液晶モニターSONY SDM-X93 のFET交換
By Yankさん
(H21.06.30)
ども、Dynaです。
このところ、個人的なコンデンサー交換 ブームで、MB修理が若干楽しくなってきた今日この頃です。しかし、先日の
IBM Think Centre A50は、コンデンサーだけでなく、MOS−FETも壊れており、正直途方に暮れました。それ
は、交換作業の経験が無かったことと、FETの知識もほとんど無かったからです。
しかし、多くの方からご支援をいただけて、おかげさまでA50は動くようになりました。懸案のチップセットの熱問題も
専用ファンをつけることで解決した次第です。さて、FET交換の件ですが、これも発熱や排熱を考えなければいけない
パーツなので、気を使いますね。結局、当初付いていたものより、数ランク耐久性のあるものに交換して、乗り切った
のです。
さて今般、同じようにFETを交換して、無事に修理を成功されたYankさんからレポートをいただきました。ものは19
インチの液晶モニターですが、特有の現象が原因の特定に役立ったようです。楽しみですね。早速拝見しましょう。
メール By Dyna
Yankと申します。
ボランティア仲間から、「回路の故障らしくお手上げ」という液晶モニターSONY
SDM-X93 の相談がありました。通電すると、グリーンの電源LEDは点灯するもの
の、数秒で消えてしまい、画面は何も映らないというものでした。最初は、バッ
クライト系の故障かと思いましたが、電源がシャットダウンしてしまうので、
もっと重症のようでした。電源を調べたところ、 12Vラインが11V弱しか出てい
ません。レギュレータでも悪いのかなと調べようとすると、シャットダウンして
しまうため調べられません。
回路を追うより、目視をすべきかと基板を見ると、何も部品がマウントされてい
ないところに、薄茶色に変色した箇所がありました。
その裏を見ると、8本足の、FDS8958Aというという半導体
があり、短い時間しか通電しなかったの
に、指で触ると、余りに熱い余熱にびっくりしました。
FDS8958Aの仕様をインターネットでしらべると、NチャンネルとPチャンネルの
FETが1つのパッケージに入っているものであることが判明しました。このFETは
インバータの出力段に使われており、この先にトランスがあり、冷陰極管を駆動
しています。
代表的な特性のON抵抗はこのとおりです。
N-Channel 7A, 30V, on抵抗 0.028Ω Vgs= 10V
P-Channel -5A, -30V, on抵抗 0.052Ω Vgs=-10V
FDS8958Aの資料は以下にありました。
http://www.alldatasheet.com/datasheet-pdf/pdf/51550/FAIRCHILD/FDS8958A.html
このFETは、Nチャンネル側もPチャンネル側も、ソースとドレイン間が数Ωしかな
く、明らかに壊れていました。これにより、12Vラインに過大な電流が流れ、そ
れで電圧が下がってしまい、かつ保護回路が動作して、電源が落ちてしまうとい
うことが判明しました。
FETを交換したいものの、これと同じもが手元にあるはずもなく、使えそうなものが
ないかとジャンク箱をひっくり返して探したら、AO4614の載った基板がありました。
写真は、取り外した後に撮影しましたが、Q6もQ3も同じAO4614です。この基板は以
前、修理を諦めたモニターに使われていたものですが、やはり、ソニーのもので
あった記憶です。
代表的な特性のON抵抗はこのとおりです。
N-Channel 6A, 40V, on抵抗 0.031Ω Vgs= 10V
P-Channel -5A, -40V, on抵抗 0.045Ω Vgs=-10V
AO4614の資料は以下にありました。
http://www.alldatasheet.com/datasheet-pdf/pdf/136069/AOSMD/AO4614.html
FDS8958Aを外して、AO4614に交換してみると、SDM-X93は正常に動作するように
なりました。AO4614は、パッケージサイズも内部構成も一緒ですが、このように
耐圧で10V高く、Nチャンネル側はON抵抗が僅かに高いものの、Pチャンネル側は
やや低いというものでした。指で触った感じでは、かすかに暖かい程度で、その
他のデータの詳細比較でも、大きな違いはなく、大丈夫のようです。あくまで、
アマチュア的な発想の自己責任での交換でしたが、その後も1ヶ月以上、問題な
く動作しています。
19インチでSXGAの液晶モニターを見るのは初めてでしたが、文字が大きくて、老
眼の進んてきた私には見易くて、良いと思いました。すでにモニターは相談主に
返してしまい、修理前後の写真を撮り忘れたままで、それをお見せできません
が、依頼主からそのモニターは、ある、年配の方のところへ行き、活用されてい
るそうです。
Yank
注:電子機器の改造・修理は危険を伴います。実施に当たっては、あくまでも自己責任でお願いします。
ども、Dynaです。
レポート、ご苦労様でした。FETが異常に発熱して基盤が焦げてしまったのですね。ある意味発見しやすい
症状ですが、火事のことも考えると、修理方法は慎重にならざるを得ません。現在はPC関連商品のコスト
ダウンが進んでいるため限界に近い部品を使用しているのかも知れませんね。だからA50の時もそうでした
が、数ランク上の部品に交換すれば大丈夫でしょうか。なお、当方の経験でもそうですが、安全性の確認は
意外と手による熱さ判断となっています。温度計なみに正確かも。
とても貴重なレポートありがとうございました。コンデンサーに続いて、FET交換もブームになるかも?
メール By Dyna