Clevo5100S改造記(CPUクロック倍増に挑戦) (H18.12.05)
ども、Dynaです。ノートPCのスペックアップはとても難しいのですが、今般、劇的にアップされた怪人Nさんから
レポートを 頂きました。読んでびっくり、何とCPUはCel500からPV1GHz、液晶はSVGAからXGAへグレードアップ
成功され ていました。この成功は画期的です。まずは拝見しましょう。
はじめに
(写真1)
私は「RIVU21 N500C」という、全く無名のノートPCを所有しております。すでに提供基からの保守サポートも
一切受けることができない、それこそ「壊れたらハイそれまーでぇーよぉー」という代物です(写真1)。
しかも、画面サイズこそ12インチとつぼを押さえているのですが、解像度がSVGA、CPUはCeleron500MHzと、
WINXPで使うには非常に厳しいスペックであります。
そこで、「どうせ使わない(使えない)のなら、ジャンク扱いで遊んじゃおう。で、あわよくば現役マシンとして復活
させよう」と考え、動作すると考えられるXPの使用に耐えられる部材を選りすぐってチューンアップしてみることに
しました。
1 改造ポイントの調査
(写真2)
この「RIVU21 N500C」というPC、実はClevoの「5100S」という型番のPCそのものです。本体下部にしっかりと
記載されています(写真2)。
Clevoのサイトで調べると、ありました!詳細なスペックが確認できます。
http://www.clevo.com.tw/products/5100S.asp
確認すると、手を入れるべきなのは以下の箇所であることがわかりました。
・CPU:P3 850MHz(MAX搭載) ※現状:Celeron 500MHz
・液晶:12.1SVGA ※現状:そのまま
・メモリ:512MB(MAX搭載 PC133サポート) ※現状:PC100 64MB×2枚
・IDE:ATA100サポート ※現状:HITACHI 8GB
リストアップしたところに手を入れればかなり「使えるマシン」に生まれ変わりそうです。そこで今度は交換する部材
を洗い出して見ました。
・CPU:P3 1GHz(SL53S)→ここは思い切ってMAX越えを試みます
・液晶:12.1XGA→これが一番大変そう・・・
・メモリ:PC133 256MB×2枚→古いPCなので、チップのbitにも気をつけねば
・HDD:ATA100規格の60GB→何も考えなくてもモノはありそう(もち2.5インチ)
2 部材調達(1)
今回は「あわよくば現役復帰」を目指しますので、少々のコストは捻出することにしました。
部材の購入先を探したところ、後日調査する液晶以外は順調に見つけることができました。
・CPU:オークション
・メモリ:ショップの通販→128bitチップ指定でSO-DIMMが買える秋葉原のショップを知らないので
・・・ちなみにショップ名は「PCワンズ」です。大阪のショップですが、チップのbit数をリスト内に記載
してくれているので、安心して選ぶことができました。
・HDD:秋葉原
問題は液晶ですが、これは超えなくてはならないハードルがあまりにも多そうなので、とりあえず上記部材を入れて
からもう一度検討します。
3 部品交換・テストラン
(写真3)
リストアップした全ての部材を交換します。これらの部品は簡単に交換できます。交換後、いよいよ電源投入です。
結果は、あっけないほどうまくいきました。CPUもBIOS上では1000MHzで認識されています。これはラッキーです。
HDD容量も問題ありません(写真3)。
(写真4)
ただWINDOWSのインストール後、WINDOWSの画面上からは1GHzでの稼動が確認できません。ネットで調べると、
BIOSのSpeed Step設定に手を入れないといけないケースがあるようです。試しに設定を変更してみますと、
WINDOWS上も問題なく1GHzで認識されました(写真4)。HDDやメモリ、CPUのパワーが全て上がったことにより、
今までとは想像もつかないほど使い勝手が良くなりました。
4 液晶換装への挑戦
さて、こうなってきますといよいよSVGAの画面が物足りなくなってきました。ついに液晶部の改造を検討します。
フレームの4隅にあるゴムをはずし、その中のねじをはずしたあとで、外枠を慎重に引っ張ってはずします。
液晶パネルの取り外し自体は簡単にできそうです。ただ問題は「このSVGAのパネルと同じ規格でXGAのパネルが
あるか」、「それをつなげてきちんと映るのか」、「液晶接続のコネクタ形状が合うものがあるのか」、この3点です。
5 コネクタ形状と動作確認
(写真5)
液晶パネルをはずしますと、液晶メーカー・型番・コネクタ形状が確認できました。確認した所、一昔前数多く出回
っていたTORISAN(鳥取三洋) のTM121SV-02L07、コネクタは汎用20PINタイプでした(写真5)。
(写真6)
またまたラッキーなことに、汎用20PINタイプの14インチXGAパネルを所有していましたので、これを繋げてまずは
動作確認をしてみようと思います(写真6)。
(写真7・8)
インバータとビデオケーブルを繋げ、スイッチオン・・・ だめでした。うまくいきません。なにやら消化不良な映り方
しかしません(写真7・8)。
(写真9)
やはり液晶の交換は無理なのか・・・そう思いながらどこかにあきらめきれないものを抱いてジーっとマザーを眺める
こと5分。その基板上になにやら意味深なディップスイッチがあることに気がつきました(写真9 中央矢印部)。
よく見ると、ビデオ信号と関係がありそうな気がしてきました。どのような組み合わせで使えるのかは情報がないのでわ
かりませんが、スイッチは2つしかありませんので、適当に切り替えながら映り方を試してみることにしました。
(写真10・11)
そうしたら、なんと!先ほどの消化不良がうそのように、XGA規格いっぱいの表示を映し出したではありませんか!!
まさに「奇跡」が起きたとしか言いようがありません(写真10・11)。このときは本当に「小躍り」して喜びました。
6 難航!液晶パネル探し
さて、ここまで来れば後は「同一寸法・同一コネクタのXGA液晶」を探すだけなのですが、これがヒジョーに難航しました。
まずはもともとついているTORISAN
TM121SV-02L07(以下「SVGAパネル」)のスペックシートをインターネットで探して
確認します。穴位置やコネクタ類の型番を控え、このSVGAパネルのXGA版を探します。
まずはメーカーであるclevoに問い合わせました。clevoは日本に法人がないため、私のどーしよーもないショボイ英語で
台湾の本社宛にメールを送るしか方法はありません。しかし何とかコンタクトを取ることには成功し、調べてもらうことは
できました。しかし、その返答は「5100Sは古い機械なので情報がない」という、なんともつれないものでした。しかし、遠く
日本からの突拍子もない問い合わせに、迅速且つ丁寧に答えてくれた点は非常に好印象でした。
(写真12・13 12:SVGA 13:XGA)
仕方がないので再度ネットで調査したところ、同じTORISANからXGA版のものが出ているようです(TM121XG -02L01
以下「XGAパネル」)。穴位置やコネクタ型番も同じです。しかし1点、ちょっと厄介な問題がありました。それはビデオコネ
クタの位置です。このXGAパネルは正面から見て左上のところにビデオコネクタがついているのですが、SVGAパネルは
左下にあるのです(写真12・13 12:SVGA 13:XGA)。ビデオケーブルはノイズ対策もあり左下の場所までの長さしかな
いため、このままでは届かないのです。しかしこれに代わるXGAパネルも散々探した挙句見つからなかったので、これを
利用する方向で決めざるを得ませんでした。
しかしいざ購入しようと探し出したこのXGAパネル、どこにも売ってないのです。ネットで探してもオークションで探しても、
秋葉のジャンク屋に行っても、本当にどこにもありません。
(写真14)
結局オークションで入手することができたのですが、探し始めてから3ヶ月もかかってしまいました(写真14)。
7 ビデオケーブルとの格闘
(写真15) (写真16)
さて、次に「ケーブルの延長」を考えなくてはなりません。フレキケーブルであればこれは無理ですのであきらめるところ
なのですが、どうやら5100Sは銅線を利用しているようです。ただ、ケーブルにはシールドテープが巻かれているので中が
よくわかりません(写真15 写真は5100Cのもの。5100Sも構造はほとんど同じです)。そこでテープをはがして中を見てみ
ますと、細いケーブルがきれいに並べられていました(写真16)。
(写真17)
他のケーブルの流用はまずできないでしょうから、ここは「1本ずつバイパスして伸ばす」という、失敗したら今までの苦労
とコストが全部パァになりかねない方法をとることに。結局これしか思いつかないので、腹をくくりました(汗)。
バイパス用のケーブルは、他のジャンクマシンからはずしたビデオケーブルを切って使います(写真17 写真はカットした
後の状態)。これにはシールドテープも巻かれていましたので、バイパス後はこちらのテープを再利用することにしました。
作業は1本ずつ「切っては皮むいて繋げてテープで絶縁、切っては皮むいて繋げてテープで絶縁」、これの繰り返しです。
線が細い上に本数も多く、しかも両端で同じ作業をしなくてはいけませんから、終盤は発狂しそうになりました。
(写真18)
全部を繋ぎ終えたら、ケーブルをよじってあげないといけません。これをしないと画面上にノイズが出まくってしまい、使い
物になりません。結線のつなぎ目をはずしてしまわないよう慎重によって束ね、その上から切断したケーブルについていた
シールドテープを巻いていきます。これで苦心の「バイパスビデオケーブル」の完成です(写真18)。
8 最終確認、そして・・・
(写真19)
さあ、いよいよ最終稼動試験です。「バイパスビデオケーブル」が仕事をしてくれるか、本当に緊張の一瞬です。
スイッチON・・・
やりました!成功です。12インチのXGAが煌々と輝いております!これでメイン、サブに次ぐ「第3のマシン」
が組みあがりました(写真19)。
その後、BIOSが電源の切れるたびにリセットされるので、CMOS電池と本体バッテリーを新調しました(Dyna様が良くやら
れているバッテリーの分解までは怖くてできませんでした・・・)。
9 最後に
(写真20)
今回は「うまく行けばもうけもの」という気持ちで作業をしましたが、結果は全て成功という非常にうれしいものとなりました。
試しにHDBENCHを実施してみました(写真20)。さすがに現行機には遠く及びませんが、XPをまともに動かすくらいの能力
は十分持ち合わせるマシンにすることができました。
これもひとえに皆様方の情報、そしてこのような場を提供していただいたDyna様のおかげであると思います。この場をお
借りして御礼申し上げます。
今回は非常にマイナーなメーカー・機種のレポートでしたが、何かお役に立つことができれば幸いです。 怪人N
レポートありがとうございました。凄いですね。CPUがCel500MHzからPV1GHzですか、これならWinXPも楽勝ですね。
あと、液晶のXGA化も感激しました。本当に出来ることが分かったからです。さて、読んでいて感じたのですが、一般的な
有名メーカーのノートPCでも同じことができるのでしょうか。多分、無理かも知れません。インターネットを調べてもあまり
情報がありませんから。と言うことは、このメーカーのノートPCは、多分改造がしやすくなっているのでしょう。価格に応じ
て同じMBで各種のスペックに対応できるようにしたのかも知れません。(あくまでも予想ですが)もし、そうだとすると、改造
マニアにはたまらない逸品ではないでしょうか。結果的にGHzマシンになったので、また暫くは現役マシンですね。それに
してもCPUクロックが倍増とは、恐れ入りました。ちょっと熱が心配ですが。 By Dyna