NO.209
自家製バーリングレポート By 状さん (H22.04.18)
ども、Dyanです。
パソコンの世界では、インチネジとミリネジがありますよね。その昔は主にミリネジが主流で、正直あまり使いやすく
なかったと思っていました。その後、パソコンの自作を行うようになりインチネジに出会いました。最初は雑なネジだな
と思いましたが、使い出して感じたのは「使いやすい!」でした。ネジ山のピッチが大きいので、すぐに締まります。ミリ
ネジはねじ山のピッチが小さいのでゆっくり締まりますが、ナットをあてがうのが面倒で、それに多くの時間を取られまし
た。しかし、インチネジの多くはナットを使わず、母体側にナットが作られているから、すぐに位置あわせが出来、すぐに
締まるので、感激したくらいです。勿論、ミリネジでもナットの受けを作ることも不可能では無いでしょうが、ねじ山のピッチ
の関係で、なじみにくいようですね。ということで、インチネジはパソコンの自作の世界に大きく貢献したことは間違いない
と思います。さて、このナット部を作ることを「バーリング」というようですが、その自作レポートを状さんが送ってください
ました。楽しみですね。早速拝見しましょう。
こんにちは、状と申します。
板と板を留める場合、ネジとナットを使う場合が多いですよね。
しかし、筐体のフタなんかですと、閉めると空間が閉じてしまいます。ネジを使おうにも、そもそも
手が入りませんから、内側からナットで留めることができません。ですから、筐体側の穴に直に
タップでネジ穴が切ってあります。板とナットが一体化しているワケですね。
ATX電源の筐体
このような加工は、家電やPCをはじめ、あらゆる製品に施されています。いちいちナットを
使っていては作業として煩雑ですし、コスト的にも高いものになってしまうでしょう。
今回、このネジ穴加工について、私が家でやっている方法を書いてみます。
もちろん、板金屋さんの設備で加工したみたいにキレイにはできませんが、実用上問題ない
レベルだと思います。
●バーリングとは?
ボーリングではありません、バーリングです。
鉄やアルミ等の板に、タップを立ててネジ穴を切るには、ある程度の厚みが必要になります。
M3タップの場合、板厚が3mm以上あれば理想的ですが、1mm程度の板にそのままM3のタップを
立てても、溝の数が1周ちょっとしか取れませんから、何回かネジを締めたところですぐにタップ溝が
ダメになってしまいます。
とは言え、3mmもの厚い板でPCの筐体など作ろうものなら、重いし、コストも高くなってしまいます。
そこで、穴をメクレさせるように円筒状に立ち上げ、最低限必要なタップ溝の分だけ厚みを作り出して
やるのが「バーリング加工」です。
今回は、1mm厚の鉄板にバーリングを施し、M3のタップを立てる事にします。
●用意する道具
万力(または金床)
金槌
センターポンチ(最大径 約10mm)
座金(3mm厚程度の鉄板に、3.6mmの穴をあけたもの)
1mmドリル
2.5mmドリル
千枚通し(最大径 3mm)
M3タップ+ハンドル
サンドペーパー
●工程
1 センターポンチを打って、そこに1mmのドリルで穴をあけます。
2 板の裏側から、座金をセロテープ等で固定します。
開けた穴と、座金の穴のセンターを合わせますが、あまりシビアにならなくてOK。
3 表からセンターポンチを打ち込んで、すり鉢状に凹みを作ります。
4 さらに、千枚通しを打ち込んで、穴を円筒状に立ち上げます。
あまり一気にやらない事。2.5mmのドリルを逆さに当ててみて、穴の広がり具合を確認
しながら、少しずつ両面から千枚通しを打ち込んでいきます。微調整は手でグリグリやる
だけでできます。2.5mmドリルが、きつい感じで入ればOK。この工程でユルユルになって
しまったら、もう修正はできません。アウト。
穴の数が大量になる場合は、千枚通しのかわりに、先端を尖らせた2.5mm径の鉄棒を
使ってもいいかもしれません。
5 座金をはずし、立ち上げた穴を裏から少し叩いて、歪みを修正します。
6 M3タップでネジ穴を切ります。
7 サンドペーパーで軽くバリを取って完成。
私は、この方法で、2mm厚の鉄板にM5タップのバーリングをやった事があります
(座金の径を大きくする必要があります)。
●もし加工に失敗してしまったら・・・。
バカ穴(ネジ径より大きい穴)をあけて、そこにナットをハンダ付けしてしまいましょう(爆)。
あるいは、カレイナット等、圧入型のものを使うのも手です。
うーん、こんなメンド臭い加工をやらなくても、始めからそうした方が手っ取り早い・・・?
ども、Dynaです。
レポートありがとうございました。実は、当方も中学生の頃、このバーリングをやったことがあります。それはアンプや受信機
を作成したのですが、アルミ板が高くて買えなかったため、近所の電気機器を作成している○○製作所に行って、鉄板の端切
れを譲っていただき、金コノやヤスリで加工して、パネルなどを作りました。その際に、ミリネジの中に先が細いものがあった
ので、それを利用してバーリングしたことを覚えています。鉄だと結構しっかりできました。しかし、鉄板の加工は地獄のように
大変で、手がしびれて馬鹿になってしまいました。だから兄貴と交代で加工した記憶があります。今となっては懐かしい話ですね。
レポートありがとうございました。また、お願いします。
By Dyna