レポート NO.179
無線ルーターの復活小ネタ3本です。
(H21.01.19) By K太郎さん
ども、Dynaです。
当方の無線LAN環境は、常時使っていません。それは有線が完備しているためですが、それでま、実験
とかモバイルPCの設定で時々無線LANも使います。しかし、この無線LANはいわく付で、これまで何と3回
もトラブルが発生し、2機も無線LANのアクセスポイントが壊れてしまいました。もう1回は原因不明ですが、
後になって復旧しました。壊れた2機ですが、修理をしようと、いろいろ調べましたが、結局原因が分からず
処理してしまいました。結構弱い物なんだなぁと思っています。今のは元気で動いていますが、いつ壊れる
か、何が原因なのか、良く分からないので、かなり不安ではあります。
さて、今般、無線ルーターの修理レポートを何と3件もK太郎さんが送ってくれました。ありがとうございます。
どうやら、電源系の故障ですが、大変参考になります。早速、拝見しましょう。
無線ルーターの復活小ネタ3本
皆さん、初めましてK太郎と言います。
@CG-WLBARGL (コレガ)
AMN8100WAS (NTT-ME:TDKのOEM)
BAirMacExpress M9470J/A(Apple)
この三つの無線ルーターを復活させました。
AirMacExpressは中身を取り出して動く状態にしたというのが正解ですが(^^;;
3台ともヤフオクでジャンク品として100円〜1000円程度で落札しました。
症状はヤフオク出品時の説明では以下の通りでした。
@CG-WLBARGL
・電源は入るが赤ランプが点灯したまま動作しない
AMN8100WAS
BAirMacExpress
・電源が入らない
1 CG-WLBARGL編
(1)症状確認
写真1
(拡大可)
電源をつなぐと一見動いているようで、しばらくするとエラーを示す赤ランプは消えます。
しかし無線LANのアクセスポイントは表示されません。
試しにLANケーブルをWANかLANどちらかのポートにつなぐと赤ランプが点灯してしまいます。
こんな状態ですのでデフォルト設定の192.168.1.1へPingを打っても反応もなく
Web設定画面にもたどり着けません。
メインボードにシリアルポート(青で囲ってある部分)があるのでつないでみましたが
ターミナルソフトにある、どの通信速度でも文字バケ状態で全く何をやっているのか判りません。
正常動作する製品は38.4Kbpsという、あまり使わない通信速度でログが読み出せます。
確認に使っていたターミナルソフトはTera Termというものです。
シリアル接続できていれば他のターミナルソフトでも確認できると思います。
(2)原因予測
写真1拡大
(拡大可)
各電解コンデンサのプラスとマイナス端子で電圧を測定してみると
(写真1:ACアダプタから入力されている青い枠の左側緑色と茶色のコンデンサを除きます)
3.3V、1.5V(黄色で囲ったコンデンサ)、0.9V(黄緑で囲ったコンデンサ)の部分がありました。
以前に頼まれて調べた同じ製品で測定した時は3.3Vと1.8Vの電圧のみで、
これは1.8Vを生成する回路の故障では?と当たりを付けました。
CPUであるRTL8186自体(写真1:ヒートシンクの下にあります)はデータシートを読むと
3.3Vと1.8Vが必要であるため1.5Vしか入力がされていなくて誤動作しているという予測です。
CPU自体が壊れていて中で変な動きをして1.5Vになっている可能性もありますが
その切り分け作業のためにもまず外部回路が正常かチェックする必要があります。
(3)部品交換
1.8Vを作っているICはM1117(赤で囲ってあるのパーツ)というDC-DCコンバーターで
3.3Vを入力して1.8Vを生成しています。
偶然同じICをジャンクマザーボードから剥がしていたので移植したところ
1.5Vと0.9Vになっていた電解コンデンサでの電圧はそれぞれ1.8Vと3.3Vになりました。
(4)動作確認
シリアルポートに配線してPC側でルーター自体の起動メッセージを読み出す設定として
ACアダプタを接続して本体を起動したところ、Linuxの起動メッセージが確認でき
すべてのサービスが起動している様子が確認でき、無線LANのアクセスポイントも
PC側で表示されたました。
ここではじめてWANとLANポートにそれぞれケーブルを接続、赤ランプも点灯せず
Hub機能もOK、Web設定画面でWAN側をDHCPでADSLモデムからルーター自体に
IPアドレスを貰う設定に変更し有線、無線それぞれでインターネットできること
無線APとしての動作を確認しました。
(5)追加改修
ファームが初期版だったため最新版に更新しました。
CPUであるRTL8186は運用時に触ってみてあちち!となる程度に熱いため写真1のように
パソコンのジャンクマザーボードから外したヒートシンクを取り付け
電解コンデンサも同容量でグレードが高いものにすべて交換しました。
写真1はヒートシンクを追加し電解コンデンサを交換した別のものですが
今回修理した分も全く同じ対応をしております。
M1117にも小型のヒートシンクを取り付けました。
(6)まとめ
写真2
(拡大可)
原因はM1117というDC-DCコンバーターの故障だったのですが、
この製品の排熱構造を見ると写真1では両サイドに縁に沿って小さい穴があるだけで
サイドパネルも写真2のように透明ベゼル固定のため穴の1/3を埋めている状態です(裏面も同じ)
CPUにもヒートシンクがなく放熱性がイマイチで熱がこもった事も要因っぽい感じです。
熱暴走しやすいという報告もネットで散見されています。
運用時には写真2にあるサイドパネルを取り付け透明ベゼルは外したままとし
約2週間ほどフル稼働させましたが安定していました。
この本体は無事復旧したということでお嫁に出しました。
2 MN8110WAS編
(1)症状確認
写真3
(拡大可)
電源が入らないと言うことでまず分解してみましたが中は非常に綺麗で
IC等の焼損などの故障ではない様子です(写真3)
ではACアダプタか?と言う事で測定してみたところ単独では5V出ています。
本体にACアダプタを取り付けてみると確かに電源がはいりません。
その状態で本体メインボード上にあるACアダプタのコネクタで電圧を測定すると
3.3V程度しかありません、試しで手元にあった5V2AのACアダプタを取り付けたところ
本体は全く異常なく普通に使える状態でした。
(2)原因調査
写真4 写真5
(拡大可)
ACアダプタを分解してみると案の定出力側の電解コンデンサが膨張していました(写真4)
銘板は写真5です、5Vで2.5AでるACアダプタです。
(3)部品交換
電解コンデンサの膨張が負荷時の電圧低下の原因と考えられたので同容量で
グレードの高いものと交換してケースをボンドで固定しました。
(4)動作確認
修理したACアダプタで動作チェックしたところACアダプタの出力は5Vをキープしており、
本体の動作確認もできましたが、さすがにこのセットでは嫁に出す事もできず
テストで使ったACアダプタと組み合わせで現在運用中です。
(5)追加改修
ファームが初期版だったため最新版に更新しました。
メインボード上の電解コンデンサが膨張していた電解コンデンサと同じ
TEAPOという台湾のメーカーでした。
ルーターの初期型製造時期(2004年か2005年頃?)を考えると膨張した
電解コンデンサが頻発した製品である可能性があったため
手持ちの同等かそれ以上のグレードの電解コンデンサとすべて交換しました。
通常の電解コンデンサから固体コンデンサに切り替えている部分が2カ所あります。
(写真3の赤で囲んだ部分の3個のコンデンサは交換後)
(6)まとめ
修理したACアダプタは短時間のテスト用としてキープしてあります。
発熱もコレガの製品と比べるとCPU部分も指で触ってもほんのと暖かい程度
ケースの放熱用のスリットもしっかり入っています。
作り自体はコレガより良いのかもしれません。
コレガのルーターはPPPoEパススルーが可能であるためルーター配下にある
PCからPPPoEでADSLモデムへ直接接続が可能です。
この製品にはその機能がなく少し不便ですがルーターとしての性能自体は
コレガのものより良いのでこちらをメインの無線ルーターとして使うことにしました。
3 AirMacExpress編
電源がはいらないという故障がネットでも散見されている製品です。
2008年3月に発売された11n対応の新型は対策がなされている様子です。
(1)症状確認
コンセントに取り付けましたがパイロットランプが点灯せず電源がはいりません。
(2)分解および故障部位確認
写真6
(拡大可)
分解が非常に大変でボンドで固められていたためケースは捨てることを前提として分解しました。
写真6は外したケースの片側です茶色くなっているところは焼損の焦げです。
マイナスドライバーとハンマーで継ぎ目を割っていったのですが
ドライバーの当てる場所を間違えると中の電源基板からメインボードへの
電源ラインを切ってしまいます。
写真7
(拡大可)
実際に分解してみたところ電源ユニットが焼損しており(写真7)
写真8
(拡大可)
更にAC側のコンデンサが膨張していたため(写真8)再生は無理と判断しました。
(3)メインボードの動作確認
写真9
(拡大可)
動作確認用の電源を組んでみて接続したところ問題無く動作しました(写真9)
写真9に写っている電源ユニット5V2AのACアダプタから3.3Vのみを作り5Vはそのままとし
平滑用コンデンサを経由して入力しました。
3時間ほど連続運用で問題無く動作しているのでテスト用電源としてはOKにしてあります。
接続に使ったケーブルと電源ユニット側のコネクタは元のパーツを流用しました。
(4)まとめ
11gまでしか対応していないAirMacExpressにて電源がはいらなくなったら
電源ユニットをACアダプターと三端子レギュレーターで3.3V(2A)と5V(1A)を作り
接続すると良いと思います。部品代だけなら1000円程度でしょうか
新たに買い換えるのも手ですが使えるものなら使ってやる路線ならこういう方法もあります。
もともとこの製品はボード上にあるPCM2705というDACの音質が良くEther接続で音楽を再生すると
かなり良いと言う話だったので無線LANというよりは音源として使うことを前提で入手しました。
もくろみ通り音源としても使えたのです音が出せるアプリはiTunesでのみ orz
WinAmpでもプラグインを組み合わせると利用可能なのですが動作したのは1回きりです。
WinAmpでは他のアプリとぶつかる様子でOS自体をクリーインインストールして
再生専用機にすれば動く様子ですが、パソコンをそんなに台数があるわけではないので
今のところはお蔵入り状態です。
無線LANとしての速度はあまり速くなく、ルーター自体の設定もWeb設定画面がないため
専用アプリ経由でのみと使い回し面でもイマイチです。
今後の予定として、もう少しきちんとした電源を組んでケースに組み込んで
iTunes専用音源として使いたいと考えています。
ケースについては現在検討中ですのでまた完成したら報告したいと思います。
4 全体のまとめ
今回修理および動作確認できた無線LANルータはどれも電源系の故障ばかりでした。
すべての故障がこういった部類ばかりではないとは思いますが、
1年以上使っていて雷などの後ではなく普通に使っていて電源が入らなくなった場合には
ACアダプタの交換や電源ユニット部分を疑ってみると復旧する可能性が高いと思います。
またコレガとNTT-MEのルーターは、たまたまでしょうがファームのバージョンが
どちらも一番初期のものでした。買ったまま使っている人も多いのかもしれません。
ルーターは簡易FireWall機能などもあり、セキュリティ対策や機能が増えているので
ファームはできるだけ最新版にしておいた方が良いと思います。
情報が入りました。
○H24.04.30 Airmac Express修理
始めまして、YWと申します。
貴HPにてAirmac Express修理の説明を拝見し、大変参考になりました。これまでに4年間で2回も
Airmac Express故障し、解体したところ同じくコンデンサーのショートの現状でした。(貴HP写真と全く
同じ故障)先日、アップル社に相談しても修理も出来ないし、交換の対応も出来ないとの結論で新品の
購入を勧められました。そんなところで貴HPを拝見し、修理して使う気持ちになっております。
1 2
実は昨日、秋葉原で部品を調達し、深夜まで試行錯誤した結果、添付写真の通り2台とも修理しまし
た。1台はアダプター(自宅用)、もう一台はUSB(出張用)から電源を取るようにしています。
今回の故障で分かったのは、メーカーは品質保証期間外の修理、返品は応じてくれないし、自分で
修理しようとすればやっぱりHPに掲載しているみなさんのコメントはかなり参考になるということです。
今後も活動を続けてください。
この度、本当にありがとうございました、また、何かありましたら教えてください。
→ども、Dynaです。もう修理出来たのですか、早いですね。当初、修理のご支援を求められていたので、
かなり時間がかかると思っていましたが、大したものです。特にケースの再利用を2台とも出来ている
のは、良いですね。ケースが残ればMacらしさが見えますから。 By Dyna
ども、Dynaです。
レポートありがとうございました。そう言えば、1個前のADSLモデムが異常に発熱し、夏場頻繁にフリーズ
した時があったことを思い出しました。仕方ないので、箱を開けて発熱の激しいチップの上にヒートシンクを
乗せたのです。しかし、それだけでも駄目だったので、小型のFANも設置しました。フリーズの頻度は下が
りましたが、やや五月蝿かったです。その後幸いにも、ADSLをより高速のプランに変えたので、新しいモデ
ムになり、こちらでのフリーズは年2〜3回程度に少なくなりました。(少ないのか?)これらの機器ですが、
発熱の件、もう少し考慮されていると良いのですよね。365日電源入れっぱなしになるので、電源は安心
できるものになってほしいです。
メール By Dyna