像、後者は波打ったCDに追随しなが

ら健気に再生を続けるピックアップです。

#1 http://youtu.be/YUARDWQo6UU

#2 http://youtu.be/xG-s01Z2Ap8


どうぞよろしくお願いします。


→動画拝見しました。反っているCDが高速回転している場合、ピックアップがどのように動くのか、よく分かりました。と

 いうか、始めて見ました。これは、大変貴重な情報です。本当にけなげに対応しているのですね。当たり前のように思

 える作業も、裏方では大変な作業をしていることが、本当によく分かりました。ありがとうございます。 By Dyna
 


ども、Dynaです。

 レポートありがとうございました。そうですか、ピックアップ部のブラックボックス内は、このような構造になっているの

ですか、知りませんでした。しかし、鉄粉やら謎の金属片はどこから、どうやって入ったのでしょうかね。ネオジウムの磁

石なので、超強力なのは分かりますが、とても入るプロセスが想像つきません。でも、入ってしまうのが、この世の定め

かもです。

 読んでいるだけで、とても参考になりました。実は、先日購入したばかりの5インチのマルチドライブが、読み取り不安

定だったため、さらに新しいのを買ったばかりだからです。ちょっと調べて見ますね。ありがとうございました。

 

                                                   By Dyna  メール  

 

 

 

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