ソニーMDS-S38の修理・改造/音質向上大作戦 (H19.01.17)

 ども、Dynaです。新年から開始しました「秋葉原のお薦め、オーディオ・ビデオ・アマチュア無線・電子工作・

お食事等店舗情報」ですが、なかなか上手く始められなくて悩んでいました。ちょっと未知の世界がありますから。 

それでは、ということで、いつも有用な情報を提供してくださる常連さんから、このコーナー第1号の投稿をいただ

きました。新年早々、ありがとうございます。 それでは、早速拝見しましょう。


皆さん、こんにちは。mi と申します。

MDデッキを頂いたので、その修理の顛末と疑問点などレポートします。


頂いたのはソニーのMDデッキ MDS-S38です。MDカーステレオの録音に御使用されていたモノで、

アナログ入力が不調です。車の買い換えに伴い無用になったモノで、十年位前の製品です。


 写真 ソニー MDデッキ 


  内部を開けてみたら綺麗で、通電するとアナログ入力以外正常の様です。基盤の入力端子の裏

から、前面のVRへ行き、また帰ってくるシールド線があり、基盤には5Pのコネクターで入っていき

ますが、触ったりすると、ブーとバズ音が時々出たりします。ただ見た目では普通です?結局、シー

ルド線を代え、コネクターの上周りを削り直接ハンダ付けを行い、修理完了です。コネクターがおか

しいのですが、良く見ても原因が分かりかねました。


写真 入力VRへのコネクター周り


 良いモノを頂いたと喜んだのですが、考えてみると現時点では、アナログソースはUBS端子付きの

A/Dコンバーター、(EDIROLのUA1EXなど)を用い、PCに取り込み、編集ソフト(Sound it、

Audacity フリーなど)で整え、CD-Rに焼く方が、音質的にも使い勝手にも上ですし携帯プレヤーと

しては、MP3も安価で高性能になり、MDに分はありません。MDの良い点は、ケースに入っていて扱

いが簡単、圧縮が少ないなどでしょうか。ともかく、Lineに接続して音と操作を見てみました。

 音質は曇り気味、重低音はあまり出ません。高域の倍音も不足気味、おまけに、かなりハム音も出

ています。セパレーションは良好、メカも順調、操作系も正常です。この製品は古いので、チューブラ

ー型の1/8Wの抵抗や缶タイプのコンデンサーが使われていて、手を入れる事は簡単にみえます。

オーディオ製品なので音さえ良ければ、結局存在価値が出せる場面もあると思えますので、先ずは音

質の向上を目標に工夫してみます。

 先ずは、音質の向上の為R、Cを高音質で好みのモノに交換、選別します。この製品は3.5万円位で

すので、部品は普通のモノですから部品交換による音質改善は期待出来そうです。重低音は、電源コ

ードを太い大容量のモノに交換、コネクターによる接続をハンダ付けにし、配線も短縮化します。製品

は280ミリのコンポサイズですので、低音は程々に設定されている様に思います。ハム音は困ります。

Cの容量を増やす程度では、この製品の場合は恐らく無理でしょうから、0.2tの銅板をカットして、トラ

ンスにショートリンクとハムプルーフベルトを巻きました。かなり効果があり満足出来ます。


写真 トランス シールド増設


 音質の調整は、現用のCDプレーヤーを基準にそれに近づける様にします。先ず、リファレンスCD

をCDから光端子でMDに録音、それを再生し、D/Aコンバーター以後から出力端子までの間の抵抗と

コンデンサーを交換してみました。いろいろトライした結果は以下です。その辺の回路を示します。


 図 MDS-S38 アナログ出力部周り。



  R199、R152、R153 を東京光音電波のRD14A 2H 1/2W に交換。電解コンデンサーをエレナ セラ

ファイン 25V 22μ に増量交換。今使用中のシールドケーブルの静電容量が52pFと少ないため、68pF

のディップマイカコンデンサー(緑色の表示)を追加しました。これは、高域の延びすぎを抑え、バランスを

整えます。

 出力側が決まった所で、入力側の調整をします。リファレンスCDをCDプレヤーのアナログ出力からア

ナログの入力へ入れ、再生させ入力アナログ部の具合をみます。実際には入力の負荷値を決める抵抗

を交換してみました。R150、R160、R151、R161 を RD14A 2E 1/4W にです。はじめ2H 1/2Wに

したら、中音が厚めでしたので 2E 1/4Wにしました。

 入力電解コンデンサーをブラックゲートの(DC)型 4.7μ 50Vに交換しました。このCはかなり高音質で、

ノイズもとても少ない感じです。その他、R153、R198もRD14A 2Hに交換し、かなり情報量の増加が認め

られました。


 写真 基盤 アナログ部。 


 改修が済んで、Lineに投入し具合をみましたが、CDプレヤーより、高域の倍音の再生が少し少ないも

のの、かなり肉薄した音質になりました。レコードを録音すると、イコールとは行きませんが、極近似した

音質を維持しています。大切なレコードや針の保護的には、うってつけですので常用する事にします。

使用部品はラジオデパート2Fの海神無線にて購入したモノです。部品の特長や音質については、お店に

聞いてみる事をお薦めします、いろいろ情報を良く聞かせてくれます。(RD14A 2Eは直接、東京光音電波

KKより購入しました)

 疑問が少し残りました、それは大きい抵抗をUの字に曲げて基盤に付けたのですが、リード線が延びて

しまい、誘導などを受けやすいのではないかと云う点です。このMDのD/Aコンバーターは1ビット型でデ

ジタルフィルター内蔵のICを使っていますが、ノイズシェーピングによる超高域のノイズが放射され出

ているのではと、疑問を呈する友人がおります。この頃のD/Aコンバーターがどんな特性か調べてみまし

たが判りませんでした。また現在では違う様でした。D/Aコンバーターも多種多様あり、私には判断しか

ねる所です。一応、使用には問題ないのですが、改造アナログ部の上に銅板のシールドを設けてみまし

た。効果は不明です。オーディオ部の始めての投稿で勝手が判りませんが、こんな事をして遊んでおります。

                             


 ども、Dynaです。初投稿ありがとうございました。

 当方が、目指している世界を見事に突いているレポートなので、感服しました。オーディオの世界は、

今大変だと思います。音質を犠牲にして価格をさげなければ売れないですから。でも、音質そのものの

ことが分かる人が少なくなったので、情けないシステムばかりが販売されています。それから、中級・高

級機の更新も悩みです。古くなってしまうと修理を依頼しても、部品が無くて対応してもらえないことが多

いですから。かと言って、簡単に捨てられません。愛着がありますから。中級・高級機を販売しているお

店は少なくなる一方のこの時代、コストも考えながらどうオーディオの世界を生きていくか、悩みは尽き

ません。そんな折、ひとつのヒントがありますね。勉強させていただきます。

By Dyna

 

 

戻る