EPSON DIRECT EDiCube BB100 復活への道 Part1
               〜 M/B、電源編 〜
 (H18.11.02)

ども、Dynaです。

 当方のHP、ジャンクあげます無料 NO 060  EpsonDirect EdicubeBB100 は、なんと57倍もの過去最高倍率

になりました。あらためまして、提供者してくださいましたDeskPさんに感謝申しあけます。当選されたNobさんも、高倍率に

正直驚いたようです。でも、良かったですね。さて、先日、そのお礼ということで、修理レポートが送られて来ました。それも、

すばらしい出来栄えにびっくりでした。ありがとうございます。しかし、容量の関係がありますので、ここにDynaが作り変え

させていただきます。スミマセン。では、拝見しましょう。


1.はじめに


 「私のお宝(ジャンク)無償で譲ります。No.60」[写真1]において、幸運にも当選することが
できましたNobと申します。過去最高の応募者57名でまさか自分が当選するとは思いませ
んでした。この修理の進捗状況を報告致します。 2006/10/30

 なお、お宝を提供して下さったDeskP様、このような機会を与えてくれましたDyna様、そして
当選へと導いてくれたハムスターのカプチーノ君に感謝します。


[写真1](写真はDeskPさん提供のものです。)
 


2.お宝概要 [写真2] 

【メーカー】EPSON DIRECT
【型番】EDiCube BB100
【M/B】MS-6537 VER.1 (MSI社 OEM品)
【CPU】AMD Athlon XP 1500+ (AX1500DMT3C:Palominoコア)
【HDD】Seagate Barracuda ST340016A[40GB]
【光学ドライブ】CD-R/RW
【メモリ】128MB×2枚
【電源】ElanVital社製 型番EVP-1655、OUTPUT:166W
【メーカーHP】
http://support.epsondirect.co.jp/edcfaq/edsnsys_expub.nsf/ContentsID_S/TN100007626
 [写真2]
 


3.情報収集

先ず、ネットでBB100に関する情報を収集することからスタートです。
 
★2ちゃんねる 〜【膨張】電解コンデンサの大量死 9μF目【液漏】32〜
【メーカー】EPSON DIRECT(ツクモで中古を入手)
【型番】EDiCube
【M/B】MS-6537
【M/Bコンデンサの種類と状態】
Lelon社製 RXA L145、6.3V、1000μF
⇒破裂5本、液漏れ1本、膨張5本
Rubycon社製(CPU周り)
⇒目視で問題なし
 
★miki_blog 〜パソコン下取り結果 '06/2/14〜
「電源焼損、コンデンサ不良、HDD不良セクタ有り」
http://blog.livedoor.jp/wfleece/archives/50601597.html
 
★A Little Bit 〜Mother Boardかな? '06/6/28〜
2つのBB100の事例が紹介されている
・コンデンサ外観正常だが、ハングアップ頻発、原因不明
・コンデンサ膨張無償修理
http://www.ktservices3.com/blog/archives/2006/06/mother_board.html

★バイクとパソコンの日々〜コンデンサ交換にチャレンジ'06/6/25〜
2001年の年末に購入したBB100のコンデンサ9個が膨張・液漏れ。
コンデンサメーカーは未記載、頭頂部刻印(安全弁)は「+」。
http://www.sky.sannet.ne.jp/tomoake/condensa.html

★パソコン困りごと相談〜突然パソコンの電源が切れる'05/2/5〜
BB100使用中にバチッと音がして、突然 電源が切れる。
一度、電源が切れると、しばらくONにできない。
http://pasokoma.jp/bbs8/lg235100.html

これより、お宝品も台湾製 不良コンデンサによる不具合の可能性が高いと(勝手に)推定。



4.初期動作確認(アセンブリ状態)

電源ボタンを押しても、電源ファン、CPUファンともに回転せず。(提供者さんの情報通りの状態)

 


 
5.パーツチェック

次にパーツごとの動作確認を行うために分解。

 
5-1.M/B [写真3]
【外観】
問題なし(コンデンサの膨張、液漏れ、破裂なし)。
使用されている主な電解コンデンサは、
日本ケミコン社製KZG、6.3V、2200μF、105℃×12本
台湾TEAPO社製6.3V、1000μF、105℃×11本
である。

[写真4]

これは、2ちゃんねるに書込まれたコンデンサ(Lelon、Rubycon)とメーカーが異
なっている。Lelon社製コンデンサが危ないことが次第に分かってきて、急遽コン
デンサメーカーを変えたのではないだろうか。

[写真3]

 


 
【対応】
念のためTEAPO社製の11本を、手持ちの松下社製FC、10V、1000μF、105℃(中古)
の10本と、ルビコン社製YXG、6.3V、1000μF、105℃(新品)の1本に交換。
取外したTEAPO社製1000μFのコンデンサをHIOKIのテスター(型番3801)で容量チェ
ックすると、1290〜1360μFで問題なし。
CPU周りのコンデンサは、写真4のように排熱が直撃する場所なので、いくら高品質の
日本ケミコン社製とはいえ、一応これらCPU周辺の8本も取外して容量チェックするこ
とにした。その結果、2460〜2530μFで問題ないことが確認できたので、再びM/Bに取付け。
[写真5]


5-2.CPU
【外観】
ピン曲がりのためCPUソケットに入らない(約20本、角度10°)。また、コアの1箇所[写真6
赤丸部]には0.2mm程度の欠けあり。
【対応】
CPUソケットにセットできるようにピンを爪で1本ずつ角度修正。
【動作確認】
正常動作品のMSI社製M/BのK7N420 Pro (PalominoとThoroughbredの両方のAthlon XP
1500+に対応)でCPUをチェックすると、D-Bracket(4つのLEDでシステム状態を表示する
ツール)のLEDは4個とも赤色点灯。これは、CPUに欠陥があるか、正しくセットされてい
ないということを示している。
[写真6]

 

 
5-3.メモリ
【外観】
問題なし
 

 
【動作確認】
正常動作している別のパソコンに取付け、定番ソフトの「Memtest86」実行。PC100 128MB、PC133
128MB共にエラーなし。

 


5-4.電源 [写真7]
【外観】

 

[写真7]

 

問題なし(コンデンサの膨張、液漏れ、破裂なし)。
使用されているコンデンサはTEAPO社製[写真8]。
 

 

[写真8]

 


【動作確認】
電源ケースのフタを外した状態で100VのACコードをつなぐと、
写真9の赤丸部分でスパークが発生。
【対応】
電源には容量の大きいコンデンサが使用されており、ACコードを外した直後に分解
するとコンデンサに溜まった電気で感電するおそれがある。このため、しばらく放置
してから分解し、スパークが発生した部分を目視観察。スパーク発生部にハンダ割
れを発見[写真10]。この部分の再ハンダ付けを実施。スパーク発生部以外についても、
念のため再ハンダを行った。
[写真9]

 

 

 

[写真10](写真9の裏側)

 


6.動作確認(アセンブリ状態)

 分解したパーツを組立て、電源ボタンを押すと、電源FAN、およびCPU FAN共に回転。初期の「電源が入らない」
という不具合はクリア。ただし、ディスプレイには何も表示されず。CPUの単体チェックよりCPUが壊れている可能
性が高いので、当然と言えば当然の結果…。


 
7.対応CPUの調査

 今後、CPUを購入する予定だが、このM/BがAthlonXPのPalominoとThoroughbredの両方に対応可能か分からない。
エプソンダイレクトカスタマーサービスセンターに問合せると、「CPUのアップグレードサービスをやっていないので、
分からない」との回答。しようがないので、同じM/BメーカーのMSIで類似型番を調べるとMS-6378が最も似ており、
このMS-6378はバージョンによりPalominoにしか対応しないものもあることが分かった。
 このため、安全策としてPalominoの1500+〜2000+、又はDuron(Morgan)1.0、1.1GHzの中古を探す予定。ただ、
地方在住者にとって、秋葉原で中古CPUを購入できる日は、まだ先になりそうです…。


 
8.まとめと感想

 EDiCube BB100が通電しない原因は、電源基板のハンダ割れによるものと判断します。電源は直ったものの、
CPUが破損している可能性が高く、BIOS画面に到達できないので、完全に直ったかどうかまでは確認をとれま
せんでした。
 今回、実際に現物を見るまでは、「コンデンサ交換で修理完了!」と楽勝ムードでしたが、現物を見るとM/B、
電源ともにコンデンサの外観が正常だったので難易度が一気にアップ。しかし、電源部のスパークを目撃した
ことで通電不良の原因を突き止めることができてラッキーでした。
 まだ、CPU交換していないので修理が完了したわけではありませんが、ジャンク修理を満喫することができ、
DeskP様、Dyna様に対して繰り返しお礼申し上げます。
 

 
9.おまけ
 「高木産業製ノートブック PNIV-PV1000U 修理成功!/私のお宝(ジャンク)無償で譲りますNo.34」でも当選者
の山ちゃんさんもコンデンサ交換をされていますが、台湾製の不良コンデンサが世間に知られ始めたのは2003年
頃なので、もはや旬の時期(?)は過ぎてしまったものの、Dynaさんのサイトを見てコンデンサ交換にチャレンジしよ
うかと思っている人のために簡単に交換手順を説明します。
(試される方は、自己責任でお願いします。)
 
 
【使用ツールの一例】


・ハンダごて:60W
・ハンダごて:30W (こて先を白光の電子用No.501ST-Tに交換)
・ハンダごて台
・ハンダ:白光 HEXSOL No.72-1 (φ0.8mm、スズ60%)
・ニッパ

 


・ビニール被覆したクリップを改造した針金 [写真B]
 

 

 

 

 ハンダごては60Wの1本だけでも作業可能ですが、私は30Wと60Wの2本を使用しています。30Wは、先端の細い
こて先が販売されているため細かい作業に適しており、この30Wをメインに使用しています。しかし、上記の山ちゃ
んさんが文中で「30Wしか持っていない方は止めた方が良いでしょう。」と書いているように、30Wだけでは対応でき
ない場合があります。

 山ちゃんさんはその理由について書かれていませんが、30Wで対応できない場合とは、「コンデンサのサイズが
大きい場合」、「プリント基板の銅の配線パターンが『線』ではなく『面』になっている部分にコンデンサがハンダ付
けされている場合」です。すなわち両者とも熱容量の大きい部分なので、30Wでは加熱より吸熱(放熱)のスピード
が大きくハンダが溶けないということです。このような場合にはワット数の大きいハンダごてが必要になります。



 
【交換手順】

1.コンデンサの取外し


 コンデンサ片方のリード線のハンダを加熱し、ハンダが溶けてきたらコンデンサ
本体を加熱していない方向に倒す[図1]。

次に今度は反対側のハンダを加熱し、同様に溶けてきたら本体を反対方向に倒す
[図2]。

図1、2を繰り返して、リード線をスルーホールから徐徐に抜く。倒す力が強すぎると、
コンデンサ本体からリード線が抜ける場合があるの注意する。
 

 

図1

 
 


 

 

 

 

 

図2

 

 

2.スルーホール処理


 コンデンサを取外した後には、スルーホールにハンダが残り、穴が埋まった状態
になります。このスルーホールに残ったハンダを取除かずにそのまま加熱して新し
いコンデンサを差込む方法もありますが、私がこの方法にトライした印象は作業し
づらかったので、ここではスルーホールに残ったハンダを取除く方法で行います。
 
 スルーホールに残ったハンダを加熱し、ハンダが溶けてきたら、反対側よりクリ
ップで作った針金を差込みます[図3]。ビニール被覆したクリップで作った針金は
すべりにくく、手に熱が伝わりにくいので作業がしやすいのでオススメです。
 
 

図3

 

 


3.コンデンサの取付け


新しいコンデンサのリード線を、取外したコンデンサのリード線と同じ長さに切断します。

コンデンサの極性に注意して、スルーホールにコンデンサをセットします。

コンデンサのリード線の部分を予熱してから、ハンダ線を近づけて接合します[図4]。
 

 

図4

 

 


 
4.接合状況の確認


接合状況に問題ないか、ハンダくずは残っていないか(ショートの原因になる)を確認。
 
 
以上、取外し1分+スルーホール処理1分+取付け1分=3分/個 ぐらいで作業できると思います。




→ども、ありがとうございました。図もとても綺麗で、すばらしいです。Wordのままだともっと綺麗でしたが、
 作り変えているので見ずらくなってしまいました。スミマセンでした。まだ、CPUが入っていないようなので、
 動くのかは分かりませんが、状況が変わったら、お知らせください。 By Dyna


続編が届きました。(H18.11.21) Part2


Nobさんから追加情報が来ました。(H21.11.17)

(1)「EPSON DIRECT EDiCube BB100復活への道」の追記

本件で報告した不具合が2009/11/11にリコールとなりました。約2.7万台が対象です。

★【PC Watch】 エプソン、デスクトップPC「EDiCube BB-MX」に
発煙発火のおそれ 〜無償点検と修理を実施
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20091111_328082.html


★【リコール社告】デスクトップパソコン EDiCube BB、MXシリーズ
無償点検・修理のお知らせ(発煙・発火のおそれ)
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原因
通電時の熱ストレスによる電源ユニット内部のはんだクラック(はんだのひび割れ)が原因です。
電源ユニット内部のコネクターのはんだ付け部において、熱ストレスにより、
はんだクラックが生じ、ごく希にトラッキング現象に至る場合があります。
トラッキング現象が発生した場合、発煙・発火を伴います。
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http://shop.epson.jp/html/begin.do?fn=IMP_NOTICE_091111A
 

 

 

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