EPSON DIRECT EDiCube BB100 復活への道 Part2
               
〜 CPU編 〜  (H18.11.21)

ども、Dynaです。

 EpsonDirect EdicubeBB100 は、当方のHP、ジャンクあげます無料 NO 060  でなんと57倍もの過去最高倍率

になった出品物です。当選者のNobさんから、復活レポートPart1に引き続きPart2を送っていただきました。

ありがとうございます。早速、拝見しましょう。


EPSON DIRECT EDiCube BB100復活への道 Part2 〜 CPU編 〜  (H18.11.20)


1.前回まのであらすじ

「私のお宝(ジャンク)無償で譲ります。No.60」でDeskP様より頂いたEDiCube BB100。
電源が入らない原因は電源基板のハンダ割れであることを突き止め、再ハンダにより
電源が入ることを確認。ただし、CPU破損により、起動不可。
今回は、CPUの入手から起動までの道のりです。
 

 

【写真1 お宝品】


2.お宝概要 [写真1]
【メーカー】EPSON DIRECT
【型番】EDiCube BB100
【M/B】MS-6537 VER.1 (MSI社 OEM品)
【CPU】AMD Athlon XP 1500+ (AX1500DMT3C:Palominoコア)破損


3.CPU価格調査

BB100はグレード(カスタマイズ)により異なるCPUが搭載され、スペック表には次の6種類
のCPUが掲載されている。
・Athlon XP 1500+、1700+、1800+、2000+
・Duron 1.0、1.1GHz
Athlon XPはPalomino、Thoroughbredのどちらか不明、Duronはクロック周波数よりMorgan。
共に生産終了しているので中古品を探すことになるが、Dynaさんのご好意により、「秋葉原
お宝発見隊 第126回出動('06/11/4)」で価格調査して頂けることになった。


【写真2 Athlon XP 1500+ 破損品】



価格調査して頂いた第一印象は、「高い!」。
ちょうど手元にあった月間アスキー2003年5月号の「今月のベスト10」にAthlon XP 1700+が載っており、そのバルク価格が
7,280円。なのに、3年半後の中古Athlon XP価格が4〜5,000円。中古価格が高値安定なのは、タマ数が少ないためだろうか…。


4.CPUを求めて…

Athlon XPは高価、Duron(Morgan)はタマ数が少なく秋葉原でも入手が困難な模様。
では、他のCPUは対応しないのか?ということで、BB100のM/Bに最も近いMSI社製MS-6378のCPU対応状況を調査。

★Athlon/Athlon XP CPU対応表(Socket A タイプ)
http://www.msi-computer.co.jp/support/cpusupport/athlonxp.htm
★Duron対応表(Socket A タイプ)
http://www.msi-computer.co.jp/support/cpusupport/socketa.htm

これより、Athlon(ThunderBird)、Duron(Spitfire)も対応可能と思われるため、購入検討の対象に仲間入り。
ネットでCPUの在庫状況を調査すると、Athlon XP 1700+の在庫が近くのパソコンショップにあることが分かったが、
Palomino、Thoroughbredの記載なし。実際にお店に赴き、確認することにした。



5.パソコンショップにて

店内をうろつき、CPUが展示してあるガラスケースに辿り着く。ケースを覗き込むと
Athlon XP 1700+様が鎮座、それも2個。店員さんに聞くとPalominoとThoroughbred
が各1個。「3年以上前の中古CPUなのに、高いなぁ」と思いつつ、左隣を見ると
「Athlon700 ¥980。ぬおっ、安い!!」ということで、Athlon XP 1700+を諦め、
Athlon700に変更決定。さらに足元に視線を移すと、「ジャンクCPU箱 1個200円」
「ジャンクパラダイスで頂いた物には、ジャンクで報いないと」と訳の分からない理論
を打ち立てて、ジャンク箱を漁ることに…。
ジャンク箱にはSocket AのCPUとして、Duron600とDuron800が各1個ずつ。コア欠け
の状況を見ると、Duron800は厳しそう。


【写真3 Athlon700 (中古)】


ということで「Athlon700 (中古) ¥980」と「Duron600 (ジャンク) ¥200」、計2個のCPU
を購入[写真3、4]。
「果たして動くのだろうか…」と一抹の不安を覚えつつ、店を後にした。





【写真4 Duron600 (ジャンク)】


6.CPUのコア欠け確認

外観はAthlon700もDuron600もほぼ同じ。購入したCPUのコア欠けを丹念にチェック。
・Athlon700
お店でも確認したが、問題なし。
・Duron600
コアの1辺が全体的に少し欠けている[写真5]。ジャンク品なのでしょうがない。
動作しない確率、高し。
 

【写真5 Duron600 (ジャンク)のコア欠け】


7.待望の動作確認

遂に待望の動作確認である。最初に動く可能性の高いAthlon700をセットし、電源ON!

「うっ、映らない (T_T) 」

ディスプレイは漆黒の闇のまま。「待望の動作確認」から「絶望の動作確認」に変わった瞬間である。
世の中そんなに甘くない。やはり、高価なAthlon XP 1700+を買うしかないのか…。

無念の思いを抱きつつ、どうせ動かないDuron600の動作確認も一応やってみることにした。
同様にCPUをセットし、電源をON。絶望感が倍増するだけなのか思っていたら、「ピッ」という
音と共にBIOSが立ち上がった。

「何と言う事だ! まさにジャンクパラダイス!!!」

壊れた物が再び息を吹き返す、これぞ至福の瞬間である[写真6]。



【写真6 至福の瞬間】


8.OSのインストール

本体と一緒に付けて頂いたリカバリCDでWinXP Home Editionをクリーンインストールし、
SP2にアップデート[写真7]。

 

 

【写真7 クリーンインストール】

 

作業は快調そのもの。システムプロパティを確認すると、
「AMD Duron(tm) processor 799MHz」と表示[写真8]。

 

 

 

【写真8 システムプロパティ】

 

CPU-Zで確認しても、「803MHz」
[写真9]。

 

そう言えば起動画面でも「AMD Duron(tm) 800MHz」の表示。CPUはDuron600のハズ。
なぜ?




【写真9 CPU-Z】



9.再びCPU調査

「『動いた!これにて終了…』では、真のジャンクパラダイスでは無い!」と、またもや訳の分からない理論に基づき、
(1)なぜ、Duronのクロック周波数がスペック表と違うのか?
(2)なぜ、Athlonは動作しないのか?
について調べる事にした。


(1) なぜ、Duronのクロック周波数がスペック表と違うのか?
たぶん、オーバークロックしているのだろうと予想しつつも、過去に自作機を組み立てた
ことが無い(自作機を知人から頂いたことはあるが)自分にとっては、「未知の領域」
ネットで調べるとDuron(Spitfire)のオーバークロックは結構 流行ったことを初めて知った。
CPU表面のL1ブリッジ4箇所を鉛筆や導電性のペンでクローズする(単に擦る)という、
至って簡単な方法。前出のASCIIを再度読み返すと、Athlon XPも同様にL1ブリッジ結線
でオーバークロックが可能という記事があった。

【写真10 Duron600のL1ブリッジ】

http://fab51.com/cpu/duron/duron1.html
ジャンク品のDuron600のL1ブリッジを確認すると…、やはり何かやってますね[写真10]。これで、600→800MHz。
体感スピードは、感じられるほどにアップするのだろうか…。
 


(2) なぜ、Athlonは動作しないのか?
Duron(Spitfire)が動くのに、なぜAthlon(Thunderbird)が動かないのか?
【品名】AMD Athlon700(Thunderbird) [写真11]
【Ordering Part Numbers/OPN】A0700APT3B
【記号・製造週】ADEA0021DPGW
【製造番号】91642170336
【外観】コア欠け無し、ブリッジの結線跡無し
動作確認を2回 行ったが、2回ともNG、壊れているのだろうか。お手上げ状態、
ということで動作確認してもらうために、再度 購入したお店へ…。

【写真11 Athlon700のコア】


店員さんに訊くと、「Thunderbirdは、ほとんどのSocket AのM/Bで動作する」とのこと。お店で動作確認してもらうと、
「う、動いてる…」
BB100のM/BがThunderbirdに対応しないということなのか? まあ、ジャンクDuronで動いているから、良しとするか。


【表1 定格使用時のスペックとBB100での動作状況】

 

OPN

Frequency

[MHz]

Package

Type

Operating

Voltage[V]

Max. Die

Temp.[]

FSB

[MHz]

L2 Cache

Size[KB]

BB100

動作

備考

AthlonXP

[Palomino]

AX

1500

DMT3C

1333

OPGA

1.75

90

266

256

破損

NG

標準

付属品

Athlon

[Thunderbird]

A

0700

APT3B

700

CPGA

1.7

90

200

256

NG

中古品

Duron

[Spitfire]

D

600

AUT1B

600

CPGA

1.6

90

200

64

OK

ジャンク品

Duron

[Morgan]

DHD

1000

1100

AUT1B

1000

1100

CPGA

1.75

90

200

64

--

標準

搭載可能品

 

 

 

 

 

 

 


 


10.そして…

オーバークロックのジャンクDuron600で、OSだけでなく、Officeやその他ソフトの
インストールも完了。CD-R/RW、3.5インチFDD、USB1.1(4ポート)、ATAカードスロット、
内蔵スピーカー、ヘッドフォン・ライン出力も正常であることを確認[写真12]。
BB100は一度もフリーズすることもなく安定動作しており、この文章(Office Word)も
実は「お宝PC」で書いている。Word、Excel、PowerPoint、Photoshop(Ver.5)、Jw_cad
ぐらいしか使わない自分にとっては、十分なスペック。





【写真12 動作確認】



11.EDiCube BB100の不具合原因のまとめ

★M/Bの不良
BB100のM/Bは電解コンデンサのメーカーにより、
(1)Rubycon(2200μF)、Lelon(1000μF)
(2)日本ケミコン(2200μF)、Lelon(1000μF)
(3)日本ケミコン(2200μF)、TEAPO(1000μF)
の3種類があり、(1)、(2)のLelon社製コンデンサは不具合が発生する確率が高く、目視で不具合(膨張、液漏れ、破裂)
の確認が可能。コンデンサに不具合が起きると、パソコンが突然、再起動するなどの症状が現れ、ハードディスクに
損傷が生じる。電解コンデンサの交換が有効手段である。

★電源の不良
経年劣化により電源ボックスの100V入力付近の基板にハンダ割れが発生して、電源が入らなくなる。100VのACコード
を電源に差込んだ時に「バシッ」と音がする場合は、ハンダ割れによりスパークが発生している可能性が高い。これを
何度も繰り返すと、スパークの熱により電源基板が焼損する。基板が焼損していなければ、再ハンダが有効な修理法である。


12.終わりに…

DeskP様、Dyna様の御蔭で、パソコン界のディープな一面を垣間見ることができました。貴殿HPに掲載されている内容
と比べると、今回のレベルはかなり低いですが、パソコンを頂いたお礼を込めて、乱文ながら報告させて頂きました。
ご多忙とは思いますが、今後も貴殿HPがジャンク情報の交換の場となるように、HPの更新・維持管理をお願いしたい
と思います。以上、ありがとうございました。

 

→Part2レポートありがとうございました。Part1に引き続き見事なレポートで感服しました。沢山のトラブルを
 
乗り越えて、見事に解決されました。お見事です。それにしても、お近くの「PCショップ」、侮れませんね。
 
秋葉のジャンクショップも真っ青ではないですか。お時間のある時にでも、ご紹介ください。By Dyna


13. CPUクロック周波数に関する情報 (追記 2006/11/25)

私の修理報告を読んで下さったJ4様より、Dynaさん経由で次のメールを頂きました。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
CPU-Zの画像を見ての判断ですが(見間違えていたらすみません)
マザーボードのFSBが133MHzになっているようです。固定で設定されているようなので、何処かでFSBの変更が
出来るのかも知れません。そこで

(1) なぜ、Duronのクロック周波数がスペック表と違うのか?
は、画像に表示されているように、FSBが133MHzで倍率が6なので、133×6=798MHz で800MHz近くの表示だと思われます。
(FSBが100MHzで倍率が×8なら当方の見間違えですが)
このDuronのFSBは100MHzですがオーバークロック耐性があるDuronで、電圧が標準付属品のAthlonXPの1.75Vだったので
問題なく動いた。(コア欠けは別にしてですが)

(2) なぜ、Athlonは動作しないのか?
は、このAthlon700はFSB100MHzなので、マザーボード側でFSB133MHzで固定されていたので、起動がNGだったのではと思います。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

情報、ありがとうございます。


 BIOS設定画面でFSBを変更できる項目は無く、取説にもCMOSクリアのジャンパスイッチは
表記されていたが、FSB変更方法の記載なし。提供して頂いた情報に従い、M/Bのジャンパ
スイッチを確認したところ、CMOSクリアのジャンパスイッチ「JBAT1」の付近に、「JFSB1」という、
それらしいスイッチを発見[写真13]。早速、スイッチを変更してCPU-Zでチェック。
 


【写真13 ジャンパスイッチ】
 


その結果、J4さんのご指摘通り、Duron600は、800 ⇒600MHzと周波数ダウン[写真14、15]。
結局、自分の予想は「大ハズレ」。本当に、いろいろ勉強になります。
Athlon700もFSB100MHzで動作チェックしようかと思ったが、すでにHPに掲載されている通り
「私のお宝(ジャンク)無償で譲ります」に提供するため、CPU交換時のコア欠けを恐れて、
100MHz動作チェックを中止。たぶん、問題なく動くことでしょう。

 【写真14 変更前】


 

【写真15 変更後】




 600と800の200MHzによる体感スピードの差は、…有るような無いような…。ベンチマーク
ソフトを使用すれば定量評価できるのだが、そこまでスピードにこだわらないので未計測。
と、言いつつも100MHzにしたスイッチを、再び133MHz側に戻して本体カバーを閉めたの
でした…。

【写真16 FSB変更ジャンパスイッチ】


 

→追加情報ありがとうございました。思わず納得ですね。スッキリしました。Athlon700も実験されても良かったと
  思いますが、出品物なので仕方ありませんね。コア欠け怖いですから。では、また By Dyna

 

 続編が来ました。Part3へ

 

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