パナソニックCF-R1の液晶交換成功 (H19.01.14)

 ども、Dynaです。皆さん、新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

さて、当方のHP,教えてください。情報くださいの NO073で、パナソニックCF-R1の液晶交換の情報を

求めていました方から、下記のレポーをいただきました。内容は、多くの方からいただいた情報の検証

と、結果的に液晶交換が成功したので、その報告をとのことです。新年早々、ありがとうございます。

 それでは、拝見しましょう。


 皆さん、あけましておめでとうございます。hiro と申します。秋葉原ジャンクパラダイス 073 教えて下さい。

情報下さい。
(H18.10.09)にパナソニックCF-R1の液晶交換の件でお世話になった者です。

KTさん、noaさん、とんとんさんにご指摘をいただいた事項の確認を行いましたのでご報告させていただきます。

また、液晶交換が無事に完了いたしましたのでその手順と、CF-R1に関するデータを調査した結果も併せて

ご連絡いたします。

 修理の終わった2台のCF-R1(左CF-R1MCAXR、右CF-R1PCA2S
 

はじめに

1 経 緯

 昨年、友人から液晶の割れたpanasonic CF-R1を譲っていただきました。早速、液晶を交換しようと、QC-PASSへ

行きパネルを購入しようとしましたが、純正の型番東芝LTM10C320が無かったため、近い型番の東芝LTM10C306と、

LTM10C314を購入しました。しかし、接続 はしましたが上手く表示できませんでした。そこで、「教えてください」のHP

に掲示していただいたのです。

 (東芝液晶を接続して悩んでいる状態)

 

2 登場する機種と型番

 修理するノートPCは panasonic CF-R1 です。CF-R1には後に続く文字列でCPUやチップセットが異なる機種が

存在します。今回のテーマで出てくる機種は、最初のがCF-R1MCAXR、後のがオークションで入手したCF-R1PCA2S

の2種類ですのでご注意ください。

 液晶パネルは、CF-R1MCAXRに当初から付いていたのが、純正の東芝LTM10C320で当然割れていますが、

後に入手したCF-R1PCA2Sから正常表示品が入手できています。QC-PASSで購入したのが東芝LTM10C306と、

LTM10C314の2枚です。あと、検証用に 日立TX26D32VC1CAAも1枚購入しています。




3 症状と予想

 QC-PASSで購入した、液晶パネル東芝LTM10C306、LTM10C314をパナソニック CF-R1MCAXR に接続した

ところ、色は表示するものの画像が尾を引くような現象になりました。次に、オークションで購入したCF-R1PCA2S

にそれぞれを接続したら、純正の東芝LTM10C320は当然のこと、東芝LTM10C306、LTM10C314 もきちんと表

示されました。

 CF-R1MCAXR

 そこで、今回問題とした CF-R1 MCAXR に、新たに入手したCF-R1PCA2Sの液晶LTM10C320 を接続したところ

きちんと表示されました。これによりCF-R1 MCAXR本体は故障していなかったようです。

 以上から…私の CF-R1MCAXR は、東芝LTM10C306、LTM10C314と相性が悪かった…という歯切れの悪い

結論にいたりました。

 参考までに、CF-R1 PCA2S のビデオチップは Silicon Motion Lynx 3DM+、CF-R1 MCAXR のビデオチップは

 intel 82807A(830MG Chipset)です。何らかの信号レベル、タイミング、データ列が異なるのかもしれません。



検証と修理、及びデータ



1.PC本体(CF-R1MCAXR)の故障を疑う

 LVDSインターフェイスのPCが無かった(妻や子どものPCを分解しようと考えたが、 信号を追うのとコネクタ直

はんだ付けが大変なので止めた)ため、 秋葉原CoCoNet液晶工房にて、LVDS専用液晶自作キットiMO-LV

DS16を購入した。 うまく表示できない東芝 LTM10C306、LTM10C314 を結線したところ、問題なく きれいに

表示できた。

(写真007.jpg:PCと接続しクロスハッチを表示)

QC-PASSで購入した液晶は問題なし。QCさん疑ってごめんなさい。
東芝 LTM10C306、LTM10C314液晶パネルは、3.3V、XGA液晶でした。


オシロで iMO-LVDS16 と CF-R1MCAXR の LVDS信号を比較してみたが、 100M帯域オシロと30M帯域プロ

ーブではまともな波形が見えないので 比較にならなかった。



参考までに液晶パネルのピン配列

(1)東芝LTM10C320のピン配置(LTM10C306をベースに推測)

「LTM10C320.gif」

LTM10C320はCF-R1に使用されているXGA液晶パネルです。

CF-R1基板の液晶出力コネクタもこのピン配列と同じ。


以下の表は、添付画像ファイル「LTM10C320.gif」に同様のものを用意しました。
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1 +3.3V
2 +3.3V
3 GND
4 GND
5 IN0-
6 IN0+
7 IN1-
8 IN1+
9 IN2-(Enable信号重畳)
10 IN2+(Enable信号重畳)
11 CK-
12 CK+
13 GND(CF-R1の基板はGNDに接続されている)
14 GND(CF-R1の基板はGNDに接続されている)
+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--



(2)東芝LTM10C306(LTM10C306Lデータシートより引用)

「LTM10C306_314.gif」

LTM10C314のピン配置も同じと推測される(差し替えて表示が正しく行われた)。

LTM10C306LTM10C314 ともXGA液晶です。


以下の表は、添付画像ファイル「LTM10C306_314.gif」に同様のものを用意しました。
+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--
1 +3.3V
2 +3.3V
3 GND
4 GND
5 CK+
6 CK-
7 IN2+
8 IN2-
9 IN1+
10 IN1-
11 IN0+
12 IN0-
13 GND(液晶パネル側では入力端子?)
14 GND(液晶パネル側では入力端子?)

データシートには記述されていなかったが、14pinに信号を与えると
テストパターンを表示することから、メーカ検査用pinらしい。
使用時にはデータシート記載の通りGND電位にする。
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(3)CoCoNet液晶工房LVDS専用液晶自作キットiMO-LVDS16のピン配列

「iMOLVDS16.gif」

東芝液晶LTM10C306/LTM10C314との結線


以下の表は、添付画像ファイル「iMOLVDS16.gif」に同様のものを用意しました。
+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--
iMO基板 東芝液晶LTM10C306/314
コネクタ ピン番号
1 +(基板にて3.3Vを選択) 1
2 +(基板にて3.3Vを選択) 2
3 +(基板にて3.3Vを選択)
4 GND 3
5 GND 4
6 GND 13,14
7 CK+ 5
8 CK- 6
9 IN2+ 7
10 IN2- 8
11 IN1+ 9
12 IN1- 10
13 <未接続>
14 <未接続>
15 IN0+ 11
16 IN0- 12

iMO基板コネクタとは、基板にはんだ付けされている2列のピンヘッダーの端子番号
今回は附属で付いてきたLVDSケーブルを使用せず、iMO基板と液晶をツイストケーブル
にて直接はんだ付けで接続した。
附属のLVDSケーブルは東芝液晶LTM10C306/LTM10C314のコネクタには形状、ピン順とも
適合しないので注意
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2.あきらめきれずにオークションでCF-R1 PCA2Sを購入


  某オークションでジャンク品(液晶破損無、BIOS起動可)の CF-R1 PCA2S を購入し、 液晶を「本体故障

と疑っていたCF-R1MCAXR に接続。問題なく液晶に表示された。 逆に、CF-R1 PCA2S に東芝液晶

LTM10C306/LTM10C314 を接続したところ、なぜか、 これまた、きれいに表示される。

(写真008.jpg:ちょっとピンぼけです)。

  このことから、CF-R1 PCA2S には、東芝液晶パネル LTM10C306 や LTM10C314 を代替え品として使用可

CF-R1 MCAXR には、LTM10C306、LTM10C314は使えない との結論に至りました。 1台だけの実験ですので、

正しい結論とは言い難いですが、 CF-R1の液晶据え替えを行う方に役立てばと思い、書かせていただきました。



3.せっかくなので液晶据え替え


  「二個1」の部品取り用に買った CF-R1 PCA2S ですが、せっかくなので「二個2」に してみました。 液晶割れの

CF-R1 MCAXR には、オークションで入手した CF-R1 PCA2S の上部パネル をヒンジごと外し、付け替えて完了。

面白み無し(笑

 
(修理の終わったCF-R1MCAXR

 そこで、CF-R1 PCA2S の液晶を東芝LTM10C306に交換する 。

<方針>

  割れたLTM10C320の液晶板をLTM10C306の液晶板に交換 。 バックライト、液晶フレームはLTM10C320のものを

利用する


(1)割れた東芝LTM10C320液晶板の除去

 (a)割れた東芝LTM10C320液晶パネルを、CF-R1上カバーから取り外す。
 (b)LTM10C320液晶パネル裏側の制御基板のネジを外す
 (c)LTM10C320の割れた液晶を白いプラスチックのフレームからはぎ取る
   協力に黒い粘着テープで貼られているので、液晶板を粉々 にしないように注意してはぎ取る
   白いプラスチックのフレーム、バックライトはそのまま利用するので 壊さないように注意。
   特に液晶裏の薄い光拡散シートは傷を付けると交換後の画面の 色むらとなるので注意

(2)新品の東芝LTM10C306の液晶板の取り外し

 (a)新品の東芝LTM10C306の裏面、制御基板の止めネジを外す フレキケーブル(オレンジ色のポリイミドの
  帯状配線)を切らない
 (b)裏面アルミ製フレーム4辺の爪を白いプラスチックから外す
 (c)白いプラスチックのフレームから、アルミの額縁状のフレームを外す 白いプラスチックと液晶板は接着さ
  れているので外れない
 (d)白いプラスチックフレームから液晶板をはがす 私の購入したパネルは液晶板の4辺の内、1辺だけが黒色の
   両面粘着テープで固定されていた。 液晶を割らないように注意してはがす はがし終わった白いフレームと、
  アルミのフレーム

(写真009.jpg)
これは、ゴミです。後で何かに使うかもしれないので保管(笑

(3)(1)の(c)の白いフレーム(バックライト付)に(2)を組み込む

 (a)上下を間違えないように(2)の液晶板を(1)の白いフレームにのせます。
  (1)(c)の白いフレームはバックライト側が上になります
  (2)の液晶板は2本のフレキ側が下になります。
 (b)液晶板と白いフレームをテープで固定します 液晶板正面の表示領域でない縁(端から3mm位)から白い
 フレームを 囲うようにセロハンテープで止めます。

  販売する製品ではないので、対応年数やテープの劣化は考えていません。
  正式に行いたい方は、(a)で液晶板と白いフレームを弾性のある薄い両面
  粘着テープで固定し、(b)では熱や年数による劣化が起きにくいテープで
  固定してください。私はそのような両面テープなどを持っていませんので、
  セロハンテープを使用しました。

 (c)裏面の2本のフレキケーブルをまとめます

(写真010.jpg)
写真のように、折り曲げ、フレキケーブルどうしをセロハンテープで 固定します。

  制御基板は宙に浮いた形です。 液晶背面の光拡散シートに制御基板やフレキケーブルをセロハンテープ等で
  固定すると、表示面に明るさのむらが起きます。

(4)結線

 (a)(1)ではぎ取った割れた液晶の制御基板LVDSコネクタ付近を切断します。 多層基板なので、切断時にショート
 する危険性があります。 切断後、ショートが無いことを確認します。
 (b)(a)のコネクタ基板を(3)裏面白いプラスチックフレームの元の場所にネジ止め  (c)(4)(b)のコネクタと(3)の制
 御基板コネクタを結線します。 4cmほどの細いケーブルをツイストペアにしてはんだ付けしました。

(5)組み立て

 (a)仮に、(3)で制作した液晶パネルをCF-R1に接続し動作を確認します。  (b)CF-R1上カバーのバックライト昇圧
 回路基板を中央に移動します。  バックライト基板が液晶の制御基板に当たるので、位置を変えます。
  バックライト昇圧基板は、ヒンジ部近くにテープで固定されています。
  テープをはがし、ケース中央付近(元の取り付け位置より5cmほど上側
  (ヒンジ部を下に、閉じ爪を上に見た場合)に移動します。
 (c)バックライト基板と液晶のフレキケーブルが重なると画面にノイズ(ビート)が 出ますので、銅テープ等でシールド
 します。 台所用アルミテープでも構わないはずです。 私はバックライト昇圧基板を銅テープでシールドしました。
  フレキケーブルに銅シールを貼っても良いはずです。 シールドはヒンジがネジ締めされているケース(アルミ製)に
 取ります。
 (d)液晶制御基板、切断したコネクタ基板等がケースに接触しないようにします
  私は、(1)(b)で制御基板に貼ってあった薄いプラスチックの板 を元有ったように貼付しました。
 (e)フレキケーブルを切らないように蓋を閉め、ネジしめして完成です。


これで、液晶の交換が完了しました。

(修理の終わったCF-R1PCA2S



4.ここまで書いたついでに、CF-R1のVGAコネクタ結線もご紹介です。

(1)コネクタ型

CF-R1の基板に取り付けしてあるレセプタクル PXH−A16LMYG 本多通信工業(株)

上のレセプタクルに合うプラグ
PXH−A16FSG 本多通信工業(株)(コネクタ)
PXH−A16SP 本多通信工業(株)(ケース)



(2)端子信号(一般的なVGAコネクタへの変換結線)

「CFR1_VGA.gif」

以下の表は、添付画像ファイル「CFR1_VGA.gif」に同様のものを用意しました。
+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--
CF-R1 信号名 MiniDsub
端子 15pin端子番号
1 :V-Sync :14(V-Sync)
2 :ID3(SCK) :15(ID3)
3 :NC : 未接続
4 :NC : 未接続
5 :GND : 7(Green-GND)
6 :Green(Video) : 2(Green-Video)
7 :GND :11(ID0)
8 :GND : 5(GND)
9 :H-Sync :13(H-Sync)
10 :GND : 8(Blue-GND)
11 :ID1(SDA) :12(ID1)
12 :Blue(Video) : 3(Blue-Video)
13 :GND : 6(Red-GND)
14 :Red(Video) : 1(Red-Video)
15 :+5V : 未接続
16 :NC : 未接続


NC:CF-R1基板側で未接続
CF-R1の端子番号は本多通信工業(株)のコネクタ図面上の端子番号
Mini-Dsub15pin側のVGAコネクタの4pin、9pinは未接続。
+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--+--


MiniD-subの4pinをCF-R1側コネクタの15pin(+5V)に接続したところ、

一部のモニタにおいて、CF-R1の+5V電圧が振られ、フリーズした。



(3)さらに、CF-R1のHDDコネクタ結線もご紹介です。

「CFR1_HDD.gif」

ピン数が多いので、画像ファイル「CFR1_HDD.gif」に画像として添付しました。
テキストでは書きませんでした。



感 想

  ちなみに、かかった費用は液晶パネル3枚、iMO-LVDS基板、オークションで入手したCF-R1などなど…

秋葉原で中古のCF-R1(完動品)が買える以上の額になりました。(大涙  ジャンクで入手したCD-R1は

スイッチノブが無く、PC-NETで購入した150円ノートの プラスチックを削ったり貼ったりして自作し、HDD

コネクタも作りました。 結構楽しめましたので、良しとします。 このコーナーを作ってくださったDynaさん、

私の疑問にお答えくださった KTさん、noaさん、とんとんさん、ありがとうございました。


お約束
今回の制作は、恒久的な動作、再現性を保証するものではありません。 あくまでも素人が自分の楽しみのため、試行錯誤で行ったものです。
このような工作を行う場合、PC本体に恒久的なダメージを与える場合 が十分に考えられます。また、発火等による物損、作業中の怪我や
人命に関わるリスクが有ることをご承知起きください。 全てのトラブルに関して私(hiro)もDynaさんも責任は負えません。
 


 パナソニックCF-R1の液晶交換作業、及びデータ収集ご苦労様でした。液晶パネルの世界は本当に奥が

深いですね。当方も、この世界には泣かされています。本当に難しいですね。さて、結果的に高額の費用が

かかってしまったとのこと、痛み入ります。でも、これだけの情報は決して無駄にはならないと思います。

ご覧になっている皆さん、ギブ&テイクの精神で情報交換しましょう。待っています。 By Dyna
 

Dynaまでメール

 

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