三極管6CA10PP自作アンプの長 寿命運用 (H19.01.17)
ども、Dynaです。オーディオコーナーで第1号の投稿をいただいたmiさんから、引き続いて私の愛するオ
ーディオシステムのレポートを送ってくださいました。ありがとうございます。内容はメンテナンスをしっかり
すれば、37年以上もアンプが持つというものです。これは実に参考になります。それでは、早速拝見しま
しょう。
皆さん、こんにちは。mi です。
休日を利用し、アンプの清掃をしました。少し深い低音を聴いてみたくなった事もあります。アンプは、
1970年4月に設計、製作完成、96年に改装したモノで自作です。今は埃だらけの状態です。
三極管 6CA10PP、固定バイアス Zp6k NEC
12AH7A ムラード型位相反転段、 東芝
6267 三結の初段 ナショナル その他
シリコン 倍電圧整流 SE-0.5d×2
OPT 山水 SW−30−6
一般的な回路です。
出力は26W+26W NFBは8dBです。
当時の設計としては、かなりロングライフを意識した設定の動作です。(当時の設計はハイパワー指向
のモノが主流で36W+36W程度、真空管は豊富でしたので、寿命がきたら交換するのが常識でした。)
96年に手を入れています。電解コンデンサーを総て交換、段間Cをフィルム化しEROの0.1μ、1.5KVに
交換反転段の下段のグリッドを交流的に接地させるCを、ASCの0.47μ、400Vに交換、VR類を導電性
プラの東京光音電波のCP-601に交換、抵抗器をシンコーのTAFと東京光音電波のRD型に交換、
Si.DをIS.2711×3 に交換、銅が腐食ていたビニール被覆の配線をポリプロで被覆された4N、6Nの
モノに交換しています。切り口は電気用のシリコーンでシール、電源コードを4Nの太いモノに交換、
真空管は最初のままです。主に経年劣化したモノの交換と、当時、流行した部品を試してみたモノです。
この時はかなり音質が上がったと思えたのですが、大部劣化していましたので、まともに戻っただけ
かも知れません。この5〜6年は全く使用していませんでした。
まずは埃を雑巾で拭き、内部を開けて、各部品を綿棒などで綺麗にし、リード線の口などをエタノール
で吹き上げ、布で仕上げました。終わったあと組み上げます。テスターを使ってアース等の配線が浮い
ていないかチェック、B、C電源のホット側もテスターで球までの導通をチェックし、ハンダ等の剥がれが
ないか確認します。ヒューズも確認しておきます。ラグ板も静掃し、球の足も銅のワイヤーブラシで磨き
上げエタノールで清掃しておきます。入、出力端子も清掃します。
先ず、AC電圧をコンセントの所でチェックします。PTのB電源用巻き線のハンダを外し、オープンにし
電源を投入して、素早くA電圧をチェックしました。マイナスのC電源をチェックして、出ている事を確認
します。一端、電源を切り、Cの電荷を抜きます。次に、Bを戻し、段間のCのハンダを外し、出力段を
分離し、初段と反転段の直結部もオープンにして、SWをONし、手早く各部の電圧をチェックします。
ここは何時も緊張します。何しろ最大電圧は420Vになります。異常がなければ、再度、ブロックCなどの
電荷を抜き、先ほどオープンにした所を結線します。再度、電源をONし、また手早く電圧をチェックします。
段間の結合Cがリークなどしていると、出力管が真っ赤になったりの事故が出ますので、注意します。
各電圧を丁寧にチェックし、DCバランスもチェックしました。
DCバランスは以前の点検時に調整されていますので今回、バランスが崩れている場合は、出力管の
エミションの減少などによる劣化や、段間コンデンサーのリーク、出力トランスの一次巻き線の不調、G
周りのRの不調、バランス調整用VRの劣化などが疑われます。球は入れ替えたり、電流値を測定して
特定し、交換します。Cは絶縁抵抗値をチェックします。駄目な時は交換です。その他、適宜に対処しま
す。幸い、バランスは崩れていませんでした。概略の回路図と電圧値(アナログテスター使用)、口金の
番号を上げておきます。
電圧は記録と見比らべ、OKでした。ラインに投入し入力をショートして、SPで雑音を聞くと、まったく
無音でした。期待以上です。幸いにも、不調な所はありませんでしたが、あれば各段に分けて調べる事
になります。時々出る雑音などは難しい場合があります。
使ってみると、PPの大出力アンプだけあって、重低音が良く伸びています。クリップ感もありません。
音質的には現用と差はあまりありませんが、PPは少し華やいで若々しい感じです。音の座りがほんの
少し軽く、ハーモニーの再生も現用より少しだけ甘い様です。PPは少しHiFi的な感じが時々感じられます。
少し使用して見ると違って来ると思います。
内部と外観を上げておきます。配線は実用一点張りで、美しい配線とは無縁ですが、これは私の作る
モノに共通したポリシーです。37年の使用に耐えている事で納得いくと思います。部品を交換しているの
でサイズが大きくなり、混みこみに成りました。発熱体の抵抗はシャーシーの上の方に、熱に弱いCは下
の方にしました。
外観は一応デザインしていますが、少し球と球が近ずきすぎですし、重量バランスも偏りがあります。
ブロックコンデンサーは球より逃がしています。当時の流行のデザインです。球のアンプは37年経っても、
手入れをすればちゃんと使えます、古いアンプを所有の方は大切にして下さい。
ども、Dynaです。稿ありがとうございました。
当方の最大の悩みは、30年を経過したオーディオセットの更新です。勿論、お金をかけて全面的に新品
にしてしまえば簡単ですが、予算的に苦しいです。勿論修理は断られています。かと言って自分でメーカー
物を修理できるかは、自信ありません。ここに来て、パソコンやMP3プレーヤーも現れ混乱状態。一部壊れ
た状態のオーディオで毎日モンモンと過ごしています。長期的にどう管理運営するべきか、考え方の参考に
なりました。ありがとうございます。
By Dyna