BOOK PC復活報告  (H20.09.28) By Nobさん

ども、Dynaです。

 「私のお宝(ジャンク)無償で譲ります」No.192の当選者Nobさんが、修理結果のレポートを送ってくださいました。

このBOOK PCは当方も大変思い出があり、懐かしく拝見させていただきました。BOOK PCは小型のボディーが

特徴なのですが、小さいがゆえに悩みも多く、有名なトラブルがあったのです。一番有名なのは電源のユニット

故障でかなり無理をしているらしく、壊れ易かったのです。当方のも電源の一部が焼けました。その次に悩ましか

ったのはFANの音でしょうか、音というより騒音です。普通のままでは五月蝿くて使えません。そこで、FANの回転

数を落としたのですが、空気の流れ等CPU冷却に問題が発生し、常に温度表示を追いかけていました。そんなこ

とで、結局、常用PCには最後までできず、完全なオモチャPCでした。懐かしい!! では、早速拝見しましょう。


BOOK PC復活報告 2008/09/27 By Nob


1.はじめに

「私のお宝(ジャンク)無償で譲ります」No.192でAZ様より無償提供された短時間で電源が切れるというBOOK-

PC。応募者は2名。第1当選者が辞退されたためか、幸運にも繰上げ当選で手にすることができた。(図1)

図1(拡大可)



2.お宝概要

【BOOK PC】ECS FI-5000 ベアボーン(推定)
【M/B】ECS P6IWP-Fe Rev.2.0
http://www.ecsjpn.co.jp/products/socket370/p6iwpfe.htm


【CPU】Celeron 800MHz
【メモリ】128MB×2枚
【HDD】なし
【電源】Seventeam ST-136D/MAX POWER 136W
http://www.seventeam.com.tw/



M/BはmicroATXより一回り小さいFlexATXであり、「アタッシュケースPC」としても利用(?)されている。

チップセットはi810Eのため、FSBが66/100/133MHzのCPUをサポート。電源はこのBOOK PC専用品と思われる。

★週間アマキー 〜アタッシュケースPCの製作〜
http://homepage2.nifty.com/~amaki/index22.htm




3.不具合症状

頂いた状態でMemtest86を実行すると、提供者さんの説明通り、30分以内に何の前触れもなく、いきなり電源が

落ちる。
 


4.コンデンサ確認

コンデンサが一番疑わしいので、M/Bと電源基板のコンデンサを確認。

図2(拡大可)

 

M/B(図2)には「G・LUXON」(図3)、

図3(拡大可)



電源(図4)には「CapXon」(図5)が使用されている。

図4(拡大可)

 

図5(拡大可)

 

M/Bの「G・LUXON」はお馴染みの地雷コンデンサであるが、電源の「CapXon」は、コンデンサメーカー一覧サイト

によると、まあまあの品質らしい。本件のBOOK PCでは、M/Bの「G・LUXON」も含めて、すべてのコンデンサに

膨張や液漏れといった不具合は認められない。


★コンデンサメーカー一覧サイト

http://capacitor.web.fc2.com/




5.BIOSの設定確認

BIOSで、「PC Health Status」と「Power Management Setup」を確認。

図6 (イメージ図)(拡大可)

「PC Health Status」(図6)ではシャットダウン温度が85℃に設定されているが、実際のCPU温度は40〜45℃

の範囲で変動し、それ以上に上昇する気配はない。ただ、「-5.000V」の項目の表示が、「(-)63.03V」となって

いるのが気がかりだが…。

「Power Management Setup」では、「CPU Termal Limit」と「Board Termal Limit」の項目は「NA」となってお

り、BIOSの設定に問題はなさそう、たぶん…。



6.その他の問題点

 気になる点といえば、CPUファンが軸摩耗により爆音を発していること。ファンの回転軸部にCRC556を注油

したが、摩耗がかなり進行しているらしく改善されない。このため、リサイクルショップでインテル製の同型CPU

クーラーを購入し、交換
(図7)。そして、すべてのパーツの埃を除去してから、Memtest86を実施。交換した正

常なCPUファンで2時間ほどチェックしたが、電源が落ちる症状は発生しない。

図7(拡大可)


 今回の不具合原因として、
CPUファンの軸摩耗で回転が不安定になり、これにより異常なファン回転数信号が

M/Bで検出されたことで安全機構が作動し、電源が落ちたのではないか、と推察した。原因特定の為に、再度

爆音CPUファンに戻してテストしたが、注油して回転が滑らかになったためか電源が落ちることは無かった。回

転しているCPUファンを無理やり止めた場合に電源が落ちるか確認することも考えたが、回転しているファンを

止める勇気がなく、未検証。


 CPUファンの回転軸摩耗が発生した原因はいろいろ考えられるが、
ケース内の排熱が不十分で、CPUファン

自体が高温になった為、回転軸の摩耗が促進された可能性がある。図7のPCケース左側には通気口が開いて

おり、エアーフローは良さそうに見える。しかし、PCを縦置きで使用する場合には、この部分は下側となり、PC

ケース下側と机の間隔はほとんど無く、エアーフロー効果は期待できない(PCケースの傷の状況より、AZさんは

縦置きで使用していた模様)。



 このため、
エアーフロー改善策として、PCIスロットのメクラ蓋を2枚取り外すことにした(図7は外した状態)。メ

クラ蓋が有り・無しで、System Temp.を比較すればエアーフローの改善効果が分かるのだが、これも未検証。



7.OSインストール

 動作確認としてWinXPをインストールしたところ、「PCIシンプル通信コントローラ」が「?」になっており、オンボ

ードのモデムドライバがインストールされていない(図8)。

図8(拡大可)



 このため、ECSのサイトにあるP6IWP-Fe用の「PCtel
AMR モデムドライバ(WinXP)」をインストールしようとす

るが、インストールできない。よく見るとLinux用には異なる「PCtel HSP56 Micro モデムドライバ」が記載されて

いる(2008/9現在)。ECSサイトの間違いの可能性が高い。このため、ECSサイトにある別のM/B P6STP-FL(V

1.1)用の「PCtel HSP56 Micro Modem Driver(WinXP)」を適用すると、正常にインストールできた(図9)。

図9(拡大可)

 

 最終の動作確認として、「Super π」の3355万桁を計算させたところ、4時間45分で終了し、この間 電源が落ち

る等の不具合は生じなかった(図10)。


図10(拡大可)




8.BIOSアップデート

 頂いた状態のBIOSのバージョンは「1.1c」。ECSサイトの最新バージョンは「2.1」。現状で問題が無いため必

要性は全く無いが、BIOSのアップデートがしたくなるのは人の性(?)。

ECSのサイトの手順に従って

A:\>awd860b.exe wpfes21.bin /cc/cd/cp

とすると、
------------------------------------------------
AwardBIOS Flash Utility V8360B
(C)Phoenix Technologies Ltd. All Rights Reserved
For i810 - ITE8712-6A69ME1CC-00 DATE: 12/21/2000
Flash Type - INTEL E82802AB /3.3V(4Mb)

File Name to Program : wpfes21.bin

Massage: The file size does not match !
------------------------------------------------

と表示され、BIOSのアップデートが中断されてしまう(図11)。

図11(拡大可)



 BIOSのファイルサイズを見ると、バージョン2.1(wpfes21.bin)は、262,144bytesであり、現状の1.1cも同じサ

イズである。気になる点としては、AwardBIOS Flash Utilityで「Flash Type - ...(
4Mb)」と表示されるが、ECS

サイトにあるBIOS2.1の特記事項には「2Mb Flash ROM」とある。4MbのROMに2MbのBIOSファイルを適用し

ようとしたことが、アップデートできない原因と思われる。しかし、対応策が分からない。

対応策をご存知の方、ご教授下さい。



9.まとめ

 本件の使用中にいきなり電源が落ちる原因は、CPUファン故障の可能性が高い。今回のような症状が発症

した場合、特にCPUファンが爆音を発生している時には、BIOSでのCPUファン回転数の変動チェックやCPU

ファンを交換するなど、CPUファンも原因の一つとして疑ってみる必要があると言える。

本件のBOOK PCを提供して下さった
AZ様、及びサイト運営者のDyna様、ありがとうございました。
 


情報が入りました。@

KONDOと申します。(H20.09.30)

BOOK PC復活報告で、BIOSの更新が出来ない件です。

 マザーボードのリビジョンについて、マザーボード上の表示を確認する必要があります。
Nobさんは、V2.0のリンクを貼っていますが、BIOSが1.1cなら、リビジョンは、1.0Aのはずです。
ECSは、リビジョン違いのマザーが存在することが多いので、注意が必要です。
リビジョン違いのマザーがあった場合、BIOSが2.xならV2.0用、1.xならV1.0用となる場合が多いです。
ECSのリンク左の一覧から選んでいけば、P6IWP-FeでV1.0AとV2.0が出てきます。
間違ったBIOSで更新しないように気をつけてください。起動しなくなることがあります。

P6IWP-Fe Rev.1.0A
http://www.ecs.com.tw/ECSWebSite/Products/ProductsDetail.aspx?CategoryID=1&TypeID=3&
DetailID=95&DetailName=Feature&MenuID=1&LanID=5

 

BOOK PC復活報告〜追記1〜 (H20.10.06) By Nob


KONDO

貴重な情報、ありがとうございます。


(1)本機P6IWP-FeのPCB Rev.は?

ECSのHPでCPU対応表を見ると、P6IWP-Feには4種類あります(チップセット:i810、i810E、PCB

Rev.:1.1、2.0B)。この表で、PCB Rev.1.1、2.0BのBIOSは同じ1.1cとなっています。

http://www.ecsjpn.co.jp/support/cputable/socket370.htm



一方、過去の製品一覧を見ると、「P6IWP-Fe(
V1.0A)」、「P6IWP-Fe(V2.0)」と2種類です。

http://www.ecs.com.tw/ECSWebSite/Products/ProductArchive.aspx?CategoryID=1&MenuID=52&LanID=5#3



2つの情報より、PCB Rev.は「
1.1、2.0B」と「1.0A、2.0」と異なっており、どちらの情報が正しいか判断できません。

(図12)  (図13)

実際のM/Bのシルク印刷を確認すると「P6IWP-Fe Rev:2.0」(図12)、CPU-Zでチップセットは「i810E」(図13)

となっています。シルク印刷が最も信頼性が高いと思われるので、本機は「P6IWP-Fe(V2.0)」と判断しました。


(2)どのBIOSを適用すれば良いのか?

シルク印刷がRev:2.0だったため、「P6IWP-Fe(V2.0)」のBIOS(2MB Flash ROM)でトライしたものの、前述の

ようにNGでした。

ここでBIOSのファイルサイズを比較すると、

【現状】Ver.1.1c、262,144bytes(BIOSバックアップファイルのサイズ)
【1.0A用】Ver.1.2、wpfes12.BIN、524,288bytes
【1.0A用】Ver.1.1c、wpfes11c.BIN、524,288bytes
【2.0用】Ver.2.1、wpfes21.BIN、262,144bytes

と同じ1.1cでも、現状と1.0A用ではファイルサイズが異なります。

KONDOさんが指摘して頂いたように「P6IWP-Fe(V1.0A)」のBIOS(4MB Flash ROM)が適用できそうな気がし

ますが、「Rev:2.0」と印刷してあるM/Bに、1.0A用を適用するのは危険な香りがするので、結論としてBIOSの

アップデートは断念することにします(現状、特に不具合も無いので…)。

以上、ありがとうございました。
Nob

 


情報が入りました。A

どうも、もペです。(H21.07.29)

この報告の中で少し問題なのではと思ったのですが、CRC556をFANに吹き付けるのはあまりよくないと思います。

種類にもよりますがプラスチック部分が溶ける危険性があるのです。ですので、この報告の場合だと音がさらに

うるさくなる可能性もありますし、最悪、FANの一部が溶けて動かなくなる危険性があると思います。

 

BOOK PC復活報告〜追記2〜 (H21.08.02) By Nob
 

もぺ様

ご指摘、ありがとうございます。
CRC5-56はゴム・プラスチック部品に悪影響があるだろうと思いつつも、
所詮ジャンク品、中古品ということもあり、身近にある5-56を使用していました。

確かに5-56のスプレー缶には、
 <使用上の注意>金属以外には使用しない。
 <成分>第3石油類(鉱物油、ケロシン)
と表記され、呉工業のHPではゴム・プラスチック部品には使用しないように書かれています。

今までにファン摺動部分には5-56を吹きまくっており、現状では
問題ありませんが、呉工業やタミヤなどからゴム・樹脂部品に
適用可能な潤滑剤が販売されているので、本来はそのような潤滑剤を使用すべきですね。

ありがとうございました。

−−−−
★呉工業 〜Q&A〜
http://www.kure.com/556/qa/index.html

Q.5-56はゴムに影響がありますか?
⇒A ゴムの種類・状態によっては、浸漬または長期間にわたり継続
 して噴霧をおこなうと影響を与える場合があります。
 ゴムにかかった場合は、速やかに布で拭きとっていただければ影響
 は与えません。

Q.5-56はプラスチックに使用できますか?
⇒A.プラスチックの種類・状態によっては、浸漬または長期間にわたり
 継続して噴霧をおこなうと影響を与える場合があります。プラスチック
 にかかった場合は、速やかに布で拭きとっていただければ影響は与えません。

Q.プラスチックに使用できる潤滑剤はありますか?
⇒A.プラスチックの潤滑には、5-56無香性・シリコンスプレー・
ドライファストルブ・速乾潤滑スプレーが使用できます。

★CRC 5-56 MSDS(製品安全データシート)
http://www.crceurope.com/wwwcrc/msds/pdf/5-56-AB10100-3.PDF

【成分】
1−メトキシ−2−ヒドロキシプロパン
二酸化炭素
水素化精製軽質留出物(石油)−ケロシン[灯油]

※化学物質総合検索システム−(独)製品評価技術基盤機構
 のサイトにおいて、MSDS記載のCAS番号で検索
http://www.safe.nite.go.jp/japan/Haz_start.html



★(株)サンプラテック 〜耐薬ゼミ〜
樹脂材料などの耐薬品性を調べることができます。
但し、ファン摺動部の材質が分からないので、役に立ちませんが…。
http://www.sanplatec.co.jp/chemical.asp



★呉工業 〜5-56無香性・シリコンスプレー・ドライファストルブ〜
http://www.kure.com/products/556/556_m/index.html

http://www.kure.com/line_up/mechanical/index.html


★タミヤ 〜セラグリスHG〜
http://tamiyashop.jp/shop/product_info.php?products_id=87099


「滑性に優れた窒化ホウ素(ボロンナイトライド)のハイグレード粒子
を配合した高性能グリスです。電動RCカーやミニ四駆、楽しい工作
などの動く模型のギヤや軸受け、ジョイントなどにつけて動きを
滑らかにし、摩耗をおさえます。ノズル付きアルミチューブ入り。」

★タミヤ 〜モリブデングリス〜
http://tamiyashop.jp/shop/product_info.php?products_id=87022


「RCカーのギヤや軸受けなどに欠かせないグリスです。
摩擦抵抗の少ない二硫化モリブデンを配合し、回転部分を滑らかに
するとともに摩擦を防ぎます。また、樹脂を痛めないのでモーターで
動くプラスチックモデルや工作にも使えます。」

 


 レポートご苦労様でした。そうですか、FANが原因の可能性大でしたか、実は少し前に入手したスリムPCも、

電源を入れてしばらくするとなぜかシャットダウンしました。(だからお安く入手できましたのですが)早速、原

因を探ろうとケースを開けて、じっと見ていましたら、何のことはありません。FANが完全に凍っていました。

これでは途中で落ちる訳ですよね。まあ、似たようなFANに交換したら、正常に動くようになりましたが、デス

クトップPCでは珍しい故障かと思っていました。ノートでは時々見られますから。小さなPCではFANは気をつ

けなければいけませんね。いずれにせよ、復活修理、お見事でした。また、何かありましたらよろしくお願い

します。

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